コネクション受付制御とは?
回線交換方式と蓄積交換方式
データ通信ネットワークにおける交換方式には、回線交換方式(circuit switching)と蓄積交換方式(store-and-forward switching)の2つがある。
回線交換方式では、送受信する2つの端末間で回線を占有することによりデータの送受信が行われる。一度、回線が接続され通信路が確立されると、2つの端末のどちらか一方が切断するまで通信路は維持される。つまり、通信路が確立されれば、あて先などの情報を一切必要としないので、交換機は単なる中継機となってしまう。よって、伝送遅延およびデータ転送速度が一定に保たれるので、リアルタイム性は非常に高い。
しかし、データ転送が行われていない場合でも通信路は確立されたままなので、利用効率が低い。また、交換機では誤り制御は行われないので、誤りについてはある程度、許容せざるを得ない。これらの理由により、音声や動画像の通信に採用される場合が多い。
蓄積交換方式では、送信データはパケットと呼ばれる可変長データ単位に分割され送信される。可変長データを扱うため、パケットを受信した交換機は、ヘッダ位置の特定を行うために到着パケット全体を交換機のメモリに格納して、ソフトウェア処理により、あて先アドレスの確認を行って経路選択を行う。
この作業は2つの端末間に介在するすべての交換機で同様に行われる。つまり、伝送遅延は無視できないほど大きくなってしまう。しかし、誤り制御が適宜行われるので誤りはほとんどなく、通信路を占有することもないので利用効率は高い。これらの理由により、リアルタイム性を必要としないデータ転送(ファイル転送など)に採用される場合が多い。
ATMにおけるコネクション受付制御
ATMの伝送方式は、光ファイバケーブルの高品質化や広帯域化を背景に、上記の相反する2つの交換方式のそれぞれの長所を生かして統合化し、さらにQoS(quality of service)と呼ばれる通信品質技術を取り入れたものである(図2参照)。
ATM伝送方式の3つの特徴を以下に示す。
1つ目は、データ転送単位がセルと呼ばれる固定長であることだ。蓄積交換方式では、可変長データ転送単位はパケットであるが、ATMのデータ単位であるセルは固定長のヘッダとデータフィールドにより構成される。固定長なのでヘッダ位置も定まっており、交換機はセル全体をメモリに格納することなく、ハードウエア処理により経路選択を行うことが可能となるため、高速な経路選択が実現可能である。
2つ目は、ネットワーク伝送遅延を小さく抑えることができることである。これは、高品質な光ファイバーの使用により、中継交換機間でのデータ転送の信頼性が向上するため、誤り制御など、信頼性に関する仕組みを簡素化することができるためである。
3つ目は、QoSにより、送信しようとするデータの特性に応じた通信が可能となることだ。例えば、高品質な音声や映像などの転送が可能である。
ATMでは、呼の設定時に受付制御を行う。まず、送信側の端末は呼設定時に、データ転送を行うために必要となる帯域、遅延特性、廃棄特性などのトラヒック特性やサービス品質クラス(QoS)を決定し、ネットワークとの間で交渉する。
ネットワーク側は、すでに設定されているコネクションのQoSに影響を与えず、要求された呼の受付が可能かどうか確認し、可能な場合のみ、呼の設定要求を許可する。そして、送信側、受信側端末双方に許可された旨を通知し、通信が開始される。
次は、Webサーバーにおけるコネクション受付制御について説明しよう。