クラウド基盤OSS CloudStackの最新動向と、CloudStack Day Japan 2014の見どころ

2014年2月15日(土)
北瀬 公彦

いきなりですが、「CloudStack」や「OpenStack」というオープンソースのソフトウェアをご存知でしょうか。これらは、3、4年前頃から開発されてきたクラウド基盤ソフトウェアです。特に昨年は、様々なクラウド系のイベントなどで、話を聞くことができる機会がありましたので、名前だけは知っているという人も多いのではないでしょうか。
今年、それぞれのコミュニティが、年次イベントを開催しています。OpenStackは、2月13日、14日に開催された「OpenStack Days Tokyo 2014」、CloudStackは、3月6日に開催される「CloudStack Day Japan 2014」です。クラウドに興味がある方は、これらのイベントへの参加は必須だと言えるでしょう(笑)。

筆者は、CloudStack Day Japan 2014の実行委員でもありますので、ここではCloudStack Day Japan 2014に触れながら、CloudStackの最新動向に触れていきたいと思います。冒頭から「CloudStack」と書きましたが、CloudStackには、オープンソースの「Apache CloudStack」と、それをベースにCitrix社が開発している「Citrix CloudPlatform」が存在します。また、アルカテル・ルーセントが提供するCloudBandにも、Citrix CloudPlatformが使用されています。

Apache CloudStackは、今年の1月に4.2.1がリリースされ、まもなく4.3がリリースされる予定です。4.3で特筆すべき追加機能としては、Hyper-V対応ではないでしょうか。これにより、CloudStackは、VMware ESXi、Citrix XenServer、KVM、Hyper-Vに対応することになります。また、CloudStackは様々なネットワーク機器と連携可能です。もちろん、デフォルトでも様々なネットワーク機能を提供できますが、よりパフォーマンスや信頼性を求める場合、Cisco ASA1000vやNexus 1000v、Citrix NetScaler、Juniper SRX、Contrailと連携させることができます。今回4.3では、新たにPalo Alto Firewallとも連携するようです。

3月6日(木)にあるCloudStack Day Japan 2014では、主に海外からの最新情報、SIerのソリューション、クラウドサービス、クラウドエコシステムに触れることができます。興味深いセッションや展示はたくさんありますが、その一部を少し紹介したいと思います。

CloudStackの最新動向と今後の展望

Sheng Liangは、元々CloudStackを開発していたCloud.com社のCEOで、今はCitrix社Cloud Platform GroupのCEOです。そんなShengが、CloudStackの今後について説明します。Shengは、非常にフレンドリーで、ユーザーと会話することを非常に大切にしています。日本の皆さんの前で話すのは久しぶりかと思いますので、是非積極的にコミュニケーションいただければと思います。

Apache CloudStackコミュニティとエコシステム

Chip Childersは、元SunGard Availability Services社のクラウドアーキテクトです。Apache CloudStackを基盤に採用したクラウドのアーキテクトをしていました。現在はCumuLogicというPaaSソフトウェアベンダーのCSOをつとめています。そんなChipですが、Apache CloudStackのVPでもあり、CloudStackがApache財団に寄贈された後、開発体制やガバナンスの整備などに携わり、Apache CloudStackに最も貢献した人の一人です。Chipがいなければ、Apache CloudStackがここまで成功することはなかったと言われています。その温厚な人柄から、Apache CloudStackコミュニティでの最も尊敬されている人の一人でもあります。そんなChipが、Apache CloudStackのコミュニティと、エコシステムのひとつでもある新進気鋭のCumuLogicのPaaSソリューションについて解説します。

CloudStackのネットワークアーキテクチャとSDN対応について

Hugo Trippaersは、ヨーロッパのクラウドサービス事業者Schuberg Philisのエンジニアです。Java Kingと周りから言われており、Apache CloudStackのネットワークプラグインを開発しています。例えば、Nicira NVP PluginはHugoにより開発され、その後、他のPluginのサンプルにもなっています。最近では、OpenDaylight pluginの開発を行っています。そんなHugoが、ClouStackのSDN対応を一挙紹介します。また、Hugoは日本のアニメーションの大ファンですので、アニメ好きの方はアニメネタでコミュニケーションするといいでしょう。

Chefで実現するクラウド間マイグレーション

Michael Ducyは、旧Opscode社、現Chef社のエンタープライズアーキテクトです。以前はenStratius社のコンサルタントでした。クラウド環境の自動化についてとても詳しく、日本でも最近人気のあるChefについて最も詳しいエンジニアの一人でもあります。そんなMichaelが、ハイブリッドクラウド環境における自動化手法ついて解説します。CloudStackに限らず、Chefについて聞いてみるといいでしょう。

また、IDCフロンティア、TOKAIコミュニケーションズ、NTTコミュニケーションズ、KDDI、GMOクラウド、SCSKなどによる最新クラウドサービスについても触れることができます。サービスについてだけでなく、運用のノウハウ、開発秘話、オープンソースコミュニティへの関わりなど、通常のイベントでは聞けないネタも聞けるかもしれません。CloudStackを実環境で使用している事業者の生の声を聞いてみる数少ない機会ですので、話を聞くだけでなく、積極的にコミュニケーションをとるといいでしょう。

その他にも、検証済みのハードウェア、ソフトウェアの組み合わせ(コンバージドインフラストラクチャ)や、IaaSだけでなく、ストレージサービスやDaaSのようなサービスを提供するソリューションも知ることができる機会ですので、クラウドに関わる人であれば、必ず参加することをお勧めします。

開催概要

  • 名称:CloudStack Day Japan 2014
  • 日時:2014年3月6日(木)10:00〜20:00(予定)
  • 会場:御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター
  • 入場料:無料(事前登録制)
  • 主催:CloudStack Day Japan 2014実行委員会
  • 特別協力:日本CloudStackユーザー会(JCSUG)、一般社団法人クラウド利用推進機構(CUPA)

> CloudStack Day Japan 2014公式サイト

(リンク先最終アクセス:2014.02)

CloudStack Day Japan 2014実行委員

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