連載 :
  インタビュー

Elastic大谷氏とマイクロソフト川崎氏が語る Elastic+Azureですべてが可視化される世界

2018年4月27日(金)
高橋 正和

Beatsの影響でプロダクトの統合が進んだ

―― Elasticは全文検索から始まって、いろいろなプロダクトが増えてきましたが、それが一つの統合された世界になっていますね

Elastic大谷:3年前まではそうなっていなくて、個別にインストールして個別に設定しなくてはいけませんでした。それが、ここ何年かで統合して考えるようになりました。きれいに統合するのはいまも努力中で、今後も改善していきます。

これには、Beatsを開発するPacketbeatがElasticにジョインしたおかげもあります。もともとBeatsにはElasticsearchやKibanaなどを簡易的にインストールする仕組みがあって、そこからまとめてインストールして設定できるようになりました。簡単に使えるのが、Elasticの目指すところの一つなので。サンプルを見ながら設定を書いてもらうより、テンプレートを用意してすぐ使えるほうが簡単ですよね。

KubernetesのPodをまとめて表示

―― KubernetesやDockerへの対応状況はいかがでしょうか

Elastic大谷:FilebeatやMetricbeatといった情報を取得するエージェントでは、DockerやKubernetesに対応していて、Kubernetesの中で動くようになっています。

MS川崎:コンテナが入ってくると、モニタリングは大変になりますね。

Elastic大谷:まだ自分で試せていなのですが、今度オートディスカバーという機能が搭載されます。どんなコンテナがあって何が動いているのを、特に設定を書かなくても見付けてくれる、というものです。

MS川崎:私がいいなと思ったのは、Kibanaのインターフェイスでコンテナを可視化できる点ですね。

Elastic大谷:一気通貫で見られるというのはいままでどおりです。それに加えて、まだ開発中ですが、Infra UIというものがあります。KubernetesでPodが大量にあるときに、どう見せるか。そのままだと100や200ぐらいざらに並べるので、Podをまとめて表示します(と、画面のサンプルを見せる)。

MS川崎:数が大量になったときのコンテナの可視化が大変ですね。いかにアグリゲーションして見やすくするかが重要になってきていると思います。

Elastic大谷:社内でもKubernetesやDockerは使っています。Elastic CloudではバックエンドでDockerを使っていて、Kibanaで監視しています。その成果がElastic Cloud Enterpriseなどのプロダクトにとりこまれています。そのチームでKubernetesも内部で使っているはずです。

Azure上のモニタリングからAzureサービスとの連携まで

―― Azureとの連携について教えてください。AzureでElastic Stackのマネージドサービスはまだないですよね

MS川崎:Azure には、もともとElasticsearchをベースに構築されたAzure Searchという全文検索機能に特化したフルマネージドサービスがありますが、これとは別にElastic Stackのマネージドサービスが欲しいという声は聞きます。

Elastic大谷:マネージドなサービスはまだないですねが、Azure用のテンプレートは、Azure Marketplaceで公開しています。

MS川崎:これを使えば簡単にIaaSに展開できます。

Elastic大谷:Microsoftとの関係をいうと、2017年にはWindows版のインストーラもリリースしています。

―― Elastic StackとAzureをいっしょに使うメリットはどこにあるでしょうか

MS川崎: AzureはPaaS先行でスタートしたクラウドなので、IaaSというよりPaaSの機能が充実していると思います。たとえば、IoTで大量のデバイスから上がってきたデータを処理するときに、それを受け取るハブが必要になります。AzureにはAzure IoT Hubというハイーアスケールなハブがあるので、そこからElastic Stackにつなげるといったことができます。

Elastic大谷:Elastic側からいうと、Azure上のサービスをモニタリングするというニーズがこれから増えてくると思っています。Logstash Azure Monitoring Moduleも出る予定ですし、Azure Event HubsからLogstashにつなげるプラグインも公開しています。このあたりの連携は他のクラウドサービスと比べてもAzureが先行している部分だと思います。

Logstash Azure Monitoring Module

―― 最後に、de:codeの講演に向けてメッセージをお願いします

Elastic大谷:Azureでサービスを動かしているけどモニタリングをどうしよう、という人はぜひ来てください。サービスを運用している人に、簡単にモニタリングできる仕組みがあるよ、と知ってほしいと思います。ログやメトリックスで困っている人に来ていただければ。

MS川崎:私の言いたいことはシンプルです。けっこう誤解があって、「AzureでElastic Stackが動くの?」と聞かれることがあります。それに対して、すごく便利に使えるんだ、とわかってもらえればと思います。

関連リンク
  • de:code (decode) 2018 | 開発者をはじめとする IT に携わる全てのエンジニアのためのイベント
    https://www.microsoft.com/ja-jp/events/decode/2018/
  • お二人が登壇するセッションは "AD29 App Development" です!
    「ここまでできる!Elastic Stackによる運用状況の可視化 - Azureサービス~ Kubernetesまで」

フリーランスのライター&編集者。IT系の書籍編集、雑誌編集、Web媒体記者などを経てフリーに。現在、「クラウドWatch」などのWeb媒体や雑誌などに幅広く執筆している。なお、同姓同名の方も多いのでご注意。

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