UIFontDescriptorの属性キー12種の詳細

2014年9月9日(火)
西方 夏子(にしかた・なつこ)
UIKit徹底解説 iOSユーザーインターフェイスの開発
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この記事は、書籍『UIKit徹底解説 iOSユーザーインターフェイスの開発』の内容を、Think IT向けに特別公開しているものです。

今回は、UIFontDescriptorの属性キーとその値を説明します。なお、UIFontDescriptorによるフォントの生成方法は、前回記事で解説しています。

UIFontDescriptorFamilyAttribute

ファミリ名を示すNSStringオブジェクトです。ディスクリプタの生成例は、前回記事のソースコード3を参考にしてください。

UIFontDescriptorNameAttribute

フォント名を示すNSStringオブジェクトです。ディスクリプタの生成例は下記の通りです。使用するフォント名は、正確なポストスクリプト名である必要があります。

[ソースコード8] フォント名を指定してディスクリプタを生成

UIFontDescriptor *helveticaCondensedBold =
[UIFontDescriptor fontDescriptorWithFontAttributes:
    @{UIFontDescriptorNameAttribute: @"HelveticaNeue-CondensedBold"}];

UIFontDescriptorFaceAttribute

フォントフェイスを示すNSStringオブジェクトです。例えば、ソースコード8で生成したhelveticaCondensedBoldのフォントフェイスは、“Condensed Bold”となります。
objectForKey:メソッドのキーにUIFontDescriptorFaceAttributeを指定すると、フォントフェイスを取得できます(ソースコード9)。

[ソースコード9] フォントフェイスの取得

NSString *fontFace =
[helveticaNeueCondensedBold objectForKey:UIFontDescriptorFaceAttribute];
NSLog(@"%@", fontFace);

// ログ表示結果
// Condensed Bold

UIFontDescriptorSizeAttribute

フォントサイズを示すNSNumberオブジェクトです。例えば、フォントサイズ24.0ポイントのHelvetica Neueフォントは以下のように生成します。
なお、下記コードは、fontDescriptorWithName:size:メソッドで代替することも可能です。

[ソースコード10] フォントサイズを指定してディスクリプタを生成

UIFontDescriptor *helveticaNeue24 =
[UIFontDescriptor fontDescriptorWithFontAttributes:
    @{UIFontDescriptorNameAttribute: @"HelveticaNeue",
      UIFontDescriptorSizeAttribute: @24.0}];

UIFontDescriptorVisibleNameAttribute

フォントの表示名を示すNSStringオブジェクトです。例えば、ソースコード8で生成したhelveticaCondensedBoldの表示名は「Helvetica Neue Condensed Bold」ですが、ポストスクリプト名は「HelveticaNeue-CondensedBold」です。
両者は、下記のコードで取得できます。

[ソースコード11] 表示名とポストスクリプト名の取得

NSString *visibleName = 
[helveticaNeueCondensedBold objectForKey:UIFontDescriptorVisibleNameAttribute];
NSString *psName = helveticaNeueCondensedBold.postscriptName;

NSLog(@"%@-%@", visibleName, psName);

// ログ表示結果
// Helvetica Neue Condensed Bold-HelveticaNeue-CondensedBold

UIFontDescriptorMatrixAttribute

適用すべき変換行列(CGAffineTransform)を示すNSValueオブジェクトです。
例えば、前述のソースコード8で生成したhelveticaCondensedBoldに対して、スケール変換を施すには、以下のように記述します。

[ソースコード12] アフィン変換を適用

CGAffineTransform transform = CGAffineTransformMakeScale(1.0, 2.0);
UIFontDescriptor *scaledHelvetica =
[helveticaNeueCondensedBold fontDescriptorByAddingAttributes:
  @{UIFontDescriptorMatrixAttribute: [NSValue valueWithCGAffineTransform:transform]}];

CGAffineTransformをそのままNSDictionaryの値として受け渡しすることはできないので、NSValueでカプセル化する必要があることに注意してください。
上記で生成したディスクリプタを利用したテキスト表示の結果が、図1です。

図1: helveticaNeueCondensedBoldによる表示(上)とscaledHelveticaによる表示(下)

UIFontDescriptorCharacterSetAttribute

対応するフォントが持つすべてユニコードセットを示すNSCharacterSetオブジェクトです。

UIFontDescriptorCascadeListAttribute

フォントディスクリプタを要素として持つNSArrayオブジェクトです。元のディスクリプタだけでは表現できない文字がある場合は、このリストにあるディスクリプタを使用します。
例えば、Helvetica Familyのフォントを利用して日本語を表示すると、デフォルトでシステムフォントが使用されます。これを避け、日本語は「ヒラギノ明朝」で表示されるように設定するには、次のようにカスケードリストを追加します。

[ソースコード13] 日本語用にカスケードリストを追加する

// ヒラギノ明朝を示すディスクリプタ
UIFontDescriptor *hiramin =
[UIFontDescriptor fontDescriptorWithFontAttributes:
    @{UIFontDescriptorNameAttribute: @"HiraMinProN-W3"}];

// カスケードリストとしてヒラギノ明朝を示すディスクリプタを追加
UIFontDescriptor *helveticaHiramin =
[helveticaNeueCondensedBold fontDescriptorByAddingAttributes:
    @{UIFontDescriptorCascadeListAttribute: @[hiramin]}];

上記のカスケードリストを持つディスクリプタを用いると、日本語の表示に「ヒラギノ明朝」が使用されます(図2)。

図2: helveticaNeueCondensedBoldによる表示(上)とhelveticaHiraminによる表示(下)

著者
西方 夏子(にしかた・なつこ)

ソフトウェアエンジニア。大手電機メーカーにおける組込みソフトウェアの開発を経て、現在は個人でiOS向けのアプリケーションを開発している。代表作であるローン計算アプリ「iLoan Calc」は、個人の方のみならず、多くの不動産業、金融業の方からも愛用されている。『iPhoneアプリ開発エキスパートガイド iOS6対応』(共著・インプレスジャパン刊)、『上を目指すプログラマーのためのiPhoneアプリ開発テクニック iOS 7編』(共著・インプレスジャパン刊)などの執筆にも携わり、現在は執筆業を中心にアプリ開発と育児を両立中。

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