Windows Phoneのビジョンと戦略

2010年5月12日(水)
越川 慎司

Windows MobileからWindows Phoneへ

昨年秋に、コンシューマー向けのブランドを、従来の「Windows Mobile」から「Windows Phone」に変更したが、 その理由は大きく2点ある。

まずMyPhone, Marketplaceといった新たなサービスを提供し、これまでのビジネスワーカーだけでなく、 コンシューマー向けに大きくアピールするため。もう一点は、そのコンシューマー市場に深く浸透させるには、 複雑なOSバージョンを意識させず、「自然な選択」をしてもらうことが重要だと考えたため。 究極的には、OSやそのバージョンを意識することなく、店頭で気に入った携帯電話を購入したら、 実はWindows Phoneであったという状況を目指していきたいと考えている。

■Windows Phoneビジネス”なう”

スマートフォンという言葉を毎日のように耳にする中、確実にWindows Phoneは拡がっていっている。 昨年末から今年にかけて、新たに5機種のWindows Phoneが発売されたが、これにより消費者は、 多様なキャリア、ハードウエアから、より自分のニーズに合ったスマートフォンを選ぶことができるようになった。 Windows Phone向けアプリケーションの開発者コミュニティーも1,300名(個人開発者、パートナー企業を含む)以上を数えるまでになった。

コンシューマー市場ではiPhoneやAndroidの存在感も高まっているが、元来の強みである法人市場においては、 引き続きWindows Phoneの快進撃が続いている。例えば昨年、ファイザー製薬が約3,000台のWindows Phoneを導入したほか、 佐川急便、ヤマト運輸などもそれぞれ数万台規模のWindows Phoneを業務に導入することを発表した。

今後のチャレンジは、法人部門での優位性を維持しながら、 コンシューマー市場に向けたサービス開発とマーケティングを加速させることだと考えている。

今後Windows Phoneが向かう世界

モバイル市場の技術革新は止まらない。「ハードウエアの進化」、「ナチュラル・インターフェースの進化」、 「通信インフラの進化」などにより、「いつでもどこでも」情報を持ち歩く環境が増えてゆくであろう。 マイクロソフトは、これらの技術進化に合わせ、OS、サービスの開発を進めている。

特にブロードバンドとモバイル機器がいち早く成熟した日本市場は、世界市場においても特に重要だと認識しており、 2年前にはWindows Phoneの開発チームの一部を、日本国内にも設置した。 最新のOSであるWindows Mobile 6.5.3に採用されたユーザーインターフェースや静電容量パネルへの対応などは、 日本の要望を大きく取り入れたものだ。

また欧米では今冬にも搭載端末が発売されるWindows Phone 7では、新たなコンシューマーに向けた、 既存のスマートフォンの域を超えた端末をリリースすべく準備を進めている。

日本でWindows Phoneを普及させるために、ユーザーそして開発者の意見を重視している。 Twitterでは意見やフィードバックを募集しているので、ハッシュタグ #wpjpを付けて気軽に書き込んでほしい。

マイクロソフト株式会社 コンシューマー&オンライン事業部 コンシューマー&オンライン統括本部 モバイルコミュニケーション本部 本部長

国内通信会社などを経て米・マイクロソフトに入社。現在マイクロソフト株式会社 コンシューマー&オンライン事業部にて、日本国内のWindows Phoneビジネスを統括する。

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