Elastic大谷氏とマイクロソフト川崎氏が語る Elastic+Azureですべてが可視化される世界
Beatsの影響でプロダクトの統合が進んだ
―― Elasticは全文検索から始まって、いろいろなプロダクトが増えてきましたが、それが一つの統合された世界になっていますね
Elastic大谷:3年前まではそうなっていなくて、個別にインストールして個別に設定しなくてはいけませんでした。それが、ここ何年かで統合して考えるようになりました。きれいに統合するのはいまも努力中で、今後も改善していきます。
これには、Beatsを開発するPacketbeatがElasticにジョインしたおかげもあります。もともとBeatsにはElasticsearchやKibanaなどを簡易的にインストールする仕組みがあって、そこからまとめてインストールして設定できるようになりました。簡単に使えるのが、Elasticの目指すところの一つなので。サンプルを見ながら設定を書いてもらうより、テンプレートを用意してすぐ使えるほうが簡単ですよね。
KubernetesのPodをまとめて表示
―― KubernetesやDockerへの対応状況はいかがでしょうか
Elastic大谷:FilebeatやMetricbeatといった情報を取得するエージェントでは、DockerやKubernetesに対応していて、Kubernetesの中で動くようになっています。
MS川崎:コンテナが入ってくると、モニタリングは大変になりますね。
Elastic大谷:まだ自分で試せていなのですが、今度オートディスカバーという機能が搭載されます。どんなコンテナがあって何が動いているのを、特に設定を書かなくても見付けてくれる、というものです。
MS川崎:私がいいなと思ったのは、Kibanaのインターフェイスでコンテナを可視化できる点ですね。
Elastic大谷:一気通貫で見られるというのはいままでどおりです。それに加えて、まだ開発中ですが、Infra UIというものがあります。KubernetesでPodが大量にあるときに、どう見せるか。そのままだと100や200ぐらいざらに並べるので、Podをまとめて表示します(と、画面のサンプルを見せる)。
MS川崎:数が大量になったときのコンテナの可視化が大変ですね。いかにアグリゲーションして見やすくするかが重要になってきていると思います。
Elastic大谷:社内でもKubernetesやDockerは使っています。Elastic CloudではバックエンドでDockerを使っていて、Kibanaで監視しています。その成果がElastic Cloud Enterpriseなどのプロダクトにとりこまれています。そのチームでKubernetesも内部で使っているはずです。
Azure上のモニタリングからAzureサービスとの連携まで
―― Azureとの連携について教えてください。AzureでElastic Stackのマネージドサービスはまだないですよね
MS川崎:Azure には、もともとElasticsearchをベースに構築されたAzure Searchという全文検索機能に特化したフルマネージドサービスがありますが、これとは別にElastic Stackのマネージドサービスが欲しいという声は聞きます。
Elastic大谷:マネージドなサービスはまだないですねが、Azure用のテンプレートは、Azure Marketplaceで公開しています。
MS川崎:これを使えば簡単にIaaSに展開できます。
Elastic大谷:Microsoftとの関係をいうと、2017年にはWindows版のインストーラもリリースしています。
―― Elastic StackとAzureをいっしょに使うメリットはどこにあるでしょうか
MS川崎: AzureはPaaS先行でスタートしたクラウドなので、IaaSというよりPaaSの機能が充実していると思います。たとえば、IoTで大量のデバイスから上がってきたデータを処理するときに、それを受け取るハブが必要になります。AzureにはAzure IoT Hubというハイーアスケールなハブがあるので、そこからElastic Stackにつなげるといったことができます。
Elastic大谷:Elastic側からいうと、Azure上のサービスをモニタリングするというニーズがこれから増えてくると思っています。Logstash Azure Monitoring Moduleも出る予定ですし、Azure Event HubsからLogstashにつなげるプラグインも公開しています。このあたりの連携は他のクラウドサービスと比べてもAzureが先行している部分だと思います。
―― 最後に、de:codeの講演に向けてメッセージをお願いします
Elastic大谷:Azureでサービスを動かしているけどモニタリングをどうしよう、という人はぜひ来てください。サービスを運用している人に、簡単にモニタリングできる仕組みがあるよ、と知ってほしいと思います。ログやメトリックスで困っている人に来ていただければ。
MS川崎:私の言いたいことはシンプルです。けっこう誤解があって、「AzureでElastic Stackが動くの?」と聞かれることがあります。それに対して、すごく便利に使えるんだ、とわかってもらえればと思います。
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