クラウドのサービス継続性を確保するために必要なパフォーマンスとは?

2012年2月22日(水)
伊藤 信

クラウドコンピューティングで適切なパフォーマンスを確保するためには、戦略的なプランニング、円滑な導入、サービスの継続性の3つが重要である事をご紹介させて頂きました。

第1回第2回では、戦略的なプランニングの円滑な導入を実現するための手法をご紹介しましたが、今回はクラウドの拡張性やサービスの継続性を考慮する上で重要だと考えられる可用性、柔軟性、弾力性について説明します。

フェーズ - 3  サービスの継続性

クラウドコンピューティングの普及により、IT部門への期待値や考え方がますます変わってきています。企業の部署やビジネスユニットのユーザーは高品質のサービスを求め、SLAの保障を要求するケースがあります。IT部門は、まるで企業内のサービスプロバイダーかのように期待される事になります。このようなユーザー側からの要求の変化に対応するため、サービスの可用性、柔軟性、弾力性を改善するための迅速な変更・適応能力を持っておく事が重要になってきています。

可用性
サービス障害やパフォーマンス障害が発生するとビジネスに大きな損失を与えてしまう事になります。このような障害を最小限に留めサービスの継続性を高めておくには、ネットワークの可視化とパフォーマンスをモニタリングしておく事が必要です。また障害発生時には、迅速に原因究明を行える体制を整えておく必要があります。
柔軟性
企業の成長によりIT環境全体で変更要件が急増すると考えられます。それぞれのIT関連の機器やシステムの許容量を圧迫する要因として、新しいユーザーの追加や取り扱いデータ量の増加、新しいアプリケーションの導入などがあります。企業成長や変更に対応できる能力がサービスの継続性を維持する上で重要です。
弾力性
データ保護やディザスタリカバリ、BCP(事業継続計画)は、ハイブリッドクラウドでサービスの継続性を維持する上で重要となってきます。しかしながら、これらのプロジェクトを、クラウドを含めて実施するにはコストが高く、難しく、信用性の面で心配がでてきています。

ハイブリッドクラウドの可用性

ネットワークのパフォーマンス問題は、機器の故障や新しいアプリケーションの導入、内部システムのサービス問題といったように、様々な要因により引き起こされる可能性があります。
一般的にネットワークのチームは、適切なツールを持っていないため、問題の早期発見や、根本原因の究明に時間がかかり苦労する事があります。 ハイブリッドクラウドの可用性を改善するためには、堅牢なアーキテクチャの上で、効果的なモニタリングを行い、迅速な治療を行える体制が必要です。

ここでは、筆者の所属するRiverbedの製品を交えながら、3つの項目について解説していきます。

堅牢なアーキテクチャ
企業は複数のパブリッククラウドや、プライベートクラウドデータセンターのアプリケーションを組み合わせて利用する事により、ハイブリッドクラウドのコストの利点をうまく享受する事が出来ます。
RiverbedのStingray Traffic Manager 等のロードバランサーで、グローバルロードバランシング技術やローカルロードバランシング技術を利用し、複数の異なるクラウドサービス間(プライマリー、セカンダリークラウドサービス)で、アプリケーショントラフィックのロードバランシングを行う事により、パフォーマンスやアプリケーションの許容量を改善し、リスクを削減する事が出来ます。

図1:サーバー負荷によりグローバルロードバランシングのイメージ(クリックで拡大)
有効的なモニタリングとレポーティング
ビジネスで求められるハイブリッドクラウドのパフォーマンスを提供するには、ネットワークチームとアプリケーションチームは、ネットワーク上のアプリケーションやサーバー、ユーザーを完全に把握(可視化)しておく事が必要です。アプリケーションアウェアなモニタリング装置を利用する事により、ビジネス的な角度から重要度の高いサービスを適切なレベルで監視し、レポーティングできるようになります。
例えば、RiverbedのCascadeを利用するとネットワークのモニタリングやキャプチャ、解析を行え、またネットワークのパフォーマンス管理を実施する上で重要なトラフィックデータを集積し、パフォーマンス測定や何らかの要因でエンドユーザーに影響が及ぶ前に問題点を管理者にアラートするという事が出来ます。ハイブリッドクラウドのSLAを視覚的に確認できるレポートも用意しています。

図2:クラウド拠点を含むデータ集積&解析、エンドユーザーへ影響が及ぶ前にアラートする仕組み(クリックで拡大)
迅速な治療
ハイブリッドクラウドのように複雑な環境では、障害を回避する事は難しいかもしれません。ここでやらなければいけない事は障害発生時に迅速に障害を見極め、診断し、障害を解決する事です。
Riverbedでは、トラブルシューティングを高速化し、エンドツーエンドの可視化を実現するためにCascadeという製品を用意しています。全ネットワークデータを一つの管理画面から確認できる管理ツールで、 詳細分析を行う際は簡単なナビゲーションで障害解析が出来るように設計されており、簡単な操作で迅速な対応を可能としています。
リバーベッドテクノロジー株式会社

米ジョージ・メイソン大学卒業後、シスコシステムズの日本法人に入社。
ITベンチャー数社でSE、Technical Consultant、Business Development、Strategy & Execution Directorを経験し、07年にリバーベッドテクノロジーへ入社。同社でマーケティングマネージャーに就任。

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