Azure AppFabricを用いたオンプレミスとAzureの連携

2010年1月18日(月)
勇 大地

主要な3つの機能

Windows Azure platform AppFabricが提供する主な機能は以下の通りです。

  1. サービス・バス
  2. アクセス・コントロール
  3. ワークフロー(将来提供予定)

※各機能について、Windows Azure platform AppFabricの料金価格が公開されています(英語のみ)

以下では、それぞれについて説明します。

1.サービス・バス

インターネット上に公開されているWebサービスや、オンプレミス・システムに公開されているサービスなどのさまざまなサービスに対して、サービスのネーミングやサービス利用者に対するエンドポイントの発見、ルーティング、メッセージ中継を実現する機能を提供します。

公開サービスを登録するサービス・リポジトリと呼ばれる機能をもち、公開するサービスのエンドポイントを登録します。登録したサービスに仮想的なURI(Uniform Resource Identifier)を割り当てることで、インターネット越しのアプリケーションからサービスを利用する機能を実現します。

2.アクセス・コントロール

アクセス・コントロールは、複数のアカウント連携(シングル・サインオン)を実現する問い合わせベースのセキュリティ・トークン・サービス(Security Token Services)です。サービス利用者は、公開サービスの利用に必要な「トークン」を「アクセス・コントロール・サービス」に問い合わせ、発行されたトークンを利用して公開サービスにアクセスします。

「LiveID」や「OpenID」などのインターネット上で利用されるアカウントを利用した認証連携だけでなく、Active Directoryフェデレーション サービス(ADFS)を利用したオンプレミス・システムのActiveDirectoryアカウントとの認証連携も可能です。また、ユーザーIDとパスワードの組み合わせだけでなく、SSLなどで利用されるX.509デジタル証明書を利用した認証も可能です(AppFabric v1.0 SDKではX.509デジタル証明書は利用できません)。

※Think IT編集部注(2010.01.28):Windows Azure platform AppFabricの「2.アクセス・コントロール」について、説明を補足/修正しました。

3.ワークフロー(将来提供予定)

Windows Workflow Foundation(WF)ベースのワークフロー機能を提供するサービスです。WFを利用することで、オンプレミス・システムとWindows Azure platform上のシステムの非同期サービス連携を実現できます。ワークフローの構築にはVisual StudioのWFデザイナを使用することが可能です。

Azure AppFabric利用環境の構築

サンプル・アプリケーションを実行するため、以下の手順で環境構築を行います。

AppFabric SDK V1.0のインストール

AppFabric SDK V1.0からインストーラをダウンロードして、セットアップ・ダイアログに従ってインストール処理を行ってください。

※AppFabric SDK V1.0は、.NET版だけでなく、Java版、Ruby版が公開されています。.NET以外で作られたシステムとも連携が可能です。

Windows Azureポータル・サイトでのService Namespace作成

次に、 Windows Azureのポータル・サイトにおけるサービス・バスの作成方法について説明します。

AppFabric SDK V1.0で利用する「Service Namespace」を作成するため、「Windows Azureポータル・サイトのAppFabricページ」にアクセスして、「Project」を作成する必要があります。

Project Nameを入力して、「Project」の作成を行ってください(図2-1の例では「thinkitproject」)。次に、「Service Namespace」の作成を行います。

「Windows AzureポータルサイトのAppFabric」画面から、作成した「Project」を選択します。次に、「Project」画面から「Add Service Namespace」を選択して、「Service Namespace」の作成を行います。

有効な文字列を入力し、「Create」ボタンをクリックして「サービス名前空間」を作成してください(図2-2の例では「thinkitservice」)。「Service Namespace」の作成が完了すると、サービス・バスとアクセス・コントロールで利用するパラメータ値のデフォルト値を確認できます(図2-3)。

※デフォルト値を変更したい場合、コマンド・ライン・ツールである「Acm.exe」を利用する必要があります。

次ページでは、実際にAppFabric SDK V1.0を利用したサンプル・アプリケーションを動かしてみます。

野村総合研究所(NRI)
野村総合研究所に入社後、主にJava/Webのフレームワーク開発・普及に従事している。プライベートでは.NET系の技術が好きで、Windows AzureやSilverlightに興味を持ち独自に学習している。趣味はひきこもる事で、机の半径2メートル以内が主な生活エリア。

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