日本の帳票文化とツール
帳票ツールに求められるもの
Webシステム開発において、帳票ツールに求められる機能は何でしょうか。
代表的なものとして、大枠は、以下の4つになります。
- 日本の繊細な帳票を表現できる
- 帳票の開発ツールを持っている
- 外字機能を持っている
- Webで一般的なPDF(Portable Document Format)を生成できる
帳票ツールは、フォームなどを設計するための開発ツールを必ず備えていますが、それぞれ特徴があります。ここでは、アクシスソフトのPrintStream Core SE(PSC-SE)に含まれる帳票開発ツール「FormEditor」を紹介します。
多くの開発ツール同様に、帳票をGUIベースで設計できます(図2-1)。特徴的な機能としては、入力データを解析して印字内容を変更したりフォーマットを調整できる「スクリプト機能」を持っていることです(図2-2)。
外字もベクトルで実現すべき
帳票ツールに求められる機能の1つに、外字機能があります。業務システムによっては、WindowsなどのOSが標準で提供している文字では事足りず、外字が必須になります。
外字の扱いは、実はWebシステムでの盲点でもあります。通常、クライアントに外字が登録されていなければ、その外字の表示や印刷ができないからです。クライアントに外字を登録するということは、「クライアント管理が楽である」というWebシステムの利点に反します。
従って、帳票ツールの多くは、サーバー側にだけ外字を登録すればクライアント側には外字を登録しなくても済む仕組みを持っています。どういう仕組みかと言うと、印刷イメージをクライアントではなくサーバー側で作成するのです。PSC-SEも同様の仕組みを備えています。
外字の印刷イメージを実現する方法もまちまちです。多くのソフトがビットマップ方式を採用する一方で、PSC-SEはベクトル方式を採用しています。
ベクトル方式を採用した理由の1つは、文字の大きさによって通信量が変化しないことです。これは重要です。Webシステムで重要になる観点にネットワーク帯域の問題があります。ネットワーク帯域が狭ければ、利用者は操作を待たされてしまいます。
もう1つの理由は、拡大縮小による文字の崩れがないことです。画面で表示すると違いが鮮明に分かります。図2-3に、ビットマップ方式とベクトル方式による外字表示イメージを載せておきます。ビットマップは文字の周囲に凹凸ができ、崩れていることがよく分かります。
次ページでは、サーバー側で作成した印刷イメージをクライアントに配信する仕組みをいくつか紹介し、それぞれのメリット/デメリットを解説します。