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忙しい人に最適 月曜日にWeb担の情報が届くメルマガ「Web担ウィークリー」 | Web担当者Forum
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Web担ウィークリーってどんな内容?
Web担ウィークリーでは、基本的に次のようなコンテンツをお届けしています。
Web担当者Forumのサイト上で1週間に公開された記事のまとめ ―― 中でもアクセス数の多かった記事に関しては「今回の要チェック記事」として、概要文付きで紹介しています。
その他の記事も、アクセス数や編集部の主観で「オススメ記事」をマークを付けたり、ニュースはカテゴリ分けしたりして、わかりやすく整理しています。イベントやセミナーなどのお知らせ ―― Webに出ているものも出ていないものも含めて、編集部が「おっ?」と思ったイベント情報などを整理しています。
編集部コラム ―― Webよりも一足早く読めます。
編集後記 ―― ちょっとした小ネタやWeb担の機能追加のお知らせなどですね。
その他、お得なセミナー情報やプレゼントのお知らせなど、メルマガ読者に優先してお知らせしています。
どんな人向け? 購読すると何が良いの?
Web担の内容に興味はあるが、忙しくて毎日更新をチェックできない人に最適です。毎週の更新内容が受信箱に届くので、どんな記事があるかざっと見て、興味をもった記事をWeb担のサイトで見るといった使い方がオススメです。
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Web担の読者さんは……
実際の読者さんから寄せられた、Web担へのお言葉を紹介します(読みやすさのために一部編集しています)。「Web担ウィークリー」は、こんなWeb担の情報を毎週お届けしているのです!
まずは、全般的な内容について:
経済の最新情報なら日経、webの最新情報ならWeb担です!! どの記事を読んでも、「ソレが知りたかったのよ~♪」って思ってしまいます。 実践的な記事が多く、現場でとても参考になっています。いろんなテーマでお役に立っています:
とりあえず、アクセス解析、SEOのことでわからないことがあったら探しにきます。アクセス解析の比較で幾度となく資料を活用させていただきました! SEOに関する疑問や悩み解決のヒントは全てWeb担から頂きました。 CMS、モバイル、SEO、マーケティングの情報をいつも見させていただいてます。 事例の紹介や有名制作会社の方などのノウハウ提供があり下手なセミナーよりも役に立っています。特に漫画のシリーズは構えずに読んでいけるのでたいへん読みやすく気に入っています。 Web関連、特にSEOとかWebビジネスの効果測定とか、困ったときに探し物をする最優先の場所。
Web担は使い方もいろいろ:
PCつけるとまずチェックが日課です。 毎朝就業前に時間を作ってチェックしています。 いつもリンクをクリックするのが楽しみです。 頼れる情報源としていつも活用させてもらってます。時には仕事の枠を超えて読み耽っているときもあります。役立つだけでなく読み物ととしも面白い記事が多くて、メルマガとともに楽しんでます。 メルマガの記事フォローがすばらしいと思います。読んでいる人の立場もいろいろです:
IT業界に新卒で入社をして、上司に勧められてweb担読んでます。 eコマース事業の運営側として、またWebマスターとして、勉強させて頂いております。 技術畑の人間ですが、ビジネスの視点からの記事がとても役立っています。 幅広い領域がカバーされていて、知らず知らずのうちに、幅広い知識が身につくところがよいです。また、自身の仕事上の立場(SIer)とは、反対側の目線での記事展開が多いところも、いろいろと刺激になっています。
ありがたいお言葉です。編集部も胸を張って出しているコンテンツですからね! どうですか? 読んでおかないともったいないと思いませんか?
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- 毎週月曜発行(休日の場合は翌火曜発行)
- 発行:株式会社インプレスビジネスメディア Web担当者Forum 編集部
〒102-0075 東京都千代田区三番町20番地 - 購読料は無料です。
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[ユーザー投稿] 片手間アクセス解析で作る見込顧客リスト | Web担当者Forum
※この記事はWeb担の読者によって投稿されたユーザー投稿のため、Web担編集部の見解や意向と異なる場合があります。また、Web担編集部はこの内容について正確性を保証できません。
リード獲得目的のBtoBサイトのアクセス解析では、アクセス企業の分析はもはや必須。アクション可能なリード数を増やすには、IPアドレスベースの企業判定がもっとも効果的です。らくらくログ解析におけるBtoB解析機能とその活用シーンをご紹介します。
KDDIウェブコミュ、ウェブ制作のトラブルを防ぐサーバーツール「SmartRelease」を提供 [ニュース] | Web担当者Forum
KDDIグループでホスティングサービスを展開するKDDIウェブコミュニケーションズは、同社のホスティングブランド「CPI」の共用レンタルサーバー「シェアードプランACE01」で、ウェブ制作のトラブルを防ぐサーバーツール「SmartRelease」を6月7日から提供する、と5月15日発表した。公開サイトがテストサイトとすべて同じ環境となり、FTPでテストサイトを公開サイトに移行させる必要がなく、テストサイトのコンテンツをそのまま公開サイトにコピーできる。
テストサイトでは問題がなかったものの、公開サイトでは動作しないといった不具合や、ファイルのアップロードの不備によるリンク切れなどのトラブルを防止する。テストサイトと公開サイトは、ともに毎日、自動でバックアップを取得して作業負担を軽減。公開ファイルを誤って削除した場合でも、バックアップ一覧から希望時点を選ぶことで復旧が可能になる。シェアードプランACE01の利用者は、無料でSmartReleaseを使うことができる。
KDDIウェブコミュニケーションズ
http://www.kddi-webcommunications.co.jp/
シェアードプランACE01
http://www.cpi.ad.jp/shared/
- 内容カテゴリ:レンサバ/システム
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アイスタイル、化粧品・美容サイト「@cosme」内の会員、クチコミデータを外部に提供 [ニュース] | Web担当者Forum
美容系サイト企画・運営のアイスタイルは、同社の化粧品・美容総合サイト「@cosme(アットコスメ)」内のユーザー、クチコミ、商品データをリアルタイムに外部に提供するウェブサービスAPI「apicos(アピコス)」を始めた、と5月16日発表した。サービスを利用すると、@cosmeの190万人の会員データ、980万件のクチコミ、20万件の化粧品の商品情報などを自社サイトやECサイトなどに反映できるようになる。
年齢や肌質などのユーザーデータが含まれるクチコミや、ランキングなどの第三者評価が表示でき、条件設定によってブランドや商品のターゲット、使用目的に応じた情報発信が可能。自社サイトでユーザーの評価をゼロから蓄積する手間を軽減する。データや方式によって料金が異なり、商品を指定してクチコミを取得できるメニューの場合、クチコミ、評価点などのパソコン向け提供で1商品あたり月額1万円。
アイスタイル
http://www.istyle.co.jp/
apicos
http://www.i-apicos.com/
- 内容カテゴリ:EC/ネットショップ
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アイスタイル、化粧品・美容サイト「@cosme」内の会員、クチコミデータを外部に提供 [ニュース] | Web担当者Forum
美容系サイト企画・運営のアイスタイルは、同社の化粧品・美容総合サイト「@cosme(アットコスメ)」内のユーザー、クチコミ、商品データをリアルタイムに外部に提供するウェブサービスAPI「apicos(アピコス)」を始めた、と5月16日発表した。サービスを利用すると、@cosmeの190万人の会員データ、980万件のクチコミ、20万件の化粧品の商品情報などを自社サイトやECサイトなどに反映できるようになる。
年齢や肌質などのユーザーデータが含まれるクチコミや、ランキングなどの第三者評価が表示でき、条件設定によってブランドや商品のターゲット、使用目的に応じた情報発信が可能。自社サイトでユーザーの評価をゼロから蓄積する手間を軽減する。データや方式によって料金が異なり、商品を指定してクチコミを取得できるメニューの場合、クチコミ、評価点などのパソコン向け提供で1商品あたり月額1万円。
アイスタイル
http://www.istyle.co.jp/
apicos
http://www.i-apicos.com/
- 内容カテゴリ:EC/ネットショップ
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デジタルガレージ子会社、「Twitter」の大量のツイートを分析・活用するサービス開始 [ニュース] | Web担当者Forum
インターネット関連事業のデジタルガレージは、子会社でCGM(消費者生成メディア)事業を展開するCGMマーケティングが、米TwitterからAPIの1つ「Site Streams」の利用許諾を受け、多くのデータを収集・解析するビッグデータ関連サービスを行う、と5月16日発表した。Site Streamsによって「Twitter」に投稿・蓄積された大量のツイート(つぶやき)を分析・活用できるようになる。米TwitterからSite Streamsが提供されるのは日本で初めてという。
Site Streamsは、Twitterの機能を提供する通常のAPIより多くのデータを利用できることが特長。CGMマーケティングは、同社のTwitter運用支援ツール「Tweetmanager」にSite Streamsを適用し、過去のデータの検索や、検索したツイートの感情を分析する機能を実装する。企業は、Twitter上の消費者の声を聞いて分析・対応する顧客管理が可能になる。CGMマーケティングは合わせて、米Twitterの広告商品を販売する代理店契約も結んだ。
デジタルガレージ
http://garage.co.jp/
CGMマーケティング
http://www.cgmm.co.jp/
- 内容カテゴリ:マーケティング/広告
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iPad専用法人向けコンテンツ配信管理サービスを開始
株式会社Sparks&Company(東京都千代田区、代表取締役社長萩原和彦)は、iPadに特化した法人向けコンテンツ配信管理ASP( アプリケーション・サービス・プロバイダー)サービス『Bizfile』(ビズファイル) の提供を開始した。
