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徹底比較!! Solaris/Linux/BSD
徹底比較!! Solaris/Linux/BSD

第2回:ファイルシステムを比較してみる
著者:シンクイット  紙屋 伸成   2005/6/7
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ファイルシステム

   ファイルシステムとは、ハードディスクなどの記憶装置にデータを記録する方式です。それぞれのOSでファイルシステムは異なり、それぞれに特徴があります。また、信頼性やパフォーマンスにも影響しますので、ここでじっくり比較してみましょう。
Solarisのファイルシステム

   Solarisでのデフォルトファイルシステムは「UFS」(UNIX File System)です。これは4.3BSDで実装されたファイルシステムであり、ここでもSolarisがBSDの血を受け継いでいることがわかります。UFSについては後述の「BSDのファイルシステム」で説明しますので、ここではSolaris 10で採用される(アップデートリリースで対応)新しい「Solaris ZFS」(Zetta Bytes File System)について紹介しましょう。

   ZFSの特徴としてまず挙げられるのが、128bitアドレッシングにより事実上無限のディスク容量を扱えることです。たとえば32bitのアドレス空間であれば、2の32乗×512bytes=約2TBが限界となります。電卓などで計算すればわかりますが、128bitの場合は自然対数でないと表現できないくらいの大きな数字になります。

   確かに現在ではそんなに大きなストレージは使わねぇよ、とも思います。しかし、これまでのファイルシステムではいずれ限界が来るでしょうし、128bitのファイルシステムが必要となる時代はそう遠くないのかもしれません。ストレージの市場では、それこそ日に日に容量が増えているのですから。

   また、Solaris 10でUFSを使用する場合、デフォルトでロギングがONとなりました。つまりデフォルトのUFSでも信頼性が上がっているということです。


Linuxのファイルシステム

   Linuxで代表となるファイルシステムは「ext3」です。代表、という言葉を使ったことからわかるように、Linuxでは他にも多様なファイルシステムを選択できます。ext3はジャーナリング機能を持っていますが、他にもジャーナリング機能を持った「JFS」、「XFS」、「ReiserFS」などのファイルシステムがあります。表4にそれぞれの特徴をまとめます。

   表4にそれぞれの特徴をまとめます。

種類 特徴
ext3 伝統的なext2互換のファイルシステム。アルゴリズムはブロックアルゴリズム
JFS kernel 2.6から標準搭載。アルゴリズムはB-TreeをベースとしたB+-Tree
XFS 64bitのファイルシステム。kernel 2.4.21から標準搭載。アルゴリズムはB-TreeをベースとしたB+-Tree
ReiserFS セクタよりも小さなサイズのファイルでも効率よくデータを保存できるのが特長。アルゴリズムはB-TreeをベースとしたB*-Tree

表4:Linux のファイルシステムの特徴


   ジャーナリング機能に関しても、詳細に見ればそれぞれで特徴があります。データの重要度によって、それぞれのファイルシステムを選択することになります。ファイルシステムにおいても多様な選択をできるのは、非常にLinuxらしいといえるでしょう。


BSDのファイルシステム

   BSDでは「UFS」が使われています。しかしUFSという呼び名でも実はいろいろなファイルシステムが存在します。一般にUFSと呼ばれるファイルシステムには表5のものがあります。

種類 特徴
UFS(UNIX File System) 初期のUNIXで使用されていた
FFS(Fast File System) BSDで作られたUFSの改良版
FFFS(Fat Fast File System) FFSの改良版。現在UFSと呼ばれているもののほとんどがこのファイルシステム
UFS2(UNIX File System 2) 64bitアドレス空間を持つUFS。FreeBSDでUFSという場合はこのファイルシステム

表5:UFS の種類


   これらのファイルシステムにはジャーナリングの機能はありません。FreeBSDの場合、SoftUpdateという機能でディスク書き込みをすれば、基本的なジャーナリングと同等の信頼性を得ることができます。

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著者プロフィール
株式会社シンクイット  紙屋 伸成
大学のときに研究室でUNIXシステムと出会い、以後そこから抜け出せずにいる。IT系出版社、通信会社と渡り歩き、シンクイットに所属。企業システムにおけるオープンソースの位置づけを日々考えている。


INDEX
第2回:ファイルシステムを比較してみる
ファイルシステム
  ディレクトリ構造
  ファイルシステムからみた選択ポイント