上手にストレスとつきあう秘訣

2008年7月11日(金)
三上 京子

ストレスにもいろいろなタイプがある

 ストレスにはさまざまな種類があり、日常のあらゆることがストレスの原因になることが分かります。その中の代表的なものをご紹介しましょう。

 1つ目が「理化学的ストレス」で、これは暑さや寒さなどの寒暖や、騒音、振動などや空気中の化学物質汚染などです。オフィスの空調や極端な照明なども関係してきます。

 2つ目は「生物学的ストレス」で、睡眠不足や疲労、病気やけが、細菌やウイルス感染などです。エンジニアはPCの前に座りっぱなしで腰痛になる、納期前には徹夜続きで疲労困憊(こんぱい)に陥るなどは、これにあたるでしょう。

 3つ目は「心理社会的ストレス」で、職場環境、精神的苦痛、人間関係、結婚、離婚、育児、昇進、失恋などです。人生に起こりうるさまざまなライフイベントなどがあたりますが、納期を延期すると賠償請求されるので気が抜けないなどの仕事環境なども該当します。

 IT業界の関係者ならば、心理社会的ストレスの1つである「テクノストレス」という言葉を耳にされたことがあるかもしれません。この言葉は、1984年アメリカの心理学者クレイグ・ブロードによって命名されました。当時シリコンバレーにおいて、早産、月経異常、アルコール依存症や薬物依存、うつ病、自律神経失調症などが多発し、その原因がコンピューター作業であると分析されました。そしてその中には「テクノ不安症」と、「テクノ依存症」という2つのタイプがあるとされています。

 テクノ不安症とは、コンピューターにうまく適応できないために生じる心身の障害です。コンピューターが苦手な人が無理をして使ううちに強いストレスとなり、動悸(どうき)、息切れ、肩こり、めまいなどの身体的症状が現れることなどがあります。

 テクノ依存症は、コンピューターに没頭し過ぎることで現れる失調症状です。例えば「自分の限界が分からなくなる」「時間の感覚がなくなる」「邪魔をされることが我慢できなくなる」「あいまいさを受け入れられなくなる」「オン/オフ式の対応しかできなくなる」「人と接することを嫌うようになる」などのテクノ依存症のサインがある場合は要注意です。

自分のストレスに気づこう!

 ストレスのない生活などありえない現代ですが、ストレスに耐えられなくなると、心や身体、行動にも変化が現れてきます(図2上)。人によりその変化は異なりますが、この変化のサインを見逃さず、早い段階で自分自身をケアすることは病気を予防するだけでなく、ビジネスマンのセルフマネジメント能力とも言えるでしょう。

 それではここでちょっとご自身のストレス度合いを確認してみませんか?どんなことも早めのチェックが大切です。図2の下に示したチェックリストでチェックしてみてください。

 チェックの数が、「8つ以上」は危険信号です。専門家(会社の産業医やカウンセラーなど)に相談してみましょう。

 「5つ以上」は、かなりストレスがたまっている状態です。積極的に休養を取り、疲れをとりましょう。

 「5つ未満」の方は少しストレスがたまっているかもしれません。日ごろからストレスケアを意識しておきましょう。

株式会社メンタルヘルス・リサーチ&コンサルティング
保健師・産業カウンセラー。自動車メーカーを皮切りに、大型小売業、コンサルタント会社IT企業などで産業保健スタッフとして勤務。そこで多くのビジネスマンのメンタルヘルスの対応や健康管理業務に携わる。2007年より現職。経験を生かし、幅広い業務を担当する。http://www.mhrc.co.jp/

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