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Web開発とクラウド/仮想化技術

2010年1月28日(木)
田中 孝清(たなか たかきよ)

パブリック・クラウド上のWebSphere Application Server

パブリック・クラウドで「IBM WebSphere Application Server」(WAS)を使いたいと考えたとき、最も簡単に使えるプラットフォームがAmazon EC2です。Amazon EC2では、IBMが提供するJava EEアプリケーション・サーバーであるWASが「AMI」(Amazon Machine Image、OSやミドルウエアを導入した仮想ディスク・イメージ)として提供されており、すぐにWAS環境を使い始めることができます。

Amazon Web Servicesは、サーバーの実行環境を提供するパブリック・クラウドの草分け的な存在で、Xenを用いた仮想サーバーを提供するAmazon EC2や、オンライン・ストレージ・サービスを提供するAmazon S3などのサービスを用意しています。

Amazon EC2は、Intelアーキテクチャーの仮想マシンをネットワーク経由で提供するサービスです。使用するCPUの数やメモリ量に応じた時間課金、データ転送量に応じた課金で使用できます。料金の詳細はAmazon EC2のページを参照してください。少量の使用であれば極めて安価に使えることや、事前の契約が必要なくクレジット・カードがあればすぐに使えることもあり、個人や小規模な企業が利用するのに便利なサービスです。

Amazon EC2では、仮想マシンのインスタンスを起動する際にAMIを選びます。IBMでは、IBMミドルウエアが導入された環境をAMIとして提供しています。2010年1月現在、バージョン7.0.0.7(32bit)のWASを導入した環境が提供されています。開発者版はEC2の利用料金のみで利用できますし、商用利用が可能なものも有償で提供されています。

Amazon EC2では、わずか4ステップでWASを利用できます。

  1. Amazon.comのアカウントを作成する(クレジット・カードが必要です)
  2. Amazon EC2にサイン・アップする(有効な電話番号が必要です)
  3. WASの入ったAMIを購入する(この段階まで課金されません)
  4. Amazon Web Servicesのコンソールから仮想マシンのインスタンスを起動する

インスタンスが起動された後は、sshで接続したり、WebブラウザでWASの管理コンソールに接続したりすることで、通常のWASの環境と同様に使用することができます。それぞれのステップの詳細な手順については、IBMのdeveloperWorks上で公開しています。

パブリック・クラウド上のWASは、数分で起動でき、1時間単位で利用できます。また必要でなくなれば、仮想マシンを止めてしまえば料金はかかりません。簡単なテストを行いたいときや、サーバーを短期間利用したい場合などで便利です。しかし、1年を超えるような長期間で運用する場合には、サーバーやソフトウエア・ライセンスを自社で購入してしまった方が、コストが低くなることがあります。用途や使用形態に応じて使い分けましょう。

プライベート・クラウド上のWebSphere Application Server

プライベート・クラウド環境でWebアプリケーション・サーバー環境を構築する際に問題となるのが、クラスタ環境の構築です。通常、Webアプリケーション・サーバーでは分散処理のために複数台によるクラスタリング構成がとられます。ところが、一般的なプライベート・クラウド構築製品は、単一のサーバーからなるシステムを配布することは容易ですが、複数台からなるシステムを柔軟に配布することが苦手です。このためには、かなりの作り込みが発生してしまいます。

一方、「IBM WebSphere CloudBurstアプライアンス」(WCA)は、シングル・サーバー構成やクラスタ構成のWebSphere Application Server環境を自在に配布し構築することができるハードウエア製品です。WCAは、一言で言うと「家電製品のような操作で、仮想化環境にワン・タッチでWASの環境を構築してくれる、ベンディング・マシンのような存在」です。

WCAには、OSやWASがあらかじめ導入され仮想化環境に最適化された仮想イメージとして、「IBM WebSphere Application Server Hypervisor Edition」(WAS HV)がプリインストールされています。WAS HVには、Intelアーキテクチャーのサーバーで稼働するSUSE Linuxが導入されたものと、Power Systemで稼働するAIXが導入されたものの2つがあります。WASのバージョンは、WAS V6.1とWAS V7.0がそれぞれに提供されます。配布先のハイパーバイザとしては、VMware ESXとPowerVMを使います。

WCAはアプライアンス製品なのでセットアップが非常に簡単です。ハイパーバイザを導入したサーバー環境を別途用意するだけで、すぐにプライベート・クラウドを構築できます。クラスタ構成のトポロジも、ブラウザを使用したGUIの管理画面を使って簡単に作成できます。

配布した環境をカスタマイズするための構成スクリプトを作成/登録する機能や、配布した環境に導入するアプリケーションを格納しておく機能もあります。仮想システムを配布した後も、WCAを使ってそれぞれの仮想マシンの稼働状況を監視/レポートできます。また、WCAから仮想システムの起動や停止、保管などの操作を行えます。

WCAを利用すると、IBM WebSphere Application Serverの環境構築にかかる負荷を劇的に下げられます。1つの環境を複数の用途に使い回していたケースで特に有効です。WCAを導入すると、開発環境やテスト環境、Fix適用試験などの目的ごとに独立したサーバー環境を用意できるようになります。仮想システムを停止しておけば、ハードウエア・リソースをほかの仮想システムにまわすことができ、また必要になれば後で即座に再始動できます。プロジェクト間でのリソース共有が容易です。

複数のWAS環境を運用している場合には、ぜひともWCAの導入を検討してみてください。個々のプロジェクトに必要なサーバーをどう確保するか、というような悩みから解放されます。

次ページでは、アクセス負荷に応じてアプリケーション・サーバー構成を動的に変更する製品を紹介します。

著者
田中 孝清(たなか たかきよ)
日本アイ・ビー・エム株式会社
2000年より日本アイ・ビー・エムのソフトウエア事業でWebSphere Application Server(WAS)の技術支援を担当。セミナー講師やWASに関連した技術文書の執筆なども多くおこなっている。

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