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ユーザーに使ってもらってチェック!

2008年9月22日(月)
田邉 耕平

ユーザビリティ調査に必要なこと

 ユーザビリティ調査に必要なものは、次の4つです。

1.Webサイト
2.被験者
3.具体的なタスク
4.インタビュアー

 それでは、1つずつ説明していきます。

 1つ目は、「Webサイト」です。

 調査するWebサイトを準備します。まだコーディングが終わっていないWebサイトの調査をする場合にはデザイン画像をはりつけたHTMLか、印刷したデザイン案を基に調査を行います。

 2つ目は、「被験者」です。

 ユーザビリティ調査は実際のユーザーに近い被験者にサイトを使ってもらうことで成立します。そこで重要なことが「誰が、どんな目的で使うWebサイトなのか?」です。これにより、調査に協力してもらう被験者を誰にするか決定します。被験者は「目的」と「前提条件」によって分類することが望ましいです。目的とは、ユーザーがWebサイトに訪れる際の目的です。前提条件とは、「PCリテラシー」「年齢・性別」「Webサイトの利用経験」など、「Webサイト上での動きに影響を与えると想定される、人に属する要素」と考えてください。

 3つ目は、「具体的なタスク」です。

 被験者を集めた後、実際にWebサイトを使ってもらう上で「タスク」が必要になります。タスクは具体的かつ利用実態に即していることが大切です。いくら具体的でも「○○というボタンを探して押してください」というようなタスクでは意味がなく、そのような使い方をするユーザーはいません。そしてもう1つ非常に重要なことは、仮説を持ち、それを検証できるタスクを設定することです。事前に仮説を持って調査することで、潜在的な問題も検証することができるのです。

 4つ目は、「インタビュアー」です。

 実際の調査を進めるインタビュアーを1名準備します。インタビュアーは被験者に対して調査の説明をしたり、またタスクの実行中に質問をしたりする調査の進行役となります。

具体例(グルメ検索サイトの場合)

 上記4つについて、ここで簡単な具体例を挙げてみましょう。例えば、あるグルメ検索サイトがあったとします。ここでのユーザーの目的は「自分の条件にあった店舗を探し出し、予約する」ことです。Webサイト上での動きに影響を与えると想定される前提条件は、「PCリテラシー」「年齢」「サイトの利用経験」としました。これらの前提条件をクロスさせ、被験者属性を洗い出します。

 事前にWebサイトを見て調査したところ、検索結果を「予算」で並べ替えることができないため、比較検討にストレスがかかるのではないかと仮説を持ちました。そこで実際に行ってもらう具体的なタスクは、この仮説と利用実態を考え、「明日の19:00、大学時代の友人6名で食事をすることになりました。場所は新宿近辺。予算は大体1人4,000円です。このWebサイトで最適な店舗を見つけてください」としました。

 このような具体的かつ利用実態に即したタスクがあることで、被験者はWebサイトの具体的な機能を使い、そのユーザビリティを体験することができるのです。

 調査を進めるインタビューを行う際、ポイントは大きくわけて3つあります。

 1つ目は、「被験者に対し、調査対象はWebサイトであることをきちんと伝える」です。

 何も言わずに調査を始めると、被験者は「自分が調査されているのではないか?」と思い、使いにくいことに関してあまり意見を言ってくれなくなってしまいます。調査を始める前に「あくまで調査対象はWebサイトであり、使いにくいことやわからないことがあれば、それはWebサイトのせいなのでどんどん言ってください」ときちんと伝えておくことが大切です。

 2つ目は、「その場その場で思ったことを口にしてもらうように促す」です。

 調査中、被験者が何かを考えているようだったら「今、何を考えていますか?」などと聞いてください。これは「思考発話法」と呼ばれる調査手法です。実際に使っているその場の声を聞くことで、実際の行動と意見とが一致し、行動の要因がより具体的に見えます。タスクが終わった後にインタビューを行う「回顧法」では、被験者が行動の状況を正確に思い出せなかったり、自身の行動に対して後から理由をつける場合もあるため、行動の要因が少し見えにくい傾向にあります。

 3つ目は、「質問されても答えない」です。

 被験者は、Webサイト上での行動に迷いが生じるとインタビュアーに質問をしてきます。それがタスクにかかわることであれば答えを言ってはいけません。「これはどっちにいけば良いのですか?」などと聞かれたときには「どっちにいけば良いのだと思いますか?」と質問で切り返すなどし、被験者自身で答えを出してもらうようにしましょう。

 ここで1つ注意です。ユーザビリティ調査で検証できるのは、あくまで「Webサイトの機能上、ユーザーは目的を達成しやすいかどうか?」です。ニーズを洗い出すことが目的ではありません。例えば、グルメ検索サイトの調査中に被験者から「クチコミ情報を見たい」という意見があったとします。確かに飲食店を探す上でクチコミは重要な要素です。しかしそれはあくまで1ユーザーの意見であり、この時点では仮説にすぎません。

 このような場合、そのニーズが一般的にどれくらいあるのかを定量調査にて調査し、高いようであれば追加を検討するという手順を踏むことが大切です。ユーザビリティ調査ではニーズは調査できないことを忘れないでください。

株式会社クリエイティブホープ
Webプロデュース局 ディレクター。1980年生まれ。2006年より株式会社クリエイティブホープにて多くのWebサイト構築プロジェクトに従事。現在はディレクターとして調査・戦略・設計・構築フェーズを担当。趣味はソースづくり。http://www.creativehope.co.jp/

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