この『Bizfile』は、iPadでPDF、HTML、ムービー等各種ファイル形式やリッチコンテンツの再生/閲覧を可能にするリーダーアプリケーションとクラウドコンピューティングを利用し企業内のファイル、コンテンツの共有を目的とした配信及び管理システムで構成した企業向けASPサービスだ。
同社は、iPadが様々なビジネスシーンや教育、医薬等の現場で広く活用され、また多くの法人企業において端末の導入が急速に拡大するのを受け独自に開発を行なった。
コンテンツもPDFや映像ファイルだけでなくEPUB形式やHTML5で作成された商品の360°回転表示や映像を埋め込むなどのリッチコンテンツの配信から閲覧までを可能にしている。また、コンテンツとユーザーをID管理する事による閲覧範囲管理設定やダウンロードされたコンテンツにも有効な閲覧期限設定が行えるなど企業内におけるファイルやコンテンツの共有やセキュリティ面を考慮し利便性の高いものになっている。
さらに、ユーザーは直感的な操作がしやすくなるようにグラフィック化された「棚」に置かれた各種ファイルの閲覧やダウンロード、ユーザー自身が新たに「棚」が追加できる機能などを実現している。
同社では、この『Bizfile』を比較的小規模なビジネスユニットでも導入がしやすいようにサービス利用料も、月額¥5,000から(ディスク容量:500M/発行ID:50 IDまで、初期費別途)を設定するなど低価格でのサービス提供を行っていく。
閲覧に必要なiPad専用アプリケーション『Bizfile』は、app STOREから無償でダウンロードが可能。
動作環境
Bizfile ビュワーアプリ対応端末 iPad、iPad2、iPad第3世代 Bizfile ビュワーアプリ再生フォーマット HTML、HTML5、EPUB、PDF、動画(H.264)、音声(mp3)等 管理画面対応ブラウザー FireFox、Safari、Google Chroma、IE9以降*消費税、初期費(¥100,000)は含まない
*上記各プランには月間データ流量制限(ディスク容量×ID数の合計)あり
『Bizfile』ビュワーアプリ画面
表示棚ソート画面
会社概要
会社名:株式会社Sparks&Company
代表取締役社長萩原和彦
所在地:〒101-0046 千代田区神田多町2-11 第19岡崎ビル7F
tel;03-6206-9971/fax;03-6206-9970
本件に関するお問い合わせ先
株式会社Sparks&Company
担当:石倉
〒101-0046 千代田区神田多町2-11 第19岡崎ビル
tel;03-6206-9971/fax;03-6206-9970
Mail:info@spks.co.jp
半世紀かけて根付いた起業文化 活発な“新陳代謝”が繁栄のエンジン
シリコンバレーに本拠を置く企業数は、毎年4400社ずつ増加している。大手企業に勤める安定感より、身につけた技術を元手に自らビジネスを興すチャレンジに価値を見出すエンジニアが多いからだ。失敗を恐れず挑戦できる環境も整っている。
シリコンバレーは、とにかく新陳代謝が激しい土地だ。毎年、ハイテク企業や一般のビジネスを合わせて平均1万7200社のスタートアップが生まれている。その一方で、倒産や吸収・合併などを理由に閉鎖する企業の年間平均件数は1万2800社に上る(Silicon Valley Index 2012年版)。差し引きすると、当地の企業数は毎年平均して4400社ずつ増えていることになる。その背景には企業の“細胞分裂”、すなわちスピンアウトが盛んであることが挙げられる。
ここで言うスピンアウトとは、勤務先で磨いた技術を元手に、新しく会社を設立すること。シリコンバレーの歴史は、スピンアウトの歴史だ。今回はその系譜を振り返り、とめどなく湧き出る起業意欲の源泉を探ろう。
ノーベル賞学者が原点
最初の登場人物は、ウィリアム・ショックレー氏だ。同氏は1936年、マサチューセッツ工科大学の博士号を修得してベル研究所に入社した。1947年、同僚のジョン・バーディーン氏、ウォルター・ブラッテン氏と共同でトランジスタを発明。1956年、3人はノーベル物理学賞を受賞した。
受賞後ショックレー氏は生まれ故郷であるカリフォルニア州パロアルトに帰郷し、半導体メーカーであるShockley Semiconductor Laboratory社を設立した。同社には、若い技術者たちが殺到した。ここで、最初の細胞分裂が起きた。ロバート・ノイス氏やゴードン・ムーア氏など8人の技術者が、入社してから1年で身につけた半導体技術を携えて同社をスピンアウトした。彼らが1957年にFairchild Semiconductor社を共同設立すると、世間は彼らのことを「8人の裏切り者(Traitorous Eight)」と呼んだ。
Fairchild社は、IBMなどの大手企業へトランジスタを納めるようになり大いに繁栄した(写真1)。こうしたなか、ノイス氏の開発チームは、1つの基盤に4つのトランジスタを埋め込むことに成功した。これが集積回路の原型である。
1968年、ノイス氏はムーア氏やアンディ—・グローブ氏とまたしてもスピンアウト。Intelを設立した。これに続いたのが、Fairchild社の営業を担当していたジェリー・サンダース氏である。サンダース氏は、エドウィン・ターニー氏らと一緒にAMDを設立した。これら2社をはじめ、Fairchild社からスピンアウトして起業した企業を、Fairchildren(フェアチルドレン)と呼ぶ。
1970〜1980年代になると今度は、IntelとAMDの両社からスピンアウトが続出。数多くの半導体企業が生まれた(図1)。シリコンバレーという呼称が広がったのは、このころである。
Googleチルドレンが続々登場
1980年代、シリコンバレーにおける産業の主役の座はソフトウェアやパソコンに移った。メインフレーム用のリレーショナルデータベースで成功したOracleには、世界中からソフトウェア技術者が集まった(写真2)。その後、1990年代に入ってクライアント/サーバー型のシステムアーキテクチャが全盛を迎えたころ、Oracleからのスピンアウトが増えた(図2)。Salesforce.comもその1社である。フェアチルドレンならぬ“Oracleチルドレン”というわけだ。
2000年代後半からは、Googleチルドレンが次々に出現している(表1)。ポール・バックハイト氏は1998年にGoogleに入社し、Gmailなどの開発に携わった。ブレット・テイラー氏とジム・ノリス氏は、2003年にスタンフォード大学を卒業後、Googleに入社。Google Mapsなどを開発した。彼ら3人は2007年にGoogleをスピンアウトし、SNS集約サービスを提供するFriendFeedを創立した。
バックハイト氏は、Googleのストックオプション株を換金して得た自己資金から、500万ドルをこのスタートアップに投資。2年で元を取った。2009年、Facebookが4750万ドルで同社を買収したのだ。同氏は今、インキュベータのY Combinatorのパートナーとして活躍中。ノリス氏はベンチャーキャピタルBenchmark Capitalの相談役、テイラー氏はFacebookのCTOに就任した。
新たなITサービスを次々に立ち上げては、高額で売却することに成功しているヤン・デビッド・アーリック氏も、Google出身者である。同氏はMicrosoftやGoogleで研鑽を積み、2006年に独立。まずは、着メロ共有サービスを提供するRingtoneSoupを設立し、2007年にYoyo Mobileに売却した。同年、インスタントメッセージングサービスのMogadを創業。2008年に売却し、今度はB to Bサービスの口コミサイトであるChoice Vendorを立ち上げた。2010年、同社をLinkedInに499万ドルで売却。現在、2012年1月に創業したHappiness Enginesにおいて、スマートフォン向けアプリの開発・販売を牽引している。
Googleチルドレンをもう1社。Clouderaは、大規模分散処理技術であるHadoopのディストリビューションやサポートを手がける要注目の新興企業だ。2008年に創業した。同社の共同設立者の1人であるクリストフ・ビシリア氏は、Googleにおいて教育機関向けのクラウドコンピューティング・イニシアチブを立ち上げた人物だ。
もう裏切り者とは呼ばない
そのビシリア氏は2011年、新たな1歩を踏み出した。Google時代からの友人であるアーロン・キンボール氏とともにWibiDataを創立。同社のビッグデータ管理技術には、大きな期待が寄せられている。
最先端のIT企業で技術を磨き、それを生かしてビジネスを立ち上げる。Fairchildの時代とは異なり、そうした行動を裏切りと呼ぶ人はいない。むしろ、挑戦者をこぞって支援する。例えば、ビシリア氏の古巣であるGoogleのエリック・シュミット会長やClouderaのマイク・オルソンCEOは、WibiDataに多額を投資している。
- 山谷 正己
- 米国Just Skill, Inc.社長/名桜大学客員教授/IT Leaders米国特派員
大きなボード上でPC画面と手書き文字を“融合”議論のポイントを確実に保存し有効利用する
電子黒板
PCの画面を表示するスクリーンと、手書き文字などを書き込むホワイトボードの機能を組み合わせた電子黒板。教育現場を中心に普及してきたが、その操作性と利便性から企業への導入も想定される。最新の電子黒板製品の特徴をまとめた。
会議やブレーンストーミングの場では、プロジェクタを使用してPCのプレゼン資料をスクリーンに投影することがよくある。大画面を使って出席者全員でスライドを共有できるため、説明した内容の理解を深めるのに役立つ。しかし、資料のここが大事と指示棒やレーザーポインタで示しても、後で配られた資料を読み返した時にはその個所に何も目印は記されていない。会議中のせっかくの議論やアイデアが残らないのは、実にもったいない。
そこでPCのプレゼン資料を表示するスクリーンの役割と、手書き文字などを書き込むホワイトボードの役割を合わせ持ち、双方の画面情報を重ねて保存できる電子黒板に関心が集まっている(電子情報ボードやインタラクティブ・ホワイトボードとも呼ぶ)。会議中に気づいた意見などをプレゼン資料に手書きで書き込めるため、重要個所に下線を引いたり、必要なコメントを書き込んだりして保存しておくことが可能となる。教育現場では生徒の学習意欲を高めるとして多くの導入実績があるが、今後は会議中のコミュニケーション促進や、顧客先で訴求力の高いプレゼンを実施することを目的に、企業が導入するケースが見込まれている。
提供形態の違いから4つに分類
コストや利便性に差異
電子黒板はPCに専用ソフトウェアをインストールすることで、PCの画面と手書き文字を書き込んだ画面を重ねて保存できる。画面はJPEGやPNGといった画像ファイルとして保存するのが一般的だが、一度利用した手書き文字などを次回の会議で再利用できるように、編集可能な独自形式のファイルで保存するものも少なくない。
なおマイクロソフトの「オフィス」は、電子黒板やタブレットデバイスで利用する場合に限り「インク機能」が有効となる。これにより、電子黒板用ソフトウェアを利用せずとも、パワーポイントやエクセルに手書き文字を書き込んで画像として保存できる。
手書き文字などの入力は、インクを備えない「電子ペン」を用いるのが一般的だ。電子ペンがボードに触れた位置を計測し、その座標をPCに送信して瞬時に画面に反映する。電子ペンの位置を計測する方法は、ペンが放射する超音波や赤外線を読み取る方式や、ペン先に備えるカメラがボードの位置を読み取る方式などがある。これら方式の違いから、書き込める対象が専用ボードに限られるもの、ペンで触れた個所と画面に反映した文字の位置にわずかな視差が生じるものなどの機能差がある。
