PostgreSQLとOracle Databaseそれぞれの特徴
スキーマ管理の違い
Oracle Database もPostgreSQLもスキーマという概念があり、表や索引などのオブジェクトはスキーマに所属する形で管理されます。スキーマによって、データベースを構築する際に、経理用データベース、受発注データベースなどの用途別にデータベースを作成するのではなく、1つのデータベースを経理スキーマ、受発注スキーマなどの複数の用途に分けて利用することができます。
そのため、スキーマはデータベースを「用途別に分割した単位」ともとらえることができます。
Oracle Databaseでは、1ユーザーは1スキーマを所有し、自動的にユーザー名と同じスキーマ名が割り当てられます。また、各ユーザーは許可なしにほかのスキーマのオブジェクトを操作することはできません。
一方、PostgreSQLでは、デフォルトで“public”スキーマが存在し、各ユーザーがスキーマ名を指定せずにオブジェクトを作成した場合、自動的に“public”スキーマのオブジェクトとなります。ただし、各オブジェクトは作成したユーザーに帰属しているため、許可なしに他ユーザーが作成したオブジェクトを操作することはできません。
PostgreSQLでは、スキーマリストを保持する「スキーマ検索パス」機能を利用し、スキーマ名の指定のないオブジェクトがどのスキーマに属しているのかを判別します。デフォルトの設定では、「1.接続ユーザーと同じ名前のスキーマ」「2.public」の順となります。「CREATE SCHEMA」コマンドでOracleと同様にそれぞれのユーザーにユーザー名と同じ名前のスキーマを作成し、オブジェクトを管理することも可能です。
表を構成するファイル構造の違い
PostgreSQLもOracle Databaseも、データを行と列からなる二次元の表形式で表現し、表データを物理ファイルとして保持します。ただし、どのように物理ファイルを構成するかが異なります。
Oracle Databaseでは図2のように、「表領域」という論理的な領域に対して複数のデータファイルを割り当てることができ、表は論理的な表領域に作成されます。そのため、1つのデータファイルに複数の表を格納することも、1つの表のデータを複数のデータファイルに分割して格納することもできます。これにより、データベースを構成するファイル数を少なくし、ファイルシステムの負荷を下げたり、表データを分散したりして配置することが可能です。
PostgreSQLでは1つの表ごとに1つ以上のファイルが作成されます。PostgreSQLの表領域(テーブルスペース)は任意のディレクトリに表データを格納したい場合に使用します。これにより任意の位置に表を構成するファイルを分散させてディスクアクセスの負荷分散を行うことができますが、1つのファイルに複数の表のデータを格納することはできません。
PostgreSQLでテーブル単位以上のディスク書き込み分散を図るのであれば、RAIDによるストライピングを活用することをお勧めします。