ネットワーク通信で押さえておきたい基礎知識(前)

2015年4月23日(木)
榊 正憲(さかき まさのり)

ネットワーク通信の基礎知識

有線式のイーサネットでも携帯通信網を使うスマートフォンでも、ネットワークとして構築されたシステムに共通することがいくつかあります。ここでは、接続される機器を識別する必要性と、パケット交換という考え方を簡単に紹介しておきます。

機器の識別

シリアルポートを使って2台のコンピュータを接続する場合、それぞれのコンピュータの通信相手は、常にもう1台のコンピュータです。この場合、通信の相手を識別する必要はありません。しかし3台以上のコンピュータをネットワークで接続する場合は、データをどの相手に送るかを指定しなければなりません。スイッチ(交換機)を中心に置いたスター型ネットワークであれば、自身とどのコンピュータの間で通信するのかを、スイッチに指示する必要があります。リング型ネットワークやバス型ネットワークの場合、あるコンピュータから送信されたデータは、ほかのコンピュータにも到達します。しかし本来の宛先はその中の1台だけであり、宛先以外のコンピュータは、自分宛でない受信データを無視しなければなりません(図1)。

接続相手の指定

図1:接続相手の指定

データを受信した宛先側のコンピュータは、受信データがどのコンピュータから送られたのかを識別する必要があります。たいていの場合、データを受け取ったら、それに対する何らかの応答を送信元に送り返す必要があるからです。データの送り元がわからなければ、応答を返す相手がわかりません。多数のコンピュータや機器が接続されたネットワークで通信を行うためは、各機器をきちんと識別するための仕組みが必要になります。そのためネットワークに接続し、データの送信や受信を行う機器には、その機器を識別するための番号を割り当てます。この識別番号のことを「アドレス」といいます。

ネットワーク機器にアドレスを割り当てる際には、そのアドレスが一意であるようにしなければなりません。一意というのは、全体の中でただ1つだけ定まるという意味です。アドレスが一意であるとは、あるアドレス値に対し、重複することなくただ1台の機器が定まる、つまり同じアドレスを持つ機器がほかに存在しないということです。考えてみれば当たり前の話で、もし複数の機器が同じアドレスを持っていたら、宛先の指定や送信元の識別が正しく行えません。

個々の機器にどのような形やでアドレスを指定するかは、そのネットワークの方式や、ネットワーク上で動作するデータ交換の仕組みに基づいて決められています(図2)。

宛先と送信元を示してデータ交換

図2:宛先と送信元を示してデータ交換

この記事のもとになった書籍
完全マスターしたい人のためのイーサネット&TCP/IP入門

榊 正憲 著
価格:2,000円+税
発売日:2013年12月19日発売
ISBN:978-4-8443-3511-5
発行:インプレスジャパン

完全マスターしたい人のためのイーサネット&TCP/IP入門

世の中で広く知られているイーサネットとTCP/IP、つまりインターネットや社内LANなどで、標準的に使われているネットワーク方式とプロトコルについて詳しく解説。 各項目については初歩的なレベルから解説し、中級レベルまで掘り下げています。 その過程で、仕組みや原理についてなるべく詳しく、そしてなぜそのような仕組みになっているのか、といったことを説明しています。 「これはこうなっている」という知識だけではなく、「これは何をするために、どのような原理でそうなっているのか」まで、きちんと体系立てて理解できる、ネットワーク初心者必携の1冊です。

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著者
榊 正憲(さかき まさのり)

電気通信大学卒業。プログラミング、システム管理などの仕事のあと、フリーランスで原稿翻訳、執筆などを行う。現在は、有限会社榊 製作所 代表取締役。著書に『復活!TK-80』『コンピュータの仕組み ハードウェア編(上・下)』、翻訳書に『Inside Visual C++ Version 5』(いずれも旧アスキー発行)、『Pthreadsプログラミング』(オライリー・ジャパン)などがある。

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