ブレード仮想化の統合メリットと先進性

2009年8月18日(火)
岩田 恵

PowerVM仮想化とWindows環境の統合

■IBM i on BladeCenterの仮想区画構成と管理

 IBM iは、POWERブレード上のLPARで稼働します。初めに、VIOSをPOWERブレード上に導入し、VIOSのインターフェースからLPARを作成し、IBM i の導入を行うことになります。物理ハードウエア資源はVIOSに割り当て、LPARからは仮想ストレージ、仮想LANアダプター、BladeCenter上のDVD/CDドライブは仮想光ディスクとして認識させます。

 ストレージでは、IBM iの場合、シャーシ内にSASディスクを搭載できるシャーシSを利用するか、外部ディスク使用を想定するシャーシHを利用するかで構成が異なってきます。また、SAN接続かSAS接続かによって、ブレード内に搭載する拡張カードやスイッチモジュールを選択することが必要です。内蔵と外部ディスクと併用するか、外部ディスクのみでSANブートを採用するかは、バックアップ・リストアの運用観点や、障害対策の観点で十分な検討を行い決定します。

 LANには、ブレードに内蔵のIVE と呼ばれるマルチポートのイーサネットデバイスを用います。(ホスト・イーサネット・アダプター(HEA) とも呼ばれます)。このデバイスにより、外部イーサネットとブレード内部の仮想イーサネットをブリッジし、仮想LANアダプターを各LPARに割り当てることができます。IBM iのLPARの中で、IBM iコンソールとしてのIPアドレスとLPARの業務用IPアドレスをそれぞれ設定します。

 IBM BladeCenterのシャーシが共通化されていることから、シャーシ内でPOWERブレードとx86ブレードを統合できます。メリットとして、シャーシ内統合による省電力、省スペース効果が得られると共に、異なるプロセッサー・アーキテクチャのブレードから、I/O資源を柔軟に共有できる点です。ただし、論理的にこれら2種類のブレードは独立しています(図2)。

 IBM iはPOWERブレードのVIOSにおけるクライアントLPARとして仮想デバイスを利用します。2009年5月には、VIOS経由のLTOテープデバイスをIBM iからアクセスする仮想テープのサポートが追加され、直接LTOテープ装置へのバックアップ・リストアが可能になっています。

 シャーシ Sに搭載されているSAS RAID コントローラは、従来のx86ブレードでの対応に加え、2009年5月からPOWERブレードでもサポート追加され、RAID 0、1、5、10に対応しSASディスクの保護を提供します。2つのSAS RAID コントローラがあり、POWERブレードとx86ブレードの混在環境では、パフォーマンスを考慮して別々のRAIDセットを組むことが推奨されています。

ブレードでも実現されるIBM iの3つの優位性

IBM iにとって、BladeCenterは昨年発表した新しいテクノロジーです。旧来の筐体上で実現されてきたIBM iのメリットはブレード上でどうなるのでしょうか。IBM iが従来から備える主な優位性は以下の通りです。

(1)System 38から30年近く続いている仮想マシンによってアプリケーション資産を何世代も継承できること

(2)単一レベル記憶という仕組みによってメモリーとディスクという個別の管理の仕組みから開放されること

(3)オブジェクト指向により盤石のセキュリティー・レベルを維持できること

 これらすべてが、POWERブレードにおいても実現されており、一見IBM iに馴染みそうにないブレード、という新テクノロジーともうまく融合されています。

日本IBM Power Systems エバンジェリスト
IBM AIX V3、V4およびその関連ソフトウエアのサポートに携わったのち、2000年より現職のPower Systems テクニカル・セールスに従事。現在はエバンジェリストとして、AIX、Linux関連の技術支援、営業支援を担当。お客様、パートナー様と共に、さらにスマートな社会の実現を目指しています。

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