そのほか、電子ペンを使わずに指を使って文字などを書き込めるものや、電子ペンや指をマウス代わりにして、スクリーンに表示するPCを操作できる製品などもある。
電子黒板は、提供形態により4つのタイプに分かれる(図1)。ホワイトボードやディスプレイそのものが電子黒板としての機能を備えるモデルのうち、プロジェクタを使ってPCの画面をホワイトボードなどに表示するタイプは、ホワイトボードとしての使いやすさを備えつつ、比較的安価に大画面で表示することを可能にする。
図1 電子黒板の形式は4つに分かれる
これに対し、PCの映像出力端子を使ってディスプレイに接続するタイプは、ディスプレイを備えるために高価だが、プロジェクタは不要で、明るい場所でも鮮明にPCの画面を表示できる。室内を暗くする必要がないため、手元に置く資料やノートなども見やすい。
市販のホワイトボードやディスプレイを電子黒板化するモデルは、電子ペンやペンの位置を読み取る小型レシーバなどで構成するタイプと、テレビやディスプレイに専用フレームを取り付けるタイプに分かれる。前者は専用ホワイトボードや専用ディスプレイが必要ないため、壁をボード代わりに利用してもよい(専用ボードに利用が限られるものもある)。レシーバはボードから容易に取り外せるため、外出先などに持ち運ぶのに適する。
後者はテレビやディスプレイを転用できるため導入コストを抑えられる。ただしフレームごとに対応するテレビやディスプレイの機種やサイズが異なるので注意したい。
なお、電子黒板製品にPCは含まない。自身のノートPCを持ち込んで接続する、もしくは電子黒板専用のPCを準備するなどの運用が必要となる。
主要な電子黒板を次ページの表にまとめた。特徴的な製品を中心に以下で紹介しよう。
ジェスチャーで操作性向上
文字をオブジェクトとして認識も
様々なタイプを揃える電子黒板の中でも、iPadなどのスマートデバイスで用いるジェスチャー操作を取り入れた製品が注目だ。
その1つがシャープが2012年1月に発表した「BIGPAD」である(図2)。専用の電子ペンを使って文字などを書けるほか、指でもペン同様に文字を書き込める。ディスプレイに触れた2本の指を開けば画面が拡大し、閉じれば縮小するといったiPad同様の操作にも対応し、手のひらを画面にあてると消しゴムとして文字を消すこともできる。画面を指ではじけば、次ページのスライドを表示することも可能だ。「スマートデバイスの普及により、ジェスチャー操作に慣れている人は多い。こうした人が電子黒板を簡単に扱えるように工夫した」(ビジネスソリューション事業推進本部 ディスプレイ事業部 商品企画部 部長 岡芳樹氏)。
図2 シャープの「BIGPAD」(80V型)。操作パネルを画面上ではなくペン置き場に設置するオプションを用意。ボタンをカスタマイズして特定のアプリケーションなどを直接開くことができる
手書き文字をオブジェクトとして認識する機能も備える(図3)。書き込んだ文字の場所を後から移動したり文字色を変更したりできる。複数のオブジェクトをコピーし、次のスライドで再利用することも可能だ。
図3 BIGPADは手書き文字を入力すると自動でオブジェクトとして認識する。拡大/縮小や回転などのほか、メニューを開いて文字色も変えられる
ただし、ホワイトボードを用いるタイプより視認性に優れるものの、高価である点は否めない。電子黒板としての機能を備えるため一概に比較できないが、市販の液晶ディスプレイは今なら60型モデルを20万円前後で購入できる。社内会議での利用を想定するなら、さらなる低価格化が望まれる。
プロジェクタの影をなくし画面の見やすさを改善
プロジェクタを用いるタイプの場合、説明する人がボードの前に立つと影で画面が見えなくなってしまう。そこでプロジェクタの影を取り除く工夫を凝らした製品がある。
ガイアプロモーションが販売する「MimioTeach」の場合、プロジェクタをホワイトボードの前方に置かず、裏側から投影できる専用ボード「D-Zone」をオプションで用意する。ボードの正面に説明する人が立ったとしても影は一切できない。ホワイトボードから数十センチの場所に取り付けて大画面に投影できる短焦点型のプロジェクタを用いれば、ボード裏側にスペースを割くこともない。
日本スマートテクノロジーズの「SB600シリーズ」やコクヨファニチャーの「プロジェクター付きスライド式電子黒板」などは、ボード上部に短焦点型のプロジェクタを取り付けることで、影をできにくくする。
同時書き込み対応や保存データの全社共有も
図4 内田洋行の「Deldea」。右側は電子ペンの位置を測定するレシーバ。左側は「書く」や「消す」、テンプレートを「開く」などのボタン類を集約した操作パネル
そのほか、複数ユーザーが同時に手書き文字などを書き込める製品も少なくない。会議やブレーンストーミングでは複数の説明者が同時に線を書いたり文字を入力したりするケースがある。そこでパイオニアの「電子黒板シリーズ」や東京特殊電線の「λ-Screen(ラダムスクリーン)」の場合、電子ペンや指が触れた複数の位置を把握する機能を装備。一度に2人までの同時書き込みを可能にする。日立ソリューションズの「StarBoard(フロントプロジェクション型)」は最大3人までの同時書き込みに対応する。
内田洋行は手書き文字などを書き込んだ板書イメージを、全社共有することを視野に入れる。同社が販売する電子黒板製品「Deldea」や「eB-S」が作成した板書イメージを、PCではなくMicrosoft SharePointに保存するソリューションを用意。会議に参加できなかった人でもSharePointから会議の議事録として板書イメージを参照できるようにする。「会議内容を記した板書イメージを全社で活用しない手はない。今後はビデオ会議システムと連携するなど、社内で電子黒板を利用する場を広げていきたい」(マーケティング本部 事業開発センター 事業開発課 課長 橋本雅司氏)。 (折川 忠弘)
表1 ホワイトボード一体となる投影型電子黒板
表2 ホワイトボードなどに後付け可能なユニット型製品
表3 ディスプレイ一体となる直視型電子黒板
表4 ディスプレイに後付け可能なオーバーレイ型製品
IBMがIaaS型クラウドサービスを提供開始
日本IBMは2012年5月12日、IaaS型のクラウドサービス「IBM SmartCloud Enterprise+(SCE+)」を発表した。2011年4月に発表した“1時間10円クラウド”こと、「IBM SmartCloud Enterprise(SCE)」にSLAの選択オプションと、運用サービスを追加したものだ。
SCEではVMの稼働率は「99.9%」に固定していたが、今回発表したSCE+では、98.5%のブロンズから、99.9%のプラチナまで4段階で指定できるようにした。SLAを達成できなかった場合は、利用者にペナルティを支払う。
運用サービスも付加した。SCMを含め、一般的なIaaSはネットワークやハードウェアのみ事業者が運用するが、SCM+はOS・ミドルウェアの運用も引き受ける。具体的には、(1)OS・ミドルウェアのバージョン管理やパッチ管理、(2)インシデント管理や構成管理、(3)セキュリティ管理の3つのメニューを用意する。各オプションは運用プロセスはITILに基づいて行う。
例えばパッチ管理では、「パッチがリリースされるたびに適用する」「どのようなパッチも一切適用しない」など、利用者があらかじめ定めたポリシーに従って、自動的にパッチ適用を行う。
「昨今、EC2のようなIaaS上で稼働するミドルウェアの運用を引き受けるサービスも登場している。そうしたサービスは月額数万円。トータルな運用コストで考えれば、SCE+のコストパフォーマンスは優れているという自負がある」(IBMの紫関昭光理事)。
SCEとは用途に応じて使い分ける。例えば、パイロットプロジェクトをSCEで立ち上げ、ミドルウェアの運用が負担になってきたらSCE+に移行。さらに、規模が拡大したらプライベートクラウドに移行するといったストーリーが考えられる。
IBMが提供するクラウドは、いずれも「IBM Cloud Computing Reference Architecture(CCRA)」と呼ぶ規格に基づいて設計しているため、異なるクラウド間で仮想マシンを移動させたり、連携させたりできる。
アプリケーションベンダーとの協業も積極的に進める。例えば、SCE+上でアプリケーションを運用して、PaaSとして提供する。すでに、SAPがERPソフトを「SmarterCloud for SAP」として提供することを表明している。
運用サイトは全世界で8拠点。すでに2012年4月から、米ノースカロライナ州ラーレイと独エーニンゲンで運用を開始している。日本では8月から幕張のデータセンターで運用を開始する予定だ。
モバイル考察 BYODに向け仕組み作りを!
進化し続けるITの本質や価値、役割は、いろいろな切り口で語られてきた。科学技術は人類の生活に役立ち、生活を豊かにし、人々に幸福感や満足感を与えるものでなければならない。しかし科学技術が高度化し複雑になるに伴って生活環境を変え、その影響を受ける人々が必ずしもハッピーではない現象も起こる。
病から人を救うことを目的として開発される薬には、少なからず薬害がある。農作物の収穫を上げ、豊かさを求めるための化学肥料も同じだ。肥料依存で脆弱になった作物を農薬で守る農法が食の安全を問われている。医療も農業も原子力発電の問題も、利害得失を伴いながら、創りだすのもそれをコントロールするのも科学技術であり、人であるところに特徴がある。
現場で働く人のITとは?
企業のITは活動の効率を追求し、事業の生産性や利益を高める道具として使われてきた。確かに日々の業務効率は格段に上がっているが、働く人々がハッピーかははなはだ怪しい。製造業にしろ、流通業にしろ、サービス業にしろ、多くの労働者はフィールドで活動している。本当に現場で働く人のITになっているのかは疑わしい。
効率化された業務処理の一方で、なぜか忙しさも増えている。ITを使っているのか、ITに使われているのか定かでない。帰社してから残業で入力や管理業務をしていたりする。サテライトオフィスやホームオフィスは実現可能であっても、未だ試行の域は出ていない。直行直帰を含むワークスタイルの変革も進んでいない。変革の1つのキーワードが、モバイル活用ではないかと筆者は常々感じている。
PC持ち出し禁止の“愚”
筆者は常にPCを持ち歩いている。出歩くことが多いので、モバイル環境があればどこでも仕事が出来る。「後で」が「その場で」に替わり、処理効率が飛躍的に向上する。帰社後とか翌日に事務所で処理をしていたら、本来の仕事に時間を割けなくなる。
ところが今でも日本企業の7割がPCの持ち出しを禁じているという調査結果がある。大手の情報サービス会社でさえPCの持ち出しを禁止している。盗難や紛失による情報漏洩などセキュリティ問題を懸念しての措置だ。
この話を聞くたびに「活用」と「管理」が逆転していることに強い違和感を覚えてきた。管理面から見れば、一律にPCの持ち出しを禁じたほうが楽だという発想なのだ。「活用」を前提にしてセキュリティの最適化を図るのがシステム部門の「管理」の役割ではないのか?このような発想ではホワイトカラーの生産性の差が企業活動や産業活動の差につながり、諸外国との間に追いつけない差が生じてしまわないのか?
