仮想ストレージを効率よく管理する「Data ONTAP」
従来以上の堅固なデータ保護機能
データ保護におけるもっとも重要な機能の一つがRAIDシステムです。現在(2009年7月)の主流はRAID10(ミラードストライピング)とRAID5ですが、今後リソースの集約が進むサーバー仮想化環境においては、ストレージコストおよび物理サーバー1台あたりに対する障害発生時の影響度増大の観点から十分とは言えないでしょう。
NetAppでは二重ディスク障害からの保護、RAID 10並みの高パフォーマンス、およびRAID 5並みのコストパフォーマンスを実現するため、RAID6(RAID-DP)を採用しています。サーバー仮想化による複数の業務システムの統合には、こうした高い信頼性を担保できるRAIDシステムの存在が不可欠となります。
高速バックアップ機能も必須です。仮想化によるサーバー統合は、従来複数の物理サーバーに分散されていたバックアップ対象データがすべて一つの物理サーバーに集約されることになり、バックアップがより複雑になります。
複数バックアップの同時に実行の可能性が高くなると、物理サーバーに対する処理の負荷が増大し、許容時間内でのバックアップ完了が困難となります。さらに、アプリケーションで利用可能なCPU処理能力も低くなるなどの新たな問題が発生します。
そのため、バックアップタスクをサーバーから取り除き、ストレージ側の機能によって実現することにより、サーバー統合に充てるリソースを増やし、アプリケーション効率を向上させることができます。多重バックアップを限られた時間内に確実に終了させるためのディスク・ツー・ディスクバックアップの採用も有効です。
ほかにも、仮想化によるサーバー統合で集約され増大したデータの複製には、高速で高効率なDR環境を実現するための、転送効率の高いレプリケーション機能が必要です。NetAppのSnapMirrorでは、Data ONTAPのSnapshot機能を応用してデータレプリケーションを行います。
SnapMirrorでは、まずソースで1回目のスナップショット(ベースラインコピー)を取得し、それをDRサイトに転送します。以降、スナップショット取得のたびに前回転送分との差分ブロックだけをサイトに転送します。このように増分アップデートを行うことで、データ転送量を減らし、高速なデータレプリケーションを可能にしています。
例えば、VMwareでは仮想サーバー環境をリモートサイトに直接複製する機能を提供していないため、仮想サーバーとデータの両方でストレージベースの複製を使用することを推奨しています。VMware環境でサイト全体にわたりVMとESX Serverを管理するSRM(VMware Site Recovery Manager)では、データ転送時にSnapMirrorを呼び出してストレージベースでのデータレプリケーションを実行しています。
ストレージリソース利用効率の向上
利用効率を向上させることは、初期導入費用だけでなく、導入後の費用削減にもつながります。ストレージの削減はすなわち、スピンドル、アレイ、設置スペース、電力、および冷却と多くの削減につながり、データセンターのグリーンIT化にも貢献できます(図2参照)。
Data ONTAPでは、アグリゲートのようなリソースの共有プール化機能に加え、実際以上の物理容量にみせかけた仮想ボリュームをサーバーまたはアプリケーションに認識させるシンプロビジョニング機能により、業界平均で40%と言われるストレージ利用効率を最大70%にまで引き上げることを可能にしています。
また、利用効率向上に欠かせない最新技術として挙げられるのが重複排除機能です。バイナリや設定ファイルの重複を排除できるこの機能は、そのほとんどが同一データであることが多い仮想サーバーや、仮想デスクトップの複数のVM用OSイメージの重複を排除することで、利用効率を向上させることが可能になるのです。
Data ONTAPに統合された重複排除機能は、バックアップやアーカイブデータだけでなく、プライマリストレージでも使用できます。サーバー仮想化、およびデスクトップ仮想化環境のいずれにおいても大きな効果を発揮します。