ブレードサーバーの選択基準およびシステム構成のポイント

2009年8月11日(火)
早川 哲郎

ブレードシャーシの互換性は大丈夫か?

 ブレードサーバーを選定する際の、2つめの重要なポイントが互換性です。

 新しい世代のサーバーが出てきた場合、あるいは新しい機能を提供する場合に、シャーシのデザインが変更される場合がよくあります。仮想化による統合を進める場合には、全社の大量のサーバーが対象となりますから、1年程度で終わるプロジェクトは少なく、数年がかりのプロジェクトが多いでしょう。

 数年にわたり仮想化統合を進める場合に、ハードウエアの調達を初年度にすべて購入するケースは少ないと思います。多くのケースでは、プロジェクト計画に沿った統合対象サーバーに合った台数のハードウエアの調達を行うと思います。このようなケースの途中でシャーシの互換性がなくなってしまったらどうでしょうか?

 x86サーバーベンダーでは、1年に一度、サーバーのCPU世代変更が行われています。当然、CPU世代変更には、大小さまざまなものがありますが、今年4月のインテルによるNehalem CPUの発表は大きなものでした。

 このような場合、ハードウエアベンダーとしてブレードシャーシの仕様変更を行い、新たなテクノロジーに対応するのも選択肢の1つです。しかし、使用するユーザーにとっては、古いブレードサーバーは新しいシャーシには入らず、頻繁にシャーシの切り替えを行わなければならないため、ブレードサーバーによる統合のメリットを十分に受けられません。

 こういったことがないように、IBM BladeCenterでは、2002年のBladeCenter Eの発表より、シャーシの基本デザインの変更を行っていません。そうすることで、古いサーバーも新しいシャーシに導入することもできますし、古いシャーシも電源モジュールの交換などを行うことにより、新しいサーバーに対応することができます。

 さらに、エントリーレベルのシャーシと高機能なシャーシの互換性も持っています。それだけではなく、スイッチでも同様に相互に入れ替えを行うことも可能です。このようにお客さまが継続して使用できるような互換性を持った製品が、仮想化統合の際には必要と考えます。

ブレードスイッチモジュールの柔軟性は十分か?

 3つめの重要なポイントが、ブレードスイッチモジュールの柔軟性です。

 仮想化統合を進める際に重要なことは、既存のI/O装置との接続性が十分に満たせるか、という部分です。サーバーの入れ替えと同時に、ネットワーク機器やストレージ機器の入れ替えができれば、こういった問題は発生しませんが、現実には同時に入れ替えを行うことは多くありません。

 ブレードサーバーを導入した際に、シャーシ内にスイッチモジュールを入れますが、その際これらのスイッチモジュールと既存のI/O装置との接続性を確認しましょう。特にSAN装置では、スイッチベンダー間の互換性が高くないことが多く、またストレージ機器ベンダーも、使用するスイッチベンダーやスイッチファームウエアのバージョンを限定していることがよくあります。導入しようとしているブレードサーバーで、これらスイッチベンダーのモジュールが提供されているかが重要です。

 イーサネット ネットワークに関しても同様のことが言えます。ネットワークベンダーによる冗長性の仕組み、スタッキングの仕組みは異なります。既存のI/O装置との整合性を高くするためには、同一のベンダーでそろえることが望ましいと言えます。

 また、ブレードサーバーで提供している機能(N+Mの切り替えの仕組み、I/O仮想化の仕組み)を使用するためには、指定のスイッチを使用することが必要となるケースがあります。指定のスイッチが既存の環境に組み込むことができるかどうかを十分に検討すべきです。

 IBMのBladeCenterでは、SAN/LANともに優れたベンダーのスイッチモジュールを提供しています。また、パススルーモジュールを使用することで、スイッチを内蔵しない構成を行うこともできます。選択肢を多く持つことがブレードサーバーを選択するポイントの1つであると考えています。

日本IBM System x エバンジェリスト
1995年日本IBM入社。IBM PC製品のパートナー様技術支援に従事。1997年からPCサーバー製品のテクニカルサポートを推進し、現在は、System x/BladeCenter製品にかかわるエバンジェリストを担当。日々、お客様・パートナー様へIBM System x/BladeCenterの価値を提供しています。

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