そんな心配をしていたら、世の中の方が先に動き出してきた。スマートデバイスの爆発的な普及である。コンシューマばかりでなくプロシューマの心も捉えたスマートデバイスが、仕事に使われだすのはそう遠くない。企業は持ち出し禁止どころか、私物解禁を余儀なくされるだろう。
これからの理想のモバイル
タブレットやスマートフォンは携帯電話とは違い、機能面ではパソコンに近い。私物であっても仕事にも使いたくなるのは当然だ。これを管理面から規制することばかり考えないで、活用面から考えるべきだろう。私物解禁とはいわゆるBYOD(Bring Your Own Device)である。今までの管理概念からすればあり得ないかもしれない。
7割の企業がPCの持ち出しさえ禁じていることからみても、社内では侃々諤々の議論が起こるかもしれない。セキュリティと管理が複雑になって難しいからだ。IT資産管理の概念も変えなければならない。それでもこの流れは止まらないと思う。現場のユーザーが切望するからだ。リスクはあるだろうが、科学技術のリスクは人の知恵が解決するべきもの。ユーザーが積極的に活用スタイルを考え、システム部門が技術的な解決を模索し、確立することが大切だ。解決策も見えてきている。
理想のモバイルは、社内外に関わりなくクラウド様態の仕組みから優れたユーザーインタフェースを介して、どこからでもストレスなく必要な業務処理などが出来ることだろう。さあ、仕事を終えて今日は飲みにいこう!
- 木内 里美
- 大成ロテック監査役。1969年に大成建設に入社。土木設計部門で港湾などの設計に携わった後、2001年に情報企画部長に就任。以来、大成建設の情報化を率いてきた。講演や行政機関の委員を多数こなすなど、CIOとして情報発信・啓蒙活動に取り組む
ビッグデータ時代の本格到来に向けて組織体制と人材の戦略的な整備を
日本におけるビッグデータの現状と課題
昨今、ソーシャルメディアの発展やITの進化を背景に、構造化されていない大量のデータが発生するようになった。 そうしたデータを効果的に蓄積・分析して、経営に有用な情報を得ようという取り組みが世界で急激に進んでいる。 本稿では、今、最も注目が高まりつつあるキーワードの1つである「ビッグデータ」の全体像を整理すると共に、 日本におけるデータ活用の実態や課題、ビッグデータ時代の本格到来への備えを考察する。
※本記事は野村総合研究所発行の「ITソリューションフロンティア」2012年3月号 Vol.29 No.3の記事を一部編集して掲載しています。
2011年あたりから急に注目されるようになったITのキーワードに“ビッグデータ”がある。ビッグデータとは、一般的に「既存の技術では管理が困難なデータのまとまり」と定義されることが多い。
ビッグデータを管理するのが困難な理由は、3つのキーワード「Volume(量)」「Variety(多様性)」「Velocity(発生速度や更新頻度)」で表わされるビッグデータの特性にある。ITで処理されるデータの量は飛躍的に増えており、その種類もソーシャルメディア上のテキストデータから映像や音声、センサーデータなどと多様である。加えて「Suica」や「PASMO」など交通系ICカードの履歴データのように、量だけでなく速度や頻度が重要なデータもある。ビッグデータというとデータの量にだけ目が向きがちであるが、このようなデータの性質についても着目する必要がある。
しかし、これだけでは現在のビッグデータをめぐる問題のすべてをとらえることはできない。野村総合研究所(NRI)では、ビッグデータをより広く定義する必要があると考えている。
具体的には、ビッグデータとは「Volume、Variety、Velocity(3V)の面で管理が困難なデータ、およびそれらを蓄積・処理・分析するための技術、さらにデータの本質的な意味を洞察できる人材や組織」を含む包括的な概念である(図1)。
図1 野村総合研究所によるビッグデータの定義
以下では、主にビッグデータを蓄積・処理・分析するための技術と、ビッグデータから有用な意味を引き出すための人材・組織という側面から、ビッグデータ活用の現状や課題、対応策について考えてみたい。
日本と米国で対象的なデータ分析の効果の実感
「データを分析して事業に関する意思決定に有用な意味や情報を引き出す」と聞くと、BI(ビジネスインテリジェンス)が思い浮かぶのではないだろうか。BIは、地域別や商品別の売上など、あらかじめ決められた条件に基づいて財務データを中心に集計や分析を行い、定型レポートを出力するという使い方が普通である。
これに対してビッグデータの場合は、あらかじめデータの種類を限定せず、入手可能なあらゆるデータを用いて今後売れるものを予測する、といった探索的な色合いが濃い。単純な例としては、自社が保有する売上データとマイクロブログなどと呼ばれる短文投稿サイト「Twitter」の書き込みのような外部のデータを併せて分析し、今後売上が伸びるであろう商品を事前に察知するといった使い方が挙げられる。
BIもビッグデータも、データを分析して事業に活用するという点では共通しており、BIの延長線上にビッグデータを位置付けることもできる。そこで今後のビッグデータの普及と拡大の可能性を示唆するものとして、日本でのBIの活用実態を見てみよう。
図2に示したのは、NRIが日米のユーザー企業の情報システム部門勤務者に対してBIツールの導入効果について尋ねたアンケート調査の結果である。これを見ると、日本の場合は「期待以上」と回答した人はわずかに1.8%であり、「ほぼ期待どおり」とした人と合わせても、効果があると感じている人は約3割にとどまる。反対に「どちらともいえない」「やや期待外れ」「期待外れ」を合わせて、思うような効果が得られていないと感じている人が約7割にも上っている。一方、米国の場合は日本とは正反対の結果となっており、「期待以上」が25.0%、「ほぼ期待どおり」が49.0%と、7割以上の人が導入効果を感じている。
図2 BIツールの導入効果出所:野村総合研究所「企業情報システムとITキーワード調査」(2011年8月〜10月)
米国で分析対象として広がる半構造化や非構造化データ
なぜこのような結果になるのだろうか。すでにBIツールを導入済みの企業に対してツールを活用していく上での課題を尋ねたところ、興味深い結果が得られた。その結果を図3に示す。
図3 BIツールを効果的に活用していくための課題出所:野村総合研究所「企業情報システムとITキーワード調査」(2011年8月〜10月)
日本の場合は「活用目的の明確化」と「データ分析スキルの向上」の2つを課題に挙げた回答者がそれぞれ50.5%と48.0%で、共に約半数に上った。BIツールをすでに導入している企業の回答であることを踏まえると、スキルもないまま高価なツールを導入したものの、何にどう使えばいいのか分からない企業が多いという状況にあることが推察できるであろう。米国の場合、日本の回答者が挙げた上位2つの項目を課題とする回答者はそれほど多くない。前者は20.3%、後者は26.4%だった。
反面、「データ品質の向上」や「パフォーマンスの向上」を課題とする声が、いずれも30%を大きく超える。これに加えて「データボリュームの増大への対応」を課題に挙げる回答者は、日本の11.2%に対して米国は24.5%。「新たなデータソースへの対応」については、日本が5.1%だったのに対し、米国では20.3%の回答者が課題としており、ビッグデータへの対応がすでに課題として顕在化していることが分かる。この結果を見る限り、日本企業のBI活用はいまだに初歩段階にとどまっているが、米国企業は2歩先、3歩先を走っている印象を受ける。
実際、日本では販売データや財務データといった構造化データだけに絞ってデータ分析を行っている企業が多い。ところが、米国企業のデータ分析は構造化データにとどまらない。XMLデータのような半構造化データやイベントデータ(システム内部で発生する操作や処理に関するデータ)、地理データはもちろんのこと、センサーやRFID(無線個体識別)のデータ、Webサイトの閲覧データ、ソーシャルメディア上の書き込みに至るまで、ありとあらゆるタイプのデータを分析対象としている(図4)。
図4 分析対象としているデータのタイプ出所:野村総合研究所「企業情報システムとITキーワード調査」(2011年8月〜10月)
データの積極的な活用が競争優位を左右する時代へ
いかにデータを活用するか。さまざまなデータを入手可能になった今、活用の度合いが企業競争力を大きく左右するようになっている─。
これを示す調査結果がある。米国マサチューセッツ工科大学スローンスクールが発行する経営雑誌「MIT Sloan Management Review」が、米国IBMの研究組織であるIBM Institute for Business Valueと共同で実施した調査だ。約100カ国、30以上の業界の経営幹部やマネジャー、分析担当者約3000名を対象にした調査によると、業績上位の企業は下位の企業と比較してデータ分析を5倍も活用しているという(詳細は下記のWebサイトを参照。http://sloanreview.mit.edu/the-magazine/2011-winter/52205/big-data-analytics-and-the-path-from-insights-to-value/)。ビッグデータ時代がさらに進んでいけば、データを効果的に事業に活用できる企業とそうでない企業とでは、ますます業績に差がついていくであろう。
日本でも、データ分析力を武器に着実に成果を上げている先進的な企業はある。だが、多くの企業ではまだ取り組みが十分に進んでいないのが現状だ。今後、日本企業も本腰を入れてビッグデータに取り組んでいかなければ、海外企業との競争には勝てないといった事態になることが予想される。
組織づくりと人材育成がビッグデータ活用の鍵
BIツールやデータウエアハウス(DWH)というと、とかく高価なイメージが先行する。しかし最近では、大規模データの分散処理フレームワークである「Hadoop」や、統計解析言語の「R」など、高品質なオープンソースのツールもそろってきている。このようにビッグデータの活用に乗り出すに当たってのハードルは、以前に比べると大幅に下がっている。
ただし、いくらツールが整備されたとしても、それによって実際に成果が上がるかどうかは、結局は使う人間次第である。必要なのは、膨大なデータの海からツールやスキルを駆使して有用な情報を引き出せる人材(データサイエンティスト)。当然、データ活用を推進する企業風土の醸成も不可欠な要素になる。さらにはデータ分析によって得られた有用な情報を即座に事業戦略に取り込むための組織体制も欠かせない。
このような人材の育成や組織体制は一朝一夕にできるものではない。米国のMcKinsey Global Instituteは2011年5月に発表したレポートで、米国では2018年には14万〜19万人の「データサイエンティスト」が不足すると予測している。日本でも同様に大幅な人材不足に陥ることは明らかである。
ビッグデータの活用に本腰を入れるに際し、人材面や組織体制面を含めて現状の課題を整理する。そのうえで組織体制の構築とデータサイエンティストの育成・確保を、今から戦略的に進めることが企業に求められている。
- 城田 真琴
- 野村総合研究所 情報技術本部 イノベーション開発部 上級研究員
鳥瞰図で見るOSSのカバー範囲 PART 3
クラウドや運用管理にまでOSSの勢力圏が拡大
LinuxやWeb/アプリケーションサーバーから企業に浸透してきたOSS。 最近では、クラウドやビッグデータなどのOSS発の新技術はもちろん、 データベースや運用管理などにも活躍の範囲を拡大し続けている。 各企業への取材から見えてきたOSSの動向をまとめた。
OSSと言えば、OSやミドルウェアが真っ先に思い浮かぶが、企業ITで利用可能な範囲はさらに広がり続けている。動向に詳しい複数のベンダーの協力を得て、主要なOSSをピックアップ、ジャンル別に整理したものが18ページの図3-1である。大量データの処理基盤「Hadoop(詳しくは弊誌2012年3月号参照)」や、スマートフォン向けOS「Android(同2012年1月号参照)」などの新技術から、統合運用監視やセキュリティなど、企業ITの安定稼動に欠かせない技術まで、さまざまな分野にOSSが進出していることがわかる。
