Webサービスの基本
XML-RPCやSOAPによるWebサービス
Webサービスも、HTTPを利用して動作するサービスです。大まかに言えば、以下のような流れで処理を進めます。
(1)クライアントからサーバーに対して、HTTPで接続して処理を要求します。
(2)サーバーは処理結果をクライアントに送信します。
(3)クライアントは(2)の結果を受信し、必要に応じて各種の処理を行います。
ただ、「HTTPで通信する」と言っても、データ転送の手段としてHTTPを利用する、HTTPの上位層に位置する細かなプロトコルは、いろいろ考えられます。Webサービスで使われるプロトコルは、いくつかに分類することができます。
主なプロトコルの1つに、「XML-RPC」があります。XML-RPCは、クライアントからサーバーに対してXML形式でデータを送信し、処理結果もXML形式で受け取る形をとります。
XML-RPCはシンプルな通信方式で、多くのプログラム言語にXML-RPCのライブラリがあり、幅広く使われています。例えば、多くのブログのシステムでは、XML-RPCを使って管理画面外からの投稿を受け付ける仕組みがあります。
XML-RPCをより発展させたようなプロトコルとして、「SOAP」(Simple Object Access Protocol)があります。SOAPは、あるコンピュータからほかのコンピュータのオブジェクト(プログラム)を呼び出して、分散処理を行うプロトコルです。
分散処理を行うプロトコルはいろいろありますが、SOAPはW3C(World Wide Web Consortium)で規格として勧告されていて、多くのシステムでサポートされています。実際、Webサービスの中にも、SOAPに対応しているところが多数あります。
なお、SOAPは必ずしもHTTPプロトコルで送受信する必要はなく、ほかのプロトコルと組み合わせて使うこともできます。ただ、実際的にはHTTPプロトコルと組み合わせるのが一般的です。
RESTによるWebサービス
SOAPは仕組みが比較的複雑で、手軽に利用するのにはあまり向いていません。そのような中で、「REST」という仕組みが使われることも多くなっています。
RESTは「REpresentational State Transfer」の略で、大まかに言えば、アドレス(URL)とHTTPのメソッド(GETなど)を組み合わせて、サーバー上のデータを操作する仕組みです。
RESTでは、個々の情報の場所を、アドレス(URL)に対応させます。そして、その情報をどのように操作するかは、HTTPのメソッドの種類に対応させます。なお、RESTでは情報のことを「リソース」(resource)と呼びます。
例として、図書に関するデータベースを、RESTで操作することを考えてみます。そのデータベースに「REST」という名前の本があるとすれば、その本のリソースに対応するアドレスは、以下のように決めることが考えられます。
そして、本のリソースをどのように操作するかによって、以下のようにメソッドを使い分けます。
- リソースを得る
GETメソッドで、上記のアドレスにアクセスします。 - リソースの内容を更新する
PUTメソッドで上記のアドレスにアクセスし、変更する値を渡します。 - リソースを削除する
DELETEメソッドで上記のアドレスにアクセスします。
RESTの例として、「Atom Publishing Protocol」(以下、AtomPub)があります。AtomPubは、Web上にある文書を得たり編集したりする仕組みで、ブログへの投稿や、写真共有サービスへの写真投稿などに使われています。
実装例として、以下のようなものがあります。
次ページでは、Webサービスの考え方を取り入れつつ、よりシンプルにWeb連携を実現している例や、Webサービスを組み合わせるマッシュアップの例を紹介します。