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現在のBIアーキテクチャ

2010年3月9日(火)
平井 明夫

RDBにおける大量ユーザー・サポート

一方、C/S型アーキテクチャにおいてデータ管理の役割を担ってきたRDBの位置付けは、3層型アーキテクチャにおいても不変でした。しかし、C/S型アーキテクチャから3層型アーキテクチャへの移行に伴い、イントラネットおよびアプリケーション・サーバー経由でデータベースに接続されるユーザーの数は飛躍的に増大しました。このため、RDBにおいては、大量ユーザーをサポートするための機能強化が必須となりました。

このような機能の1つに、「コネクション・プーリング」がありました。この機能は、あらかじめ一定数のセッションを確保しておくことで、大量の接続要求があっても、セッションの確立・切断に伴う負荷を軽減し、性能の低下を防ぐ機能です。ちなみに、Oracleデータベースでは、1997年に出荷されたOracle 8から、この「コネクション・プーリング」機能が実装されました。

3層型のBIアーキテクチャ

さて、それでは、3層型アーキテクチャの登場により、BIシステムのアーキテクチャはどのように変化したのでしょうか。

C/S型アーキテクチャから3層型アーキテクチャへの移行に伴い、アプリケーションの実行をアプリケーション・サーバーが、ユーザー・インタフェースの制御をWebブラウザが担うようになったことは既に述べたとおりです。C/S型のBIアーキテクチャの時代に隆盛を誇ったQ&Rツールもまた、この変化の影響を大きく受けました。

具体的には、検索のためのSQLの組み立てから、レポートの表示・印刷のための書式の設定・保存にいたる処理の大部分は、アプリケーション・サーバー上で実行されるようになり、一部のユーザー・インタフェースの制御だけがクライアントPC上のWebブラウザで実行されるようになりました(図2-1)。

Q&Rツールの変化

しかし、この時代にQ&Rツールに起こった変化は、単なる3層型アーキテクチャへの移行には止まりませんでした。なぜなら、3層型アーキテクチャへの移行が発生した背景には、より大量のユーザーのサポートというビジネス課題の解決があったからです。

すなわち、C/S型のBIアーキテクチャの時代には潜在的でしかなかった、「パワー・ユーザー以外のすべての企業内ユーザーにBIシステムの利用を拡大する」というニーズが、3層型アーキテクチャの登場により、現実的なものとなったのです。

具体的にQ&Rツールが受けた影響とは、次の2つでした。

  1. Webレポーティング機能の追加
  2. ダッシュボード機能の追加

(1)Webレポーティング機能

まず、Webレポーティング機能から見ていきましょう。Webレポーティング機能とは、パワー・ユーザーが作成したレポートを、Webブラウザ経由で多数の一般ユーザーが閲覧できるようにする機能です。

C/S型のBIアーキテクチャの時代には、この一般ユーザーは、パワー・ユーザーがQ&Rツールにより作成したレポートを、ファイルまたは印刷された紙として受け取っており、直接的なBIシステムのユーザーではありませんでした。

しかし、3層型のBIアーキテクチャのもとでは、一般ユーザーはWebブラウザを使用して直接BIシステムにアクセスし、作成済みのレポートを閲覧するようになりました。

また、結果として、Q&Rツールから引き継がれたパワー・ユーザー向けの機能は、この時代には、一般ユーザー向けレポートの開発ツールとしての役割も担うことになりました。

従って、一部の企業においては、もともとはパワー・ユーザー向けであったレポート作成の機能を、IT部門が開発者として使用するようになりました(図2-2)。さらには、一部製品においては、パワー・ユーザー向けとレポート開発者向けの機能を明確に分離するものも現れました。

株式会社クロスキャット シニアコンサルタント

2004年、前職にて、当時は珍しかったOSS BIツールOpenOLAPの開発に参画、現在は、中堅・中小企業向け経営管理ソリューションのローンチに携わるかたわら、データ分析を中心としたテーマでの講演・執筆活動を行っている。主な著書・共著書に『BIシステム構築実践入門』、『データ分析できない社員はいらない』がある。

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