OSSに関する社内SEからの問い合わせに対応する富士通の吉田正敏チーフストラテジストは、「従来は、TomcatやMySQLなどの定番に問い合わせが集中していたが、最近は業務アプリからクラウドまで多岐にわたっている。OSSの裾野は確実に広がった」と述べる。以下、最近の動向を見ていく。
Linux
企業ITを支えるインフラに基幹システムでの導入事例も
“無料で利用できるが、性能面や品質面は高くない”というイメージが強いOSS。しかし、商用製品に肩を並べるまでに成長した分野もある。その筆頭がLinuxである。「信頼性やスケーラビリティに課題があるとされた時代もあったが、最近は性能面を疑問視する声を聞かなくなった」(ノベルの山崎正弘シニアマネージャー)。
金融系の基幹システムでもLinuxの採用が増えている。例えば、東京証券取引所が2010年から運用を開始した株式売買システム「arrowhead」ではレッドハットのLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux」を選択。2011年11月には、東京三菱UFJ銀行がSOA基盤のOSとしてノベルの「SUSE Linux Enterprise Server」を採用したと発表した。
各ディスビューターも製品の強化に余念がない。ノベルは2012年3月に最新版の「SUSE Linux Enterprise 11 Service Pack 2」をリリース。OS上で動くアプリケーションの安定性を維持したまま、カーネルを更新する開発手法「Forward Looking Development Model」を採用した。ノベルが互換性を保証するサービスパックでカーネルを更新し、新機能を取り込むことが可能になる。また、レッドハットは2012年4月に基幹システム向けのサポート強化を発表。Red Hat Enterprise Linux 5と6の標準サポート期間を従来の7年から10年に延長した。
PostgreSQL
ベンダー・ロックイン回避策として注目度が急上昇
特定のベンダーによるロックインを回避できる。言い古されたOSSのメリットの1つだが、データベースの分野ではようやく現実味を帯びてきたようだ。きっかけは、2011年11月にオラクルが実施した保守サポート料金の改定。代替案を備えておくことが必要と感じた企業が、特定企業に依存しないRDBMS製品として「PostgreSQL」に注目する動きが活発化した。「この1年で問い合わせがとにかく増えた。自社でPostgreSQLを適用できる範囲を把握したいという要望が多い」(NECの井上浩弓事業部長代理)。
ここ数年で、PostgreSQLの性能が大幅に向上したことも、周囲の期待を高めることに一役買っている。例えば、2008年2月リリースのバージョン8.3では「オートバキューム機能」を追加。処理性能維持のために不要になった更新履歴のレコードを定期的に削除する、PostgreSQL固有の「バキューム」作業を自動化した。また、2011年9月リリースのバージョン9.1では、データの保護機能を強化した。「オラクルのように“痒いところに手が届く”とまではいかないが、基本機能やパフォーマンスは遜色のない水準に到達している」(アシストの加藤義和部長)。
2011年4月には、NTTや日立製作所、富士通、NECなど10社が「PostgreSQLエンタープライズコンソーシアム」を設立。啓蒙活動などを通して企業利用を後押しする。
SugarCRM
他のシステムと組み合わせて使う開発の手間とコストを削減
OSやミドルウェアと比較すると、業務アプリケーションの分野では、OSSの普及にまだ時間が掛かりそうだ。例えば、国内で比較的知名度の高い顧客管理ソフトウェア「SugarCRM」も、2008年にIHIが全社導入して以降は、表立って大きな事例は発表されていない。ただし、水面下では少し変わった形での利用が増えてきている。ソフトウェア単体ではなく、他のシステムに機能を提供するモジュールとして使うというものだ。
例えば、コンシューマ向けWebサービスでは、顧客の個人情報や問い合わせの管理するための機能が必要となる。これらを独自に実装する代わりに、SugarCRMなどのOSSをシステムに組み込む。SugarCRMは、取引先管理や商談管理、キャンペーン管理などの機能を備えており、SOAPやRESTなどのインターフェースを使って、データを登録したり閲覧したりすることもできる。すでに完成したソフトウェア使えば、データモデルの設計やコーディングに頭を悩ませなくてもすむ。
「商用製品と違ってコストが掛からず、改変が自由なのでモジュールとして使い勝手がよい。スクラッチ開発を効率化する手段として利用するケースが増えた」(野村総合研究所の寺田雄一グループマネージャー)。
OpenOffice.org、LibreOffice
Offce 2003サポート終了を機にOSSへの置き換えも
2014年、Windows XPとMicrosoft Office 2003のサポートが同時に終了する。バージョンアップにはライセンスに加えて、性能面の都合からPCも新たに購入しなければならない可能性が高い。少しでもコストを軽減しようと、オフィススイートに着目する企業が増えている。「この1、2年で導入が本格化した。数万台単位の導入案件も手掛けている」(アシストの神谷昌直 公開ソフトウェア推進室長)。
オープンソースのオフィススイートには、サン・マイクロシステムズが開発を支援してきた「OpenOffice.org(オープンオフィス・オルグ)」と、オラクルによるサン買収を機に分派した「LibreOffice(リブレ・オフィス)」がある。いずれも、ワープロソフトや表計算、プレゼンテーション、データベースなどのソフトを備え、Microsoft Officeとデータの互換性もある。
ただし、操作感覚が微妙に異なったり、文書のレイアウトが崩れたりするなどの理由から、移行はあまり進んでこなかった。しかし、「最近は慣れの問題と割り切る企業が増えた。移行がためらわれるほどソフトウェアを使い込んでいる従業員は少ないという判断もあるようだ」(神谷氏)。
Talend、OTRS
データ統合や運用管理など企業ITならでは分野にも進出
企業ITの“縁の下の力持ち”とも言うべき分野でもOSSの存在感が増している。例えば、仏タレンド社が提供する「Talend」は、オープンソースのデータ統合ツール。複数のシステムからデータを抽出したり、データフォーマットの統一や名寄せを行ったりする機能を備える。
2007年から提供を開始した後発製品ながら、ユーザーコミュニティからの要望を積極的に吸い上げ、機能を急速に充実させてきた。例えば、ERPやデータベースからデータを取得するためのアダプタは約450にも上る。通算ダウンロード件数は全世界で2000万件を突破。サポートを含む有償版のユーザーも3500社を数え、国内でも金融や通信での導入実績を持つ。
一方、独OTRS AG社の「OTRS」はコールセンター向けの情報共有システム。顧客からの問い合わせ内容や対応状況、やりとりの履歴などを管理する。OTRSが持つ機能はシステムを運用する際に、障害への対応状況やユーザーからの要望を管理する仕組みとしても利用できる。近年は、変更管理や構成管理などの機能をさらに拡充し、ITILv3準拠の運用管理ツールとしても利用できるようにしている。
図3-1 現在利用可能なOSSの一例 企業利用という観点から、現在利用可能な主要OSSをピックアップした。 作成にあたってはNRI、NEC、サイオステクノロジー、ならびに日本OSS推進フォーラムのアドバイスを参考にした。
座談会:OSS活用の道筋を探る PART 2
- 原田 敬太 氏
- JFEスチール IT改革推進部長
- 1982年4月、川崎製鉄に入社。同社の水島製鉄所システム室長を務める。日本鋼管との合併で2003年4月にJFEスチールが誕生した後、IT改革推進部基盤グループ長として基幹系システムの統合プロジェクトに参画。リーダーとして新基幹系システム「J-Smile」のインフラ設計や構築をけん引してきた。2011年4月より現職
- 寺嶋 一郎 氏
- 積水化学工業 コーポレート 情報システムグループ長
- 1979年4月に積水化学工業に入社し、生産技術部において制御系システムや生産管理システムを開発。その後、積水化学工業の情報子会社アイザックで住宅事業向けエキスパートシステムの開発などを推進する。2000年6月、積水化学工業の情報システム部長に就任。組織改変により、2007年4月から現職
- 甲元 宏明 氏
- アイ・ティ・アール シニア・アナリスト
- 三菱マテリアルにてサプライチェーン改革やグループIT戦略の立案を主導してきた。欧州企業との合弁事業ではグローバルIT責任者として欧州・北米・アジアを統括し、ERPの展開などを実施。2007年から現職。クラウドコンピューティングやスマートデバイス、オープンソースなど幅広い分野を専門に動向を分析している
- 吉田 正敏 氏
- 日本OSS推進フォーラム アプリケーション部会 部会長(富士通 プラットフォーム技術本部 チーフストラテジスト)
- 1978年4月、富士通に入社。ベクトル型スパコンのOS開発などをけん引した後、OSS技術センターやトレーニングセンターの設立を手掛けてきた。2005年から日本OSS推進フォーラムのアプリケーション部会長などの要職に就き、OSSロードマップの策定やRubyアプリケーションのOSS化など、OSSの普及活動に従事している
─本日はユーザー企業のITリーダーやアナリストなど、異なる立場の方々にお集まりいただき、OSS(オープンソースソフト)の活用状況や活用に向けた課題などを議論します。初対面の方もいらっしゃると思いますので、まずは自己紹介から。JFEスチールの原田さんからお願いします。
原田: 原田です。弊社は川崎製鉄と日本鋼管が経営統合して誕生しました。統合に当たって基幹系システムをJavaで開発しました。私は川崎製鉄側のIT担当としてそのプロジェクトに参画し、主に基盤の担当をしてきました。2年前からIT部門を統括しています。
寺嶋:積水化学工業の寺嶋です。情報報システム子会社でシステム開発に携わり、2000年から全社のIT戦略を担当しています。多くのシステムはパッケージを使わず、ごりごりプログラムを書いて自社開発しています。
─最近の日本企業の中では、変わった存在ですね(笑)。
甲元:でも素晴らしいです。欧米の企業はパッケージソフトを使って短期間でシステムをリリースしているという話が注目されますが、実は自社開発も相当やっているんです。
寺嶋:そうそう、パートナーを使いながらも内製してますよね。
─JFEスチールも積水化学も日本企業だけれど、ITは欧米風?
一同:(笑)
─冗談はさておき、甲元さん、お願いします。
甲元:私が勤務しているアイ・ティ・アール(ITR)は、ベンダー独立のIT調査会社で、ユーザー企業に限ると年間200社〜300社とお付き合いしています。本日は数々の調査の中で浮かび上がってきた平均的なユーザー企業の状況をお話しできると思います。
─ITRに入る前は,どんな仕事を?
甲元:4年前までは三菱マテリアルの情報システム部門で、グループIT戦略の立案やサプライチェーン改革を推進していました。三菱マテリアルもシステムを手作りする風土があって、OSSも各種使ってきた経験があります。
─最後に吉田さん、よろしく。
吉田:本日は日本OSS推進フォーラムの立場で参りました、吉田と申します。このフォーラムは、OSSを活用して日本の企業力を高める目的で国内の大手ベンダーが集まり、経済産業省と総務省の後援で2004年に発足しました。クライアントやサーバー、アプリケーションといった分野ごとに部会を設けて、OSS活用の環境整備を進めています。
─中国や韓国とも協調したり、国への提言をまとめたりしている?
