多階層ネットワークが抱える問題

2010年7月16日(金)
小川 直樹(おがわ なおき)

今、ネットワークに何が起こっているのか

昨今、クラウド・コンピューティングが注目されています。本連載では、この新しいITモデルを支えるネットワーク・インフラの要件について、ジュニパーネットワークスの考えを示すとともに、現在入手できる製品/サービスを紹介していきます。

この60年あまりの間に、ITは大きく進化しました。しかし、利便性と経済性を両立しなくてはならないという課題、つまり、性能と拡張性を向上させながら、同時にコストを削減するという課題は、変わりなく存在しています。果たして、クラウドは、この課題の救世主になれるのでしょうか。

クラウドによって利便性と経済性を両立できるようになるかどうかは、クラウドを支えるネットワーク・インフラにかかっています。

ネットワーク・トラフィックは、年々増え続けています。インターネットが普及し、2000年前後からはデジタル時代が到来し、ネットワーク上を流れるコンテンツは、映像や音声などリッチ化の一途をたどっています。ネットワーク上につながる機器も多様化し、情報家電など、あらゆる機器がネットワークで相互に通信し合うようになります。

トラフィックは、これまでも高い伸び率で増え続けてきましたが、これからの10年では、さらに爆発的に増えると予測されています。実に、年率で27%以上の増加率になるといわれています。

従来のネットワーク環境をそのまま使い続けていたら、こうしたトラフィックの増加を処理しきれなくなると思われます。ジュニパーネットワークスは、トラフィックの爆発に対処するためには「新しいネットワーク(THE NEW NETWORK)」が必要だと考えています。

爆発的に増えるトラフィック(クリックで拡大)

クラウド・サービスは利便性と経済性を両立

クラウド時代がやってくることは明らかです。では、クラウドとは何でしょうか。クラウドと聞いて、まず思い浮かべるのは"クラウド・サービス"でしょう。ネットワーク上にサービスを展開し、ネットワークを介してサービスを提供する形態のことです。

クラウド・サービスには、提供するサービスの階層に応じて、3つの種類があります。

  1. サーバー・リソースやストレージ・リソースなどのインフラストラクチャを提供する、IaaS(Infrastructure as a Service)
  2. アプリケーション開発者向けに開発ツールや開発言語などのプラットフォームを提供する、PaaS(Platform as a Service)
  3. すぐに利用可能な業務アプリケーションなどを提供する、SaaS(Software as a Service)

クラウド・サービスは、利用企業からすれば自社資産を持たずにコスト削減・効率化へとつなげるものとして、サービス・プロバイダからすれば新しいビジネス機会をもたらすものとして、期待されています。利便性と経済性を両立させることができそうな、新しいインフラ・モデルと言えそうです。

著者
小川 直樹(おがわ なおき)
ジュニパーネットワークス株式会社 マーケティング部 ソリューションマーケティングマネージャー

プログラマーから始まり、大手外資系ソフトウェアベンダーにて、ストレージソフトウェアを中心にプリセールス、プロダクトマーケティングを担当。2008年より現職。

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