サンプルレポートを使って経費予実管理をしてみよう

2013年11月27日(水)
平井 明夫

こんにちは、クロスキャットの平井です。今回も、前回に引き続き、オープンソースの予算管理ソフト「BudgetRunner」を使った業務の予算管理について解説しています。

前回は、「予算編成」についてのお話をしましたが、今回は、予算管理業務のもう一つの機能である「予実管理」についてお話させていただきます。

経費予実管理の意味

経費予算は立てるだけでは意味がありません。実際の経費が実績として発生していく過程で、予算(計画された金額)からはみ出ないようにコントロールすることで、初めて経費予算を立てた意味が出てくるのです。

予算と実績の比較の仕方には、基本的なパターンがあります。まず、金額の比較については、金額同志(予算金額と実績金額)を表示することは普通ですが、それ以外に、予算金額から実績金額を引いた値(予実差)と、実績金額を予算金額で割った値(予算消化率)を表示します。

また、経費予算金額は、会計期間(通期、半期、四半期など)の合計金額だけではなく、ひと月ごとに作られています。ですから、経費予算と実績の比較も月ごとの金額の比較(単月比較)ができなければなりません。さらに、経費予算の場合、当初の予算金額を超過しているかどうかの確認が非常に重要です。したがって、現時点までの累計での比較が必須となります。

経費コントロールのやり方

さて、実際に予算が超過してしまった場合、どのように対処するべきでしょうか。まずやるべきことは、どの部署(や担当者)の予算が超過したかを突き止めることです。全体の予算が超過したからといって、全ての部署の予算が一律に超過するケースはほとんどありません。ですから、特に超過した金額や比率の大きな部署を突き止めて、そこに集中して対処をすることが重要です。

問題の部署が特定されたら、次に行うのは細目レベルでの検討です。ボトムアップで作成された予算には、根拠としての細目とその金額の情報が含まれているはずですから、予算超過の原因となった細目を突き止めることで、削減すべき項目が具体的に浮かび上がってくるはずです。

図1:経費コントロールの流れ(クリックで拡大)

経費をコントロールする方法としては、予実管理とは別に予算執行管理の実施も有効です。予算執行管理とは、実績としての費用が発生する前に、予算に含まれている項目か、および、予算申請された金額に収まっているかを事前にチェックする業務プロセスです。
このようなプロセスを作ることができれば、予算超過が発生する頻度を大幅に少なくすることができます。

経費予実管理をBudgetRunnerでやってみる

phpプログラムが公開されているBudgetRunnerの機能は、予算を入力・承認して予算データを作成するところまでです。この予算データと実績データから予実管理を行うためのレポートは、JaspersoftなどのBIツールを使って開発する必要があります。

ですがご安心ください。Sourceforge.jpからダウンロード可能なファイルには、phpプログラムの他に、Jaspersoftを使って開発された予実管理レポートのサンプルが含まれています。ですから、このサンプルを動作させてそのまま使用することもできますし、自分の好みのフォーマットにJaspersoftを使って改造することもできます。

それでは、サンプルレポートを使って実際に予実管理業務を行ってみましょう。次の3つは、サンプルレポートの画面です。予算データと4月、5月の2か月間の実績データが比較されています。

図2:予算データと2ヶ月間の実績データを比較したサンプルレポートの画面(クリックで拡大)
  1. 最初のレポートでは、全社と部門ごとの予実金額と差額が表示されています。今のところ特に問題ないようです。
  2. 次のレポートは第1営業部の交際接待費のレポートです。5月までの累計で使用率が94%、つまりほぼ予算どおりになっているように見えます。
  3. 最後のレポートは、さらに細目単位にまでドリルダウンして、月単位に比較したものです。これでみると、「第一商事接待」について、5月に申請された予算をオーバーしていることがわかります。

つまり、全体としては辻褄が合ってはいても、個別に見ていくと予算を超過している項目が浮かび上がってくることがわかります。

このように、このような予実比較を行うレポートは、BIツール(ここではJaspersoft)を使えば、比較的簡単に開発することができます。この開発はシステムを自社開発することがある程度できる会社であれば、自力でできるでしょう。

また、自社開発が難しい会社であれば、クロスキャットがOSS「BudgerRunner」を利用した予算管理システム構築サービス(オンプレミス版CC-BudgetRunner)を提供していますので、ご検討ください。

今回は、「予実管理」についてのお話をしましたが、次回は、「BudgetRunner」の構成と導入方法についてお話させていただきます。

OSSNews

オープンソース総合情報サイト OSSNews

このコンテンツは、オープンソース総合情報サイト「OSSNews」が提供・監修しています。 「OSSNews」では、オープンソースに関する、最新情報イベント情報バージョン情報を掲載しています。 BudgetRunnerのライセンスや動作環境などのソフトウェア情報もご確認できます。

【参考リンク】

(リンク先最終アクセス:2013.11)

株式会社アイ・ティ・アール リサーチ・フェロー

外資系ソフトウェアベンダーやITコンサルティング企業において、20年以上にわたり、BIツール製品のマーケティング、BIシステムの導入支援に携わる。2013年よりITRのリサーチ・フェローとして活動。現在は、事業企画コンサルタントとしてIT企業の新規事業立上げ、事業再編を支援するかたわら、ITRアカデミーにおいて、データ分析スキルコースの講師を務めるなど、データ分析を中心としたテーマでの講演・執筆活動を行っている。

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