吉田:おっしゃる通りです。OSSの普及に貢献した技術者を表彰する制度なども手掛けています。私自身は富士通のプラットフォーム技術本部の所属で、OSSを用いたシステム構築プロジェクトの技術支援をしています。
是是非非でOSS採用を判断
それがユーザーのスタンス
─早速、本題に入りましょう。最初に原田さんと寺嶋さん、両社のOSSに対するスタンスをうかがいたいと思います。
原田: 弊社は必ずしもOSSを積極的に活用しているわけではなく、かといって否定的に見ているわけでもありません。OSSはベンダーによる囲い込みを回避する手段の1つだと捉えていて、システムのコストパフォーマンスが高まるなら使えるところは使うというスタンスです。
寺嶋:私どもも似たような考え方ですね。いわば是是非非でOSSを使うかどうかを判断しています。
─現時点で、どんなシステムに使っていますか。
寺嶋:情報系システムには、随分とOSSを利用しています。関連会社を含めてシステムの利用対象を広げようとすると、(商用ソフトやアウトソーシングでは)どうしてもコストが膨らむでしょう。ですから「グーグルのようなシステムを開発して社内に展開しようか」と言って、メールシステムやグループウェアを作ってしまったのです。
─Linuxや「Sendmail」などのOSSで?
寺嶋:ええ。IMAPサーバーやLDAPサーバー、DNSサーバーはもちろん、負荷分散やウイルスチェックの仕組みもOSSで自前で用意しています。
─業務系はいかがですか。
寺嶋:業務系ですと、例えばプログラムのバージョン管理にOSSを使ってきました。今はネットワークやサーバーの統合監視システムを、商用のパッケージソフトからOSSの「Zabbix」に大規模に切り替えようとしているところです。
─JFEスチールの状況はどうでしょう。
原田: お話したように基幹系をJavaで開発しているのですが、開発フレームワークに「Struts」を活用しています。この座談会に出席するにあたって、改めて調べたところメーラーの「Thunderbird」やデータベースの「PostgreSQL」「MySQL」など色々と出てきました。
オフィス製品も新手のOSSでフォントの互換性に関心
─情報系では使っていない?
原田: 最近、パソコンのOSを「Windows XP」から「同7」に上げるに当たり、オフィスソフトもマイクロソフト製品から「LibreOffice」というOSSに切り替える方針を固めたところです。経緯をお話すると、現状の「Microsoft Office 2000」から「同2010」にバージョンアップするか、あるいは他の選択肢があるのかを社内で議論したんですよ。使い勝手は当然として、既存のドキュメント資産を問題なく使えるか、文書を社外と交換したときに問題が生じないかなどを検証したうえで、OSSの採用を決めました。
寺嶋:オフィスソフトに関しては、弊社もしばらく前にOSSに切り替える方針を立てて、関連会社から「OpenOffice」の導入を進めようと考えていました。ところがサン・マイクロシステムズがオラクルに買収された後、混乱している様子でしょう。バージョンアップを含めて将来性が不透明になった印象があるので、どうしようか悩んでいるんです。
─そのあたり日本OSS推進フォーラムでは、どう捉えているのですか。
吉田:確かに迷走しているという話はあります。当フォーラムでも2011年3月11日の震災後、CD-ROMなどを使ってOpenOfficeを被災地域に配布する取り組みをしていたんですが、現在はLibreOfficeに切り替えています。
─簡単に言うと、OpenOfficeの開発メンバーが別れて作ったのがLibreOfficeですね。
吉田:ええ。もちろん(読み取り可能なファイル形式を拡張するなど)機能改良を加えて使い勝手を高めていますけどね。
─そういったある意味の、“不安定さ”がOSSの課題の一つでしょうか?
寺嶋:機能面もまだ完璧とはいきません。例えばオフィスソフトのフォントについて、OSSとマイクロソフト製品との互換性がもう少し高まったらいいんですが。
─フォントですか?
吉田:Windows用フォントとの互換性の問題です。
寺嶋:互換性が低いからマイクロソフト製品で作成したドキュメントを、例えばOpenOfficeで開くと表示が崩れるんです。
吉田:IPA(情報処理推進機構)がフォントを無償で公開しているので、各社が使い始めればフォントの問題はクリアできるはずなんですが、時間がかかるでしょう。
12次 ›最後 »【IMPACT2012】基調講演~「ITでゲーム(=ビジネス)のルールをチェンジせよ!」
米IBMは4月29日~5月3日、ミドルウェア「WebSphere」に関する年次カンファレンス、「IMPACT2012」を米ラスベガスで開催した。基調講演のトピックを紹介する。
「企業は自分のビジネスを再構築する機会を逃してはならない。基調講演で明らかになったように、創業100年の歴史を持つ家電メーカーのワールプール、中堅銀行のハチントン銀行、あるいはアイルランドに本拠を置く海洋研究所などがテクノロジを駆使してビジネスを再構築している」(米IBMでミドルウェア製品のジェネラルマネジャーを務めるマリー・ウィック氏)。
米IBMは4月29日~5月3日、ミドルウェア「WebSphere」に関する年次カンファレンス、「IMPACT2012」を米ラスベガスで開催した。8500人の参加者(大半が約20万円を支払った有料参加者)、600ものセッション、50弱の出展社など、単一製品ラインのカンファレンスとしては有数の規模。WebSphereのような基盤ミドルウェアへの関心は日本では今ひとつだが、当地では明らかに事情が異なる。
なぜそんなに関心が高いのか。背景にあることのひとつが冒頭の言葉に象徴される、ある種の切迫感だろう。多少の明るさが見えるとはいえ、企業を取り巻く状況の厳しさや先行きの不透明感は日米とも変わらない。状況を打破するためのツールとして、そして初日の基調講演のテーマである「The Business of Technology」の手法としてITを捉え、先に進もうとしているのだ。以下では初日と2日目の基調講演の模様をお伝えする。長文なので、読み飛ばしながら全体の雰囲気をつかんで欲しい。
初日の基調講演
「イノベーションは継続が肝心」
基調講演の時間は2時間あまり。その間、20分~30分毎に様々な立場の講演者が入れ替わりで登壇した。日本ではほとんどない見られない形式だが、IMPACTのようなカンファレンスではごく一般的である。「The Business of Technology」といっても、あるいはそれをIBMのミドルウェアに絞ったとしても様々な側面があり、結果として現在の形になったようだ。
最初に登壇したのは「スティーブ・ジョブズ」の著者であり、伝記作家として知られるWalter Isaacson氏(写真1)。自らが伝記を著したアインシュタインなどのエピソードも織り交ぜながら、「賢い人はたくさんいる。だがクリエイティビティを持ちイノベーションを起こせる人との違いは、情熱を持っているかどうか。考え方が違う人こそが世界を変えていく」と、常識にとらわれないことの大切さを巧みに説いた。

写真1 「スティーブ・ジョブズ」の著者であり、伝記作家として知られるWalter Isaacson氏
エピソードの1つが「iPhoneを開発する時、ジョブズ氏はともかく傷がつかないガラスを必要としたが、当時の取引先である中国メーカーでは作れない。米コーニングに依頼したら『理論的には可能でも、作ったことがない』と言われた。それに対しジョブズ氏は『絶対できる』と説得した。”ゴリラグラス”と呼ばれるコーニングの高硬度ガラスは、その結果生まれた」。市場に存在しないからあきらめるのではなく、どうしても必要という情熱があればやり遂げられるというエピソードである。
これを受けてIBMミドルウェア事業のゼネラルマネジャーであるMarie Wieck(マリー・ウィック)氏が、「人と違うことができるか。イノベーションを継続できるか。カンファレンスの終わりまでに、この問にYESと言ってほしい。そのためにはツールが必要であり、その1つがWebSphereだ。1200社のパートナーによるチームワークで皆さんのイノベーションを支える」と語った。単独だと単なる宣伝文句に聞こえかねないが、アイザクソン氏の後だと不思議とリアリティを感じる。
次に米国の大手家電メーカーであるWhirlpool(ワールプール)でCIOを務めるAnan Douville氏が登壇(写真2)。「我々はIBMと同じく100年の歴史を持つ会社のIT部門だ。170カ国で事業展開しているので、ITもグローバル・レベルである必要がある。クラウドや仮想化のアイデアは素晴らしいが、B2Bのクオリティできちんと動作しないと意味がない。システムダウンは許されない。IBMはそれを理解してくれている」、「先端的なソリューションを持つベンダーと話すためにIMPACTに来た。彼らのソリューションは、我々のような会社がビジネスモデルを変革するのに役立つからだ。当社は今、トランスフォーメーション(企業変革)の真っ最中であり、私はITの専門家としてそれを楽しんでいる。毎日が挑戦であり、ITの立場で変革に携わるのはわくわくすることだ」などと語った。

写真2 Whirlpool(ワールプール)でCIOを務めるAnan Douville氏
改めてSOAへの注力を強調
それなしにビッグデータもスマートデバイスもあり得ない
その後、再び、IBMのWieck氏が登場。ミドルウェアの新製品を公式にアナウンスした(写真3)。発言をまとめると次のようになる。「今日の企業はゲームに参加するためではなく、ゲームをチェンジするためにイノベーションを求められている。しかしイノベーションは単独では起こせない。コラボレーションとパートナーシップが必要であり、それを可能にするプラットフォームがWebSphereの新製品である。処理性能が16%速くなり、これは他社のどの製品をも上回っている。仮想環境の統合や、フットプリントの小ささも特徴だ。ほかに『Mobile Foundation』や『IBM Business Process Manager 8.0』も本日発表した。特にモバイルは以前のeビジネスと同じ状況にある。皆がホームページを作って満足している時、IBMはeビジネスを提唱した、モバイルでも同じ役割を果たす」。

写真3 会場でアナウンスされたミドルウェアの新製品
「これらの新製品は、モバイルでもオンプレミスでも、クラウドでも稼働する。すべての基礎にあるのがSOAである。リユースとインテグレーションに向けて、SOAの重要性は変わらないものの1つだ」。このようにウィック氏は企業ITにおける扇の要としてのSOAの重要性や、IBMがSOAに投資し続けていることを強調した。ビッグデータも、モバイルも、ソーシャルメディアもクラウドも、すべてSOAがシステム基盤にあってこそ生きるという論理だ。「SOA、そしてこれらのソリューションを生かして、企業は自らのインダストリをリシェイプして欲しい。ではどのようにすればいいか?その具体例として次のゲストに登場してもらう」。
この言葉で登壇したのは、米国中西部の地方銀行、Huntington銀行のCIOであるSteve George氏。資産500億ドル、1万1000人の社員を擁する同行は「140年の歴史を持ち、合併買収の嵐や金融危機を生き抜いてきた。ITに関しては、今、メインフレームを含めた古いIT資産をwebsphereプラットフォームに移行している(写真4)。ITに力を入れるのは、大手と同等以上のことを迅速に低コストで実施する必要があるからた。鍵になるのはSOAだと考えている」と語る。なぜIBMのWebSphereなのかにも言及。「WebLogicを使っていたが、古い環境だあった。しかもオラクルが買収してすべてが変わった。(OSSの)Jbossも検討したが、TCO(システムの総保有コスト)を評価した。例えば開発はアジャイル型が必須だったが、IBMの製品はそれをサポートする。WebSphereはBPM、意思決定支援、開発ツールなどの機能が充実している点がメリットだ」(同)。

