UCアプリ後編(ビデオ会議、運用ツールなど)
電話機活用アプリ(1)
以下では、電話機を活用したアプリケーションの例として、6つのトピックを解説します。
1. UCツールをAPI経由で操作する
ワークフロー連携やコール・センターのWFM(Workforce Management)、業務システムとの連動などは、UC以外の別のアプリケーションを使います。昨今はこうしたアプリケーション連携が重要になっています。
これらのアプリケーションからUCツールを操作するためには、UC製品側にAPI(Application Programming Interface)が必要です。APIに標準的なXMLやJTAPI/TAPIを採用することで、アプリケーション・ソフトから簡単に利用できます。
一般に、UCツールのAPIとしては、電話機を外部から操作する場合はJTAPI/TAPIライブラリが、管理の設定や電話機への表示にはXMLが使われます。
2. 開発プラットフォームでAPIの差分を吸収
各種のAPIをまとめる開発プラットフォーム製品も登場しています。これらの製品は、刻々と変化するUCツールのバージョン差分を吸収するだけでなく、スクリプト・ベースでの簡易アプリケーション開発が可能になっています。
開発プラットフォームを使えば、UC用のアプリケーションの開発が容易になり、導入後のバーション・アップの心配もなくなります。ただし、海外や外資系のユーザーと異なり、日本のユーザーは自社でアプリケーションを開発することが少ないため、メリットを出しにくいという側面があります。
3. IP電話機をデータ受信端末として利用
常に起動していて画面とスピーカを備えているIP電話機は、データを配信する対象として最高の機器です。工場などで音声を配信する音声ページングは以前からありますが、テキスト/図/音声を本社や支社に同時に流せるのは、IP電話ならではの特徴です。
使用例として、時報やCSR(企業の社会的責任)関連、IT/総務の通達などを配信する用途があります。同じ情報をポータルに掲示したりメールで通知したりする方法もありますが、見落としがちです。電話機に配信すれば警告音と画面で知らせてくれるので、確実に知らせたい通知を社員に配信する用途に適しています。確認ボタンの押下によってユーザーが本当に確認したかどうかも分かります。
データ配信機能を備えたアプリケーションとして、ネットワンシステムズでは「Collaboaxl」と呼ぶ製品を独自開発し、提供しています。
電話機活用アプリ(2)
4. Web電話帳をUCのポータルとして使う
UCの入り口の製品としては、Web電話帳が一番分かりやすい製品です。Web電話帳は基本的に、電話帳、クリック・コール、電話プレゼンス表示などの機能を備えています。Web電話帳とUCを連携させることで、電話業務が効率化し、生産性の向上が見込めます。
5. 音声通話を録音して活用する
コンタクト・センター用途や監査証跡の一環として、音声通話の内容を録音するニーズがあります。IPベースで録音すると、発話側と受話側のステレオ録音/再生、音声認識エンジンと連動したテキスト化などが可能です。テキスト化により、文字列による検索が可能になります。
IPベースで録音をする場合は、音声パケットの取得が必要です。方法としては、LANスイッチ側でパケットを取得するやり方と、電話機でパケットを複製して録音サーバーに送るやり方があります。
音声パケットの取得時に呼情報も取得しますが、呼情報も呼制御サーバーから取得するやり方と、LANスイッチで呼制御情報を複製して取得するやり方があります。
6. 会議室設備と連携させる
会議室の電話機をMicrosoft Exchange Serverと連動させれば、会議室の予約情報の確認やデータ受信端末として活用できます。会議室には電話機しか置いていない場合が多いので、こうした連携は役立ちます。
電話機のほかにも、会議室にはさまざまな機器が置いてあります。プロジェクタ、電灯、スクリーン、ディスプレイなどです。これらをUCで連携させることも可能です。例えば、電話機に「プレゼン開始」としゃべりかけることで、音声認識技術と連動し、プレゼン資料をスクリーンに表示するといった使い方が可能です。
次ページでは、UCの運用管理ツールを紹介します。
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