アプリケーション・ライフサイクル管理とHP製品

2010年4月6日(火)
岡崎 義明

アプリケーション・ライフサイクルとは

最近では、いろいろなベンダーが「アプリケーション・ライフサイクル管理」をキーワードとして使っています。この言葉の共通した解釈は、「ある一時点の作業を支援するだけでなく、アプリケーション・ライフサイクル全体を通して作業を支援することにより、効率化や高品質を実現する」というものです。では、ここで言う「アプリケーション・ライフサイクル」とは、いったい何を指すのでしょうか。

もし読者の皆さんが「アプリケーションの開発」に携わる方でしたら、アプリケーション・ライフサイクルとは、「アプリケーション開発の始まりからカット・オーバーまで」を意味する言葉かも知れません。実際、多くの場面でアプリケーション・ライフサイクルという言葉は、アプリケーション開発と同義語として使われています。

しかし、「運用部門」の方でしたら、アプリケーション・ライフサイクルは、もちろん「それが廃棄される時まで続く」と考えるでしょう。アプリケーションは、開発期間よりもはるかに長い間運用されます。その間には、バージョン・アップがあったり、パッチが当てられたり、あるいは障害が発生したりと、いろいろなことが起こります。「アプリケーション・ライフサイクルを管理します」と言われたら、「本番稼働期間も含めて管理してもらいたい」と思うはずです。

では、すべてのITスタッフが満足するアプリケーション・ライフサイクルとは、「アプリケーション開発の始まりから運用中のアプリケーションが廃棄されるまで」ということでしょうか。いいえ、経営の一端にもかかわる情報システム部門長やIT企画といった人たちから見れば、これでも不満です。

経営にかかわる人たちは、IT予算や開発リソースを考慮しながら、「このシステムは今期中に開発し、あのシステムは来期に回す」といった決定を行います。いくらアプリケーションを開発したくても、予算やリソースがなければできないからです。この意味では、アプリケーションのライフサイクルは、「このシステムを開発しよう」という決定に始まると言えます。

このように考えると、アプリケーション・ライフサイクル管理の対象は、「アプリケーションの企画から開発、運用まで」を含むことが分かります。

システム開発に携わる多くの人たちが考えるアプリケーション開発段階については、これを指す言葉として別途、「アプリケーション開発ライフサイクル」(SDLC: Systems Development Life Cycle)があります。アプリケーション・ライフサイクルとSDLCは、示している範囲が異なるのです。

BTOソフトウエア製品ラインを揃えている

HPは、BTO(Business Technology Optimization: ビジネステクノロジーの最適化)をコンセプトに、企画(戦略)・開発(アプリケーション)・運用の各フェーズで利用するためのソフトウエア製品ラインアップを提供しています。

BTO製品のメリットは3つあります。

  1. まず、戦略・アプリケーション・運用のそれぞれのフェーズで自動化と標準化を実現することにより、効率を高めて成果物の品質を向上させます。
  2. 次に、フェーズをまたがった連携機能を提供することにより、自動化・標準化による効果を最大化します。
  3. そして、ITとビジネスを連携させることにより、ITによるビジネス成果を最適化します。

BTO製品ラインアップには、図1-1のようにさまざまな製品が含まれます。今回のテーマであるアプリケーション・ライフサイクル管理と特に関係の深い製品は、図1-2の通りです。

次ページからは、個々のアプリケーション・ライフサイクル関連ソフトについて、具体例を挙げて解説します。

プログラマ、SEとして社会人スタートし、いくつかの外資系ソフトウェア会社を経て、2002年からソフトウェアのテストツールを販売するマーキュリー・インタラクティブ社に製品マーケティングとして入社。2007年、ヒューレット・パッカード社による買収にともない、日本HPへ。現在は、HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部で、テスト製品のマーケティングを担当。

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