写真4 Huntington銀行は既存のIT資産をWebSphereプラットフォームに順次移行している
この後、IMPACT2012の主役と言える「PureApplication System」のお披露目やデモがあり、最後にユーザーとしてもう1社、アイルランドの海洋研究所(Marine Institute )Peter Hefferman氏が登壇。IBMの協力を得て、「スマートベイ(SmartBay)」と呼ぶ海洋研究プロジェクトを進めていることを説明した(写真5)。「人は海の重要性を忘れがちだが、天候や人口の問題は海の研究抜きには語れない。大量のセンサーを海に配置して、その理解に努めている。アイルランドの国土の90%は大西洋の下にあり、国土を再発見する試みでもある。これはすなわちゲームチェンジだ」。IBMの”Smater Planet”の取り組みの1つであり、再生可能エネルギーや食料、レジャーなどの面で様々な効果を見込むとという。

写真5 アイルランドの海洋研究所が取り組む「SmartBay」と呼ぶ海洋研究プロジェクト
初日の基調講演の締めくくりが、パートナー企業の表彰。米Prolifics(SOA)、日本情報通信(クラウド)、メキシコのAlkimia Consultores(BPM)、Flagship Solutions Group (意思決定マネジメント)、Arrow ECS(ディストリビュータ)、Vindicia(デジタルコンテンツやサービス専門の課金サービス)の6社である。日本情報通信=NI+Cを除けば日本ではほとんどなじみのない企業ばかりだが、各領域に専門企業が存在することには注目しておくべきだろう。IMPACT2011の「Best of Show Award」はForeFrontが受賞した。CastIronを中心としたIBM製品を用いてオンプレミスのCRMやERPなどとクラウド上のそれらを連携させるソリューションを提供する企業である。
トランザクション処理にこだわってきたIBM
モバイル時代こそ、その強化に力を入れる
2日目の基調講演のテーマは「Engage、Extend、Succeed」。始まりは初日よりも凝った構成だった。米CNNの技術コメンテータとして知られるKatie Linendoll氏が、カードで買い物をするビデオからスタート。その後、実物の彼女が登場して進行役になり、米マスターカードのJohan Garbar氏が登壇した。「当社には17億人の利用者がおり、210カ国150の通貨を扱う3200万の店舗を結んでいる。マスターカードにはクレジットカード会社というイメージがあるが、実際は先進的な決済機能を提供するテクノロジーの会社だ。それを担うシステムは毎秒4万3000のトランザクションを処理し、14BIPS(10億/毎秒)の性能を備える。停止は決して許されない。バックアップのバックアップもあるほどだ」。
マスターカードが基調講演に登場した目的の1つは、IBMが現在力を入れているOperation Dicision Management(ODM)の事例を話すためだ。「単にトランザクションを処理するだけではなく、インテリジェントに行う必要がある。そこでWebSphere、同Message Broker、そしてILOG(現在のIBM ODM)を導入した。WebSphereにより基盤は安定しており、ILOGによって各種規制への適合、不正利用の防止、そして新規のサービスを迅速に提供できるようになった。かつて2週間かかっていた処理の変更が、現在では数時間で済む」(写真6)。

写真6 Operation Dicision Managementの活用事例として登壇したマスターカードのプレゼン資料から
その後、IBMのSteve Mills氏が登壇し、マスターカードの講演を受けてトランザクション処理の過去と現在、今後について話した。「お金のやりとりを伴うトランザクション処理の大半はメインフレームなどIBMのハードや、CICS、IMS、WebSphereといったソフトウェア上で行われている。マリオットホテルや、チャイナモバイルのような成功事例も数多い。こうした点で、IBMはこの分野のエキスパートだ。ここで60年代,70年代を考えると、トランザクション処理は垂直型のアプリとして構築し、一貫性を保証していた。今もそうしている企業があるかも知れない。しかし今日ではトランザクションは劇的に増加している。例えばカードのトランザクションは毎日8億6400万件。モバイルからのトランザクションは2016年には100億件になるだろう」。
「ロールバック、リカバリなどトランザクション処理の基盤に対する要求は同じでも、インターネット規模の量に対し一貫性を保証するとなると、垂直型では対応困難だ。水平の世界で連携して処理をこなさなければならない(写真7)。そこでIBMはトランザクション処理に投資している。SOAを使ってモジュラリティとアジリティを確保し、トランザクションとビジネスプロセスを統合する。我々の、このような旅には終わりがない。アナリティックスを、ソーシャルを、トランザクション処理に取り込んでいく必要もある。5年後10年後にどうなっているか、期待して欲しい」。モバイルデバイスのような機器が爆発的に増大するからこそ、トランザクション処理、それを支えるシステム基盤が重要になるというメッセージだ。

写真7 トランザクション処理の今後について言及したIBMのSteve Mills氏のプレゼン資料より
2番目の事例として、オタワ病院Katie Linendoll氏がBPMとモバイルを講演した。「かつては患者のベッドサイドに置かれている紙のカルテを見ながら医師は患者と話した。10年以上前にPCが導入され、電子カルテになって、医師は患者の病室にに行かなくなった。これはほんの一例で医師と患者を分断する問題は数多い。そこでiPadを3000台以上導入し、ベッドの横でケアできるようにした。患者に情報を見せ、治療に参加してもらうこともやりやすくなった」。
オタワ病院における次のステップが、“ケアプロセスマネジメント”と呼ぶプロセスのIT化だ。「医療は様々なプロセスから成り立っていて複雑。しかも医師や患者、薬剤師など多くの関係者がいるので、作業指示や業務連携を確実に行う必要がある」。加えて、いつ誰が何をどの患者に提供したかという患者毎の記録(ヘルスケアレコード)も記録しなければならない。そこでBPMに着目、医師、看護師など人がこなすプロセスのIT化や記録ができるようにした。「テクノロジーチームと協力して、多くのことを改善できた。(モバイルとBPMによって)患者中心のチーム編成が、組めるようにもなったと思う(写真8)」。

写真8 オタワ病院のKatie Linendoll氏が講演したプロセス改革の取り組み概要
BPM製品を刷新・統合、
業務プロセスにおける意思決定支援も
この講演を受けて、IBMにおけるBPMとDicision Management担当副社長のPhil Gilbert氏が、BPM製品を説明した(写真9)。「IBMは20以上のBPM関連製品を提供してきた。それを統合して1つの製品にした。定型業務向けのBPMと非定型業務向けのBPMを統合し、Tivoliのアイデンティティ・マネジャーやマスターデータ管理(MDM)、企業コンテンツ管理(ECM)なども統合した。それがIBM BPMバージョン8である。V8ではSAP ERPなどの製品とBPMの統合も容易にした。V8によってエンドユーザーとプロセスの橋渡しができる」。その後、マスターデータを変更する例を元に、デモを実施した。「プロセスマネジメントの分野に対し、IBMはこだわりと情熱を持っている。そのことを実感して欲しい」という言葉で、デモを締めくくった。

写真9 BPM関連製品の最新技術を解説したプレゼン資料より
続いてBodyMedia社が自らの事例を講演。変わった社名だが、食事や睡眠,運動量などを把握するための腕輪型の身体モニタリング装置と、それに基づいて日常の活動をコーチングするアプリを提供する、ベンチャー企業だ。CEOのクリスティーナ・ロビンス氏は、「当社は健康的な生活を送るためのITサービスを提供している。ボディセンシングにより毎分5000個のデータを収集し、機械学習を経て最適な行動をアドバイスする」と説明する。利用者は自分のテレビやPC、モバイルデバイスを見て、例えば「眠る前に30分、運動した方がいい」、「睡眠の質がよくないので注意」といったアドバイスを得ることができるのだ(写真10)。モニタリングするのは発汗、体温、熱発散、3軸の加速度の4項目(同社Webページによる)。M2Mを人を対象に適用するアプローチと言え、米国では同様の機器とサービスを提供するベンチャーが複数登場している。

写真10 健康的な生活を送るためのサービスを提供するベンチャー企業、BodyMedia社のプレゼン資料より
それにしても、そんなベンチャーがなぜIBM主催のカンファレンスに登場したのか?実はリアルタイムで利用者に情報を提供するために、BodyMediaはルールベース・エンジン=WebSphere Operation Dicision Managementを使っているのだという。ロビンス氏は「IBMとそのパートナーであるSumma社には感謝している。当社はまだ小さいが、医療機関との関係も含めて我々の技術とルールベースが世界を変えるという夢がある。それを支援してくれているのがIBMだ。将来はスマートホーム、その一部である冷蔵庫などとの情報連携も実現したい」。
そして再びIBMのBob Suter氏にバトンタッチ。モバイルソリューションの解説に移った。「CIOへの調査では61%がモバイルを最優先課題に挙げている。なぜこれほど関心が高いのか。自分のことを考えると明らかで、仕事に、買い物に、あるいは健康管理に日々モバイルデバイスを使っている。これをビジネスに利用しない手はない」。
こう前置きした上で、今回発表した「Mobile Foundation」を説明した。「モバイルの利用には3つの領域がある。アプリケーションの構築と接続、セキュリティ、そしてマルチチャネル対応だ。MFは、開発/実行環境のWorklight、連携のCastIron、アイディンティティ管理、モバイルデバイス管理などを統合した製品だ。AIXやZ上のアプリケーションをモバイル対応にできる」。
締めくくり役を務めたのは、IBMのBridget van Kralingen氏。「今までの話を聞いていて、ITは戦略支援ツールから戦略そのものに変わってきたことがよく分かる。我々は情報欠乏から情報が豊富な時代に、型にはめる時代から人はユニークという時代に、そして仕事と遊びを分ける時代から仕事の中で遊ぶ時代に生きている。つまり20世紀的な階層構造は、今やひっくり返った」。こう総括した上で、次のようにまとめた。「自分の時代、子供たちの時代に向けて今、起きているのは、これまでと全く違うという認識が必要だ。組織と社員の関係も変わる。お客に提供することは社員にも提供するべきだ。こうしたことを理解するところから、進化が生まれる」。
40コアの計算能力とインメモリー技術を駆使し、データ分析を高速化
日本オラクルは2012年3月27日、データ分析専用機「Oracle Exalytics In-Memory Machine」を発表した(写真)。多コアのプロセサと大容量メモリーを搭載したハードウェアに、ビジネスインテリジェンス(BI)ソフトやインメモリーデータベースソフトを実装し、処理性能を最適化したアプライアンス製品。多次元データ分析に要する時間を約90倍、分析結果のチャートなどで構成するダッシュボードの表示性能を23倍に高められるという。同日開催した会見で三澤智光専務執行役員は「他社に比較対象になる製品は存在しない」とぶち上げた。
