BlackBerryの利便性

2010年5月11日(火)
高橋 大志

BlackBerry端末の特徴

BlackBerry端末を見てまず最初に気づくポイントは、デスクトップPCと同じQWERTY配列のキーボードを搭載している点です。現在世界中で使用されているBlackBerryデバイスは、ほぼすべてこのQWERTYキーを搭載しています。ただし、最近の傾向としてタッチ・パネルによる操作が好まれている点を考慮し、北米でリリースされている新しいBlackBerry Stormシリーズでは、クリッカブル・タッチ・パネルを採用しています。

BlackBerryは、QWERTYキーを搭載することによって、文字入力におけるストレスの軽減を図っています。「このような小さなキーで文字の入力が快適に行えるのか」と思われる方もいるかもしれませんが、この点は「百聞は一見(一触?)にしかず」ですので、実際に手にとって確認してみてください。

また、単に物理的にキーを搭載するだけでなく、そのキーの押しやすさにも気を使っています。例えば、BlackBerry Bold 9000を例にとると、キーの配列が全体的にUの字に湾曲していることが分かります。これは、端末を持った際の親指の動きに注目して設計されているためです。親指は横に動かす際、真横より多少斜め上方向に動かす方が動かしやすいのです。さらに、各キー1つ1つも、単なるボタンではなく凸型になっており、キーを押下した際に隣接するキーと干渉することを防いでいます。

また、物理的にキーを搭載するということは、その各キーにさまざまな機能を割り当てて1アクションで機能を呼び出す「ショートカット」機能が使えるということです。BlackBerryに標準搭載されているアプリをはじめ、BlackBerry用に作られたサード・パーティ製アプリまで、このショートカット・キーを備えています。

例えば、ホーム画面からメールを作成したい際には、「c」(Compose)キーを押せばメールの新規作成画面がすぐに立ち上がります。画面の最上部に移動する場合は「t」(Top)ボタンであったりと、BlackBerryで利用するアプリで共通に使えるものも豊富です。全体的な使用感が統一されており、ストレスのない素早い操作が可能となっています。

BlackBerry Enterprise Solutionのアーキテクチャ

BlackBerry端末は、社内システムと連携を行う場合、BES(BlackBerry Enterprise Server)を必要とします。このBESは、BlackBerry端末と社内システムを結ぶゲートウエイ・サーバーであると同時に、各端末のセキュリティや動作状況などを確認する管理サーバーとしても機能します。

BESが持つ代表的な機能を以下に列挙します。

グループウェア連携

  • Microsoft Exchange
  • Lotus Notes/Domino

IM(インスタント・メッセージ)連携

  • Microsoft Office Communications Server
  • Lotus Sametime

SNS連携

  • Lotus Quickr
  • Lotus Connections

ゲートウエイ機能

  • BlackBerry搭載WebブラウザからのHTTPアクセスを中継
  • その他あらゆるBlackBerry端末からの通信を中継

BlackBerry端末管理

  • ユーザー管理
  • ITポリシー管理(450項目以上のセキュリティ項目の設定が可能)
  • アプリケーション・ポリシー管理
  • アプリケーションの配布
  • 遠隔操作(リモート消去、リモート・パスワード・リセットなど)
  • 端末データの自動バックアップ

また、BESとBlackBerry端末間は常に通信可能な状態を維持しています。この通信はインターネットを経由した通信であり、BlackBerry独自のものが採用されています。この通信の特徴は、次の通りです。

BESとBlackBerryの間は、モバイル網に最適化した独自プロトコルを利用

  • パケットの圧縮
  • 通信初期から伝送経路のMTU(最大転送ユニット)を最大限に利用

BESからインターネット側に存在するブロード・バンド(BB)インフラへの通信

  • TCPのアウトバウンド方向(ポート3101)の通信を利用
  • この上に独自プロトコルを実装

BlackBerryインフラストラクチャとBlackBerry端末間の通信

  • 携帯電話キャリアのネットワークとBlackBerryインフラストラクチャは専用線で接続
  • TCPは使用せず、直接モバイル網に最適化されたプロトコルで転送

このように、BlackBerryは伝送に独自プロトコルを用いることによって、不安定なモバイル網での安定かつ効率的なデータ転送を実現しています。この仕組みがBlackBerryの利便性にどのように影響しているかについて、次ページで解説します。

2001年にSIerへ入社し、以後モバイルキャリアのシステム構築(主にネットワーク)に携わる。現在はResearch In Motion Japanにて、テクニカルアカウントマネージャーとして、BlackBerry Enterprise Solutionの企業導入における営業支援を行っている。

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