クラウド・サービス時代到来、運用が変わる

2009年12月3日(木)
加藤 清志

プライベート・クラウドを担うクラウド指向データセンター

クラウド・サービスを提供する上で重要なことは、必要とするサービスを素早く、かつ的確に、そして安定した品質で提供することです。

このため、プライベート・クラウドを担う「クラウド指向データセンター」では、企業の基幹業務を支える堅牢かつ柔軟なインフラストラクチャーとサービス実行環境が不可欠になってきます。

また、仮想化によるITリソースの最適活用や、サービスのマルチテナント化による利用資源の効率化など、大規模なシステムを低コストで運用することも必須条件となるでしょう。

さらには、障害の早期発見や復旧を可能にする高い可用性、運用管理の負担だけでなく環境への負荷低減にも配慮した効率的な運用や保守性も要求されるでしょう。

こうしたプライベート・クラウドに求められる要件を見据えるかたちで、NECは2009年10月8日、これまでのITプラットフォームのビジョンを進化させ、「REAL IT PLATFORM Generation 2」(以下、RIPG2)として発表しました。RIPG2では「高効率インフラストラクチャー」、「サービス実行基盤」、「システム・サービス管理」の3つの領域を強化していくことをうたっています。

クラウド指向データセンター上で安定したサービスを提供するためには、これまで以上にサービス実行状況の管理とインフラの最適化制御が重要なファクターとなりますので、RIPG2が掲げる強化ポイントの中でも特に「システム・サービス管理」という運用管理の役割が大きな比重を占めてきます。

クラウド指向データセンターの運用管理に求められる要件

クラウド指向データセンターの運用管理における要件を挙げる前提として、社内のITリソースが集約されることに起因する課題を認識する必要があります。

まず、リソースが集約されたことで、データセンターにおける管理規模は大きくなり、運用負担が増加することが挙げられます。

加えて、社内に散在していたマルチベンダー/マルチプラットフォームのリソースや、仮想化による物理/論理の関係が柔軟に変化する環境などを統合して管理する必要があり、その運用には多種多様な知識や技術/ノウハウが必要とされるため、これまで以上に管理作業が複雑になってきます。

また、サーバーが集約されることで熱だまりが発生し、データセンター自体の冷却コストが肥大化するといった問題も懸念されます。

このような大規模/複雑化に起因する課題へ対応し、安定したサービス提供を実現するために、クラウド指向データセンターの運用管理における要件には大きく3つのポイントがあります。

1つは、現在のようにシステムが複雑化した環境下においても、取り決めたサービス・レベルを維持できる運用体制の確立です。ダウンタイムの最小化支援など、サービス・レベルの低下を徹底的に回避する仕組みが必要になります。

2つ目は、大規模リソースを効率よく管理し、その上で利用者の要求に応じて新たなリソースを素早く提供できる環境の構築です。

そして、最後の3つ目は、省電力による環境負荷の軽減です。

次ページでは、プライベート・クラウドに要求される3つの運用管理要件を満たす機能について、WebSAM Ver.8での実現方法を紹介します。

NEC 第一システムソフトウエア事業部 マネージャー
1991年、日本電気株式会社に入社。研究所でのヒューマン・インタフェース技術、ユビキタス・コンピューティング技術、自律運用管理技術などの技術研究を経て、2007年から運用管理製品の開発に従事。性能分析エンジンなど新技術を取り入れ、クラウド指向データセンタに向けた運用管理製品の設計開発を進めている。

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