写真 日本オラクルのデータ分析専用機「Oracle Exalytics In-Memory Machine」
[構成と主な特徴]
InfiniBandでI/O遅延一掃
処理の並列度を16倍に向上
Exalyticsは3Uサイズのラックマウント型サーバー「Sun Fire」に、10コアのインテル製プロセサ「Xeon E7-4800」を4個と、1テラバイトのメモリーを搭載している。データ転送速度が毎秒40ギガビットのInfiniBandを採用することにより、データベースサーバーからBIシステムへ分析対象データを取り込む際のI/Oのボトルネック解消を図った。InfiniBandのポートを2個備えており、一方に障害が発生した際にフェイルオーバーが可能。複数台のExalyticsを用いてクラスタを構成するときのネットワークにもInfiniBandを使える。
このハードウェアに、複数の機能からなるBIソフト「Oracle Business Intelligence Foundation Suite」と、Exalytics向けに機能強化したインメモリーデータベースソフト「Oracle TimesTen In-Memory Database for Exalytics」を実装している。
前者は、事前に設定した多面的な切り口でデータ分析する多次元データ分析や、必要に応じてデータにアクセスして分析するアドホック分析、ダッシュボード生成、分析レポート作成など、BIシステムに求められる機能をひと通り備える。このうち例えば多次元データ分析について、処理の並列度を8多重から128多重へと16倍に向上。分析や更新処理を高速化すると同時に、ダッシュボードの表示性能を向上させた。さらに、分析レポートの利用履歴に基づいて、使用頻度が高いデータをインメモリーデータベースに保存するよう管理者に示唆する機能を併せ持つ。
後者は、データ圧縮機能を備えている。数テラバイト規模のデータを圧縮して1台のExalyticsに格納すれば、単体でインメモリー型のデータウェアハウスを構築できるとしている。加えて、圧縮したデータを解凍せずに操作することで、分析処理のいっそうの高速化が図れるという。
参考価格はハードウェア部分が約1500万円、ソフトウェアが100ユーザーで約5000万円から。
[Fusion Applications]
100種の機能をSOAで連携
全日空系LCCが国内初採用
日本オラクルはExalyticsの発表から2日後の29日、100種類以上におよぶすべての機能モジュールをJavaで開発した新たな業務アプリケーション群「Oracle Fusion Applications」を発表した。会計と購買・調達、サプライチェーン管理、CRM(顧客関係管理)、人材管理、内部統制・リスク管理、プロジェクト管理の7つの製品で構成する。各製品の機能モジュールをSOA(サービス指向アーキテクチャ)基盤を介して連携させ、統合アプリケーションを構築できる。スマートデバイスからも操作可能なほか、ユーザー間のコラボレーションを支援するソーシャルネットワーク機能を持つ。
Fusion Applicationsはオンプレミス型システムやプライベートクラウドでの利用はもちろん、日本オラクルが提供するパブリッククラウドサービスとしても使える。パブリッククラウドサービスとしてはまず、人材管理とCRMの提供を開始。国内第1号ユーザーとして、全日本空輸などが出資する格安航空会社(LCC)であるピーチ・アビエーションが、人材管理システムを採用した。 (栗原)
News2u Inc. 企業ソーシャルメディアの公式アカウント紹介ディレクトリサービス「Comfacts」を開始 [ニュース] | Web担当者Forum
ネットPR事業のニューズ・ツー・ユーの100%子会社である米国法人News2u.Incは、企業のソーシャルメディアの公式アカウントを紹介するディレクトリサービス「Comfacts」を提供開始したと、5月16日に発表した。
Comfactsは、企業の公式アカウントを発見したユーザーが、アカウント情報を企業に教えてくれるUser Generated Service。あらかじめ約2,000社の情報が登録されており、企業担当者はComfactsで自社の公式情報を承認していく。
また、エンドユーザーは関心のある企業のソーシャルメディアアカウントを発見した場合、それが承認されていないものであればComfactsを通じて担当者に確認を依頼できる。企業側は、その正否を判断し承認することによって、正しい企業のソーシャルメディアアカウント情報を多くのインターネットユーザーに伝えることが可能になり、エンドユーザーはなりすましではない企業の公式ソーシャルメディアアカウントを探すことができる。
Comfactsのネーミングの由来は「Facts」×「Comfort」。企業が発信する正しい情報と、インターネットユーザーの善意によって、より安心かつ快適なソーシャルメディア利用環境を作り出したい、という想いが込められている。
Comfacts
http://comfacts.com/
News2u Inc.
http://www.news2u.com
ニューズ・ツー・ユー
http://www.news2u.co.jp/
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日本IBM、基幹向けマネージドIaaSを発表——SAPアプリ開発環境の開発意向も表明
日本IBMは5月15日、企業の基幹業務での利用を想定したマネージドIaaS(Infrastructure as a Service)「IBM SmarterCloud Enterprise+(SCE+)」を発表した。
SCE+は、IaaSの利用環境だけではなく、運用サービスが提供されるマネージドクラウドサービス。同社のクラウドサービス体系「IBM SmarterCloud ポートフォリオ」の下に提供される。運用サービスでは、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)に基づき、仮想化された個々のリソース(仮想マシン)上のOSレベルまで管理対象とする。
また、同社の企業システム構築/運用経験から生み出されたアーキテクチャ「IBM Cloud Computing Reference Architecture(CCRA)」に基づき、世界各地域に配置されたIBMデータセンターを連携/統合して運用が行われる。同様にCCRAベースのIBM SmarterCloudの製品/サービスとの連携が可能で、例えばIBM PureSystemsとの連携を図ることができる。
仮想化データセンターのニーズに応える性能向上 Part3-1 Processor
データセンター完全ガイド 2012年春号(2012年3月31日発行)掲載文:廣澤 純
変化の著しい市場ニーズに対応するため、サーバー仮想化やクラウドの進展とともに、プロセッサコア数の増加、コア性能の向上、搭載可能メモリ容量の増大などが年々加速している。それとともに、ミッションクリティカルなプラットフォームとして、省電力、セキュリティ(暗号化)、信頼性の向上、といった機能が要求されるようになっている。
爆発するインターネットとクラウド
2010年以降のクラウド化の進展は著しいものがある。インターネットサービスが増殖することで、パブリッククラウドでは、データとトラフィックが爆発的に成長している。Intelの予測によれば、2015年には、ネットワークに接続されているユーザーは25億人、ネットワークに接続されているデバイスは150億台、データ量は1000エクサバイトにも及ぶとする(図1)。これだけのデータとトラフィックをまかなうために、いったいどれほどのリソースが必要とされるのか、正直想像もつかないが、今よりはるかに多くの演算能力とメモリ、ストレージ容量とネットワーク帯域が必要とされることだけは確かだろう。
図1 2015年の市場予測(出典:Intel)
一方、多くの企業のIT部門では、より高い価値をビジネスに提供するために、データセンターを仮想化することで、コストを引き下げ、サービスレベル、効率性、俊敏性の向上に取り組んでいる。当初は、サーバー仮想化により、サーバー統合を図り、コストの削減を図っていただけのものが、徐々に柔軟なリソース管理技術により、ダイナミックにリソースを割り当てることが可能になり、さらに運用が自動化され、今やサービスとしてITインフラが提供されるようになっている。その仮想化データセンターおよびプライベートクラウドといったITインフラの重要な技術基盤の1つとして、プロセッサは、さらなる性能向上と効率向上が求められている。
仮想化とクラウドへ向けた最適化
こうしたサーバー仮想化やクラウドの進展とともに、プロセッサのコア数の増加や性能向上、搭載メモリ容量の増大が年々図られてきたが、2011年末から2012年の初頭にかけて、AMD、Intelの最新アーキテクチャのサーバー向けプロセッサが登場している。
プロセッサのコア数とメモリ容量の増大は、そのままホスト可能な仮想サーバーの数につながる。また、1ソケット、2ソケット、4ソケット対応などの市場の比率も徐々に変化してきている。1ソケットは、仮想化用途ではスペース効率の悪さから徐々に敬遠されるようになり、1つのプロセッサに搭載されるコア数が増大したことにより、2ソケットでも十分なコア数が提供されることから、この市場がますます広がり、4ソケット市場はHPCなどの特殊な領域の用途と位置づけられるようになってきた。
また、コア単体のピーク性能の向上や搭載可能なメモリ容量の増大により、さまざまな用途のサーバーをホスト可能になっている。かつてはWebサーバーやアプリケーションサーバーの用途がほとんどだったが、データベースやERPなどのミッションクリティカルな分野へも、仮想化プラットフォームの用途は広がっている。それとともに、重視されるようになったのは、信頼性(耐障害性)やセキュリティ、省電力機能である。
前世代のプロセッサから、RAS(Reliability、Availability、Serviceability)については、冗長化やホットプラグ、障害復旧機能がずいぶん強化されてきているが、ここにきてハイエンドのプロセッサのみならず、メインストリームの2ソケット対応プロセッサにおいても、RASが強化されている。
さらに、最近になってクローズアップされてきたのがI/O性能である。ダイナミックな仮想サーバーのマイグレーションやストレージマイグレーションなどで、ネットワークをまたぐデータ転送量の飛躍的な増大に対応するために、I/Oレイテンシの低減や、帯域の拡大へのニーズも高まっている。従来、仮想化プラットフォームのボトルネックとなっていたのは、NICだったが、10Gbpsのイーサネットの普及により、そのボトルネックがNICから、プロセッサ側のI/Oの性能に問題が移りはじめたためだ。そのため、プロセッサ側のPCI Expressインターフェイスへの対応も、さまざまな改良が施されるようになった。
しかし、こうしたさまざまな革新的な技術も、長い目で見れば、1つのマイルストーンに過ぎない。Intelが予測するような、急激な変化にITが対応しなければならないという現実が直前に迫っており、その先にはさらなるデータ爆発が待っている。そのためには、性能はもちろんのこと、コスト、効率の向上といった点で、ITインフラを築くプロセッサには、まだまだ厳しい要求が突き付けられることになるだろう。
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漫画家・漫画原作作家。ヤングジャンプにてデビュー。著作に『中京女大レスリ ング部物語「ちゅうじょ」』(実業之日本社)など多数。 現在「グランドジャンプ」にて、構成を担当している『未解決事件 グリコ・森 永事件』が連載中。
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