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データベースサーバにおけるメモリ管理の重要性
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一般に、データベースサーバにおいて、ページキャッシュ(ファイルキャッシュ)を管理することは、性能上あるいはシステム安定稼動の観点から重要です。
今回は、DB2がオンライン処理を実行中に、大規模ファイルアクセス(読み取り、書き込み)を伴う処理が実行される場合のメモリ管理を取り上げます。具体的には、Linuxページキャッシュ(ファイルキャッシュ)が大量に確保され、そのかわりにDB2のメモリがスワップされて、DB2がスローダウンしてしまうようなことを回避する方法について検討します。
DB2が利用するメモリは、そのパラメータ構成により上限のサイズを決めることができます。一方のLinux側におけるページキャッシュの最大利用量は、指定する方法がありませんので(Linuxソースコードを自身で修正することを除き)、一般的な対応方法としては以下のようなものが考えられます。
- Linuxカーネルパラメータでの対応
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- プロセス/メモリがスワップされづらくする
- ページキャッシュを再利用されやすくする
- DB2設定での対応
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- DB2の処理でページキャッシュを使わないようにする
- DB2のメモリをスワップされないようにする
- DB2_PINNED_BP登録変数を利用して、データベース共用メモリをロックし、スワップされなくする
- Linuxラージページを利用して、スワップされなくする
表1:メモリワップの一般的な対応
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Linuxカーネルパラメータでの対応
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Linuxカーネルパラメータでの対応においては、本連載の「第5回:カーネルをチューニングする」の「メモリ」にあげたカーネルパラメータを調整します。
具体的には、プロセス/メモリがスワップされづらいようにするために、カーネルパラメータ(vm.swappiness)の値を小さくします。また、ページキャッシュ内の「更新されたダーティなデータ」をはやめにディスクに書き込んで、ページキャッシュのメモリを再利用されやすくするため、カーネルパラメータのvm.dirty_ratioおよびvm.dirty_background_ratioの値を小さくするなどの調整をします。
実際には、負荷テストを行いながらその効果を確認することになります。
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Linuxにおけるメモリの開放
データベースサーバなどを運用していると、、ページキャッシュを開放して、フリーメモリを増やしたい場合があると思います。カーネル2.6.16以降ではvm.drop_cachesがサポートされ、以下の値が利用可能です。
- ページキャッシュを開放する
- dentryおよびinode情報を開放する
- ページキャッシュおよびdentry、inode情報を開放する
SUSE Linux Enterprise Server 10の環境にて、簡単に検証してみた結果が以下です。
sles10a:~ # free -m
total used free shared buffers cached
Mem: 2000 61 1939 0 0 9
-/+ buffers/cache: 51 1949
Swap: 2047 0 2047
sles10a:~ # dd if=test of=/dev/null bs=1024
1048576+0 records in
1048576+0 records out
1073741824 bytes (1.1 GB) copied, 34.5933 seconds, 31.0 MB/s
sles10a:/ # free -m
total used free shared buffers cached
Mem: 2000 1090 910 0 2 1034
-/+ buffers/cache: 53 1947
Swap: 2047 0 2047
sles10a:/ # sysctl -w vm.drop_caches=1
vm.drop_caches = 1
sles10a:/ # free -m
total used free shared buffers cached
Mem: 2000 60 1939 0 0 9
-/+ buffers/cache: 51 1949
Swap: 2047 0 2047
sles10a:/ #
約1GBのファイルの読み取りで、約1GBほどページキャッシュに蓄えられた後、vm.drop_cachesの設定により、メモリが開放されています。
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著者プロフィール
日本アイ・ビー・エム株式会社 中坪 宏明
インフォメーション・マネジメント・テクニカル・セールス所属
DB2の技術支援(設計支援、パフォーマンス・チューニング、障害解決支援、案件サポートなど)を10年以上実施している。Linuxをはじめとして各オペレーティングシステムおよびハードウェアとの組み合わせでの機能検証および性能検証も実施している。
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