UCアプリ後編(ビデオ会議、運用ツールなど)

2010年2月19日(金)
荒牧 大樹

電話機活用アプリ(1)

以下では、電話機を活用したアプリケーションの例として、6つのトピックを解説します。

1. UCツールをAPI経由で操作する

ワークフロー連携やコール・センターのWFM(Workforce Management)、業務システムとの連動などは、UC以外の別のアプリケーションを使います。昨今はこうしたアプリケーション連携が重要になっています。

これらのアプリケーションからUCツールを操作するためには、UC製品側にAPI(Application Programming Interface)が必要です。APIに標準的なXMLやJTAPI/TAPIを採用することで、アプリケーション・ソフトから簡単に利用できます。

一般に、UCツールのAPIとしては、電話機を外部から操作する場合はJTAPI/TAPIライブラリが、管理の設定や電話機への表示にはXMLが使われます。

2. 開発プラットフォームでAPIの差分を吸収

各種のAPIをまとめる開発プラットフォーム製品も登場しています。これらの製品は、刻々と変化するUCツールのバージョン差分を吸収するだけでなく、スクリプト・ベースでの簡易アプリケーション開発が可能になっています。

開発プラットフォームを使えば、UC用のアプリケーションの開発が容易になり、導入後のバーション・アップの心配もなくなります。ただし、海外や外資系のユーザーと異なり、日本のユーザーは自社でアプリケーションを開発することが少ないため、メリットを出しにくいという側面があります。

3. IP電話機をデータ受信端末として利用

常に起動していて画面とスピーカを備えているIP電話機は、データを配信する対象として最高の機器です。工場などで音声を配信する音声ページングは以前からありますが、テキスト/図/音声を本社や支社に同時に流せるのは、IP電話ならではの特徴です。

使用例として、時報やCSR(企業の社会的責任)関連、IT/総務の通達などを配信する用途があります。同じ情報をポータルに掲示したりメールで通知したりする方法もありますが、見落としがちです。電話機に配信すれば警告音と画面で知らせてくれるので、確実に知らせたい通知を社員に配信する用途に適しています。確認ボタンの押下によってユーザーが本当に確認したかどうかも分かります。

データ配信機能を備えたアプリケーションとして、ネットワンシステムズでは「Collaboaxl」と呼ぶ製品を独自開発し、提供しています。

電話機活用アプリ(2)

4. Web電話帳をUCのポータルとして使う

UCの入り口の製品としては、Web電話帳が一番分かりやすい製品です。Web電話帳は基本的に、電話帳、クリック・コール、電話プレゼンス表示などの機能を備えています。Web電話帳とUCを連携させることで、電話業務が効率化し、生産性の向上が見込めます。

5. 音声通話を録音して活用する

コンタクト・センター用途や監査証跡の一環として、音声通話の内容を録音するニーズがあります。IPベースで録音すると、発話側と受話側のステレオ録音/再生、音声認識エンジンと連動したテキスト化などが可能です。テキスト化により、文字列による検索が可能になります。

IPベースで録音をする場合は、音声パケットの取得が必要です。方法としては、LANスイッチ側でパケットを取得するやり方と、電話機でパケットを複製して録音サーバーに送るやり方があります。

音声パケットの取得時に呼情報も取得しますが、呼情報も呼制御サーバーから取得するやり方と、LANスイッチで呼制御情報を複製して取得するやり方があります。

6. 会議室設備と連携させる

会議室の電話機をMicrosoft Exchange Serverと連動させれば、会議室の予約情報の確認やデータ受信端末として活用できます。会議室には電話機しか置いていない場合が多いので、こうした連携は役立ちます。

電話機のほかにも、会議室にはさまざまな機器が置いてあります。プロジェクタ、電灯、スクリーン、ディスプレイなどです。これらをUCで連携させることも可能です。例えば、電話機に「プレゼン開始」としゃべりかけることで、音声認識技術と連動し、プレゼン資料をスクリーンに表示するといった使い方が可能です。

次ページでは、UCの運用管理ツールを紹介します。

ネットワンシステムズ株式会社
2001年よりIP電話機構築に関わる。国内の大手金融や製造系の大規模なUCネットワーク構築に於いて、先端UC技術をいち早く取り入れてきた。メーカー以外の企業のエンジニアとして、UC技術の最高資格である「CCIE Voice」を国内で初めて取得。現在はネットワンシステムズ株式会社にて、UC製品の先端技術サポートを行っている。

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています