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  書評

Think IT著者陣がおくる デザインパターン必携書籍 厳選6冊

2009年5月21日(木)
安藤 崇周/細川 努/清水 英雄

アプリケーション構築の基本パターン

評者:細川 努(アーキテクタス)

『エンタープライズ アプリケーションアーキテクチャパターン』
マーチン・ファウラー 著
価格:6,090円(税込)
発行:2005/4
翔泳社
Amazonのページはこちら→http://www.amazon.co.jp/dp/4798105538

 世界的なアーキテクトとして有名なマーチン・ファウラーによる、アプリケーションアーキテクチャに関するパターン集です。

 この書籍は、後述する『J2EEパターン』などをさらに発展させて、アプリケーションを構築する上での基本的なパターンを紹介しています。

 例えば、データベースへのアクセス(データ永続化)については、4つのパターン(テーブルデータゲートウェイ、ロウデータゲートウェイ、アクティブレコード、データマッパー)を定義しており、それぞれの長所短所についてもわかりやすく説明しています。

 また、Rubyによるアプリケーションフレームワークとして有名な"Ruby on Rails"では、上記のパターンのうち、アクティブレコードを用いているなど、この書籍は最近のアプリケーションアーキテクチャに大きな影響を与えています。

 アーキテクトおよびアプリケーション開発者にぜひ読んでいただきたい1冊です。

サンのアーキテクトが解説、J2EEでWebシステム構築

評者:細川 努(アーキテクタス)

『J2EEパターン 第2版』(第1版は『J2EEパターン ―明暗を分ける設計の戦略』 ピアソンエデュケーション)
ディーパック・アラー、ジョン・クルーピ、ダン・マークス、近棟 稔、吉田 悦万、小森 美智子、トップスタジオ 著
価格:5,460円(税込)
発行:2005/5
日経BP社
Amazonのページはこちら→http://www.amazon.co.jp/dp/4822282287

 J2EE(現在ではJava EE)は、現在最も利用されているサーバー向けアプリケーション開発基盤です。この書籍では、サン・マイクロシステムズのアーキテクトがJ2EEを用いてWebシステムなどを構築する際のアーキテクチャパターンを説明した名著です。

 もともと、初期のWebアプリケーションは、アーキテクチャがプロジェクトによってまちまちでした。J2EEパターンでは、サーバーアプリケーションのアーキテクチャ構成の層ごとに基本となるパターンを定義して、戦略的なアーキテクチャを設計するための指針を与えています。

 例えば、Webシステム開発で一般的に用いられている、DAO(データアクセスオブジェクト)も、このJ2EEパターンに由来しているなど、現在のWebアプリケーション開発は、このJ2EEパターンから少なからず影響を受けているのです。

 J2EEパターンが登場して以降、各種のフレームワーク(Struts、Spring、Seasar2、Hibernateなど)が登場し、開発者が手作りしなければならない部分が少なくなっているので、現在ではこの本で説明しているパターンを知らなくても開発できますが、アーキテクトを目指している方々にはぜひ参考にしていただきたい書籍です。

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評者:
株式会社アーキテクタス 細川 努

(株)アーキテクタス 代表取締役 技術士(情報工学) 大手シンクタンクで金融系システム構築等を経験。現在、総務省CIO補佐官として、総務省内のシステム構築への助言等を担当している。要求開発アライアンス理事 日本Javaユーザー会(JJUG)監事

著者
安藤 崇周/細川 努/清水 英雄

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