「バケツリレー」のChain of Responsibilityパターン
比較的利用価値の高いChain of Responsibilityパターン
最終回の今回は、ふるまいに関するパターンとして比較的利用価値の高いChain of Responsibilityを取り上げます。前回と同じようにUMLとサンプルコードを元に解説していきたいと思います。
今回はChain of Responsibilityパターンを学習しましょう。なんだか難しそうな題名ですが、落ち着いて見ていきましょう。
chainは「鎖」、responsibilityは「責任」と訳せます。したがって、Chain of Responsibilityは、「責任の鎖」ということになりますが、これはどういったことを意味するのかを解説していきたいと思います。
イメージ結婚判定ワークフロー
サンプル図(図2)でイメージをつかんでみましょう。
今回の例は、結婚判定ワークフローをイメージしてみました。このサンプルの判断基準は3つあります。
・対象者が16歳以上かどうか
・性別を判定して男子であれば18歳以上かどうか
・仕事を持っているかどうか
この3つの処理を順次オブジェクトに引き継ぎ処理をしていきます。
ではプログラム処理を見ていきましょう。サンプルコードはこちらでダウンロードできます。クライアントは、対象者のプロフィルを設定したインスタンスを生成します。処理者は対象者のプロフィルを判定して、次の担当者へ処理を引き継いでいきます。
処理者は上記の通り3つのオブジェクトが処理を担当します。
1)処理者1は、結婚に関する年齢判定を行います。処理内容は、対象者が16歳以上かどうかを判断します。
2)処理内容が16歳以上の場合、次の処理者2へ処理を要求します。
3)処理者2は、性別と年齢に関する判定を行います。処理内容は、男性の場合について18歳以上かどうか判定します。
4)条件を満たした場合、次の処理者、処理者3へ処理を要求します。
5)処理者3の処理は、雇用者かどうか(仕事を持っているかどうか)について、コメントを出します。
処理者1→処理者2→処理者3に引き継がれて作業が進むことになります。
Chain of Responsibilityパターンは、要求に対する処理が完了するまで、要求を受信する複数のオブジェクトをチェーン状につなぎ、要求を引き続いて処理していくパターンです。言い換えると、ある処理を行うのに、その特定できるオブジェクトが不明な場合、現在処理しているオブジェクトに次の処理者を登録して、チェーンのようにつなぎながら、処理できるオブジェクトに到達するまで、順次要求を渡していく方法です。