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Azureとのコラボレーションによる、これからのワークスタイルとは― Developers Summit 2020レポート

2020年2月27日(木)
高橋 正和

MicrosoftとGitHubの社内ワークフローを解説

オープンソースに限らず世界のコラボレーション開発に欠かせなくなっているGitHubは、現在はMicrosoftファミリーとなっている。

日本マイクロソフトの服部佑樹氏と、ギットハブ・ジャパンの田中裕一氏は、セッション「GitHubやMicrosoftが機能リリースする舞台裏」で両社それぞれの社内のコラボレーションスタイルを紹介した。

冒頭では「GitHubとAzure DevOpsは同じチームが開発しています」として、GitHubとMicrosoftの融合度合いがアピールされた。

GitHubとAzure DevOpsは同じチームが開発

マイクロソフトの服部佑樹氏によると、社内でもGitHubのプライベートリポジトリを使ってインナーソース(社内部門間のサイロをなくし、OSSの開発手法を採用すること)を実施しているという。

また、チームのエンジニア数×4のバグをチームが抱えたらまずバグを優先して解決する「バグキャップ」のルールや、テストを統合テストから単体テストに移行することでCIからこまめにテストすること、リリースを5つのリング(ステージ)に分けることなど、作業フローに関するさまざまな工夫が語られた。

日本マイクロソフトの服部佑樹氏

「バグキャップ」のルール

ギットハブ・ジャパンの田中裕一氏は、GitHub社内でもGitHub Flow(Gitによるワークフローの1つ)で開発していることを紹介した。また、すべてのデプロイ関連のオペレーションを社内Slack上のコマンドによって実行できるChatOpsを実践しているという。

さらに、2015年にはデプロイ回数が週400強に達し、デプロイ待ちが数時間に及ぶようになったことから、複数の変更を1つにまとめてデプロイする「リリーストレイン」を採用していることも紹介された。これは元々、1チームで作った仕組みが社内ブログで紹介されて全社に広がったということで、田中氏はGitHubの草の根インナーソースの文化の例だと語った。

ギットハブ・ジャパンの田中裕一氏

ChatOpsの様子

個性的な先輩エンジニアが語るエンジニア論

エンジニア自身のワークスタイルという点で、ウルシステムズの漆原茂氏、日本マイクロソフトのジニアス平井氏、EBILABの常盤木龍治氏の3人によるパネルディスカッション「俺たち一生楽しい厨二病 ~トッキー、ジニアス、漆原の赤裸々トーク~」では、それぞれの尖った経歴をもとにしたエンジニア論が繰り広げられた。

左から、ウルシステムズの漆原茂氏、日本マイクロソフトのジニアス平井氏、EBILABの常盤木龍治氏

進行役の漆原氏に付けられたキャラ設定は「エンジニア経営者 うるしばら」。著名企業の社長だが、本人は「ひたすらエンジニアをやりたいだけで、やりたいことをするために社長になった。経営はわからないし、投資家向け説明会とか苦手」という。それでも、チームや企業文化の設計と運用について語った。

ウルシステムズの漆原茂氏

平井氏に付けられたキャラ設定は「オタクエンジニア ジニアス」。日本マイクロソフトのテクノロジーセンターで多数のプレゼンを行っている。常に最新のテクノロジーにキャッチアップしていく必要があり、「ちょっとずつ味見してみて、そこから『もうちょっと食べたい』というものを深堀りしていく」という。

平井氏のエンジニアへのアドバイスは「目標は高く腰は低く」。自分にできるちょっと上の目標に向かっていくことと、昔の武勇伝より未来の話をすることを心がけよう、というわけだ。

日本マイクロソフトのジニアス平井氏

常盤木氏に付けられたキャラ設定は「パラレルキャリア CTO CSO 軍師 トッキー」。国内から海外までさまざまな企業に関わり、13社の名刺を持つという。いわく「ITだけでなく人もプロトコルが重要で、そこで僕は強い」。情報元としては、読書や、アプリを週に80本インストールして試していることを挙げる。さらにヘビーゲーマを名乗ってオンラインゲームのチーム編成での経験をもとに「ゲームやってる人は優秀」と言い、「チームビルディングもプロダクトだと思っている」と語る。

エンジニアへのアドバイスとしては、「若い人でも、自分でやったことがない技術について受け売りで評論するような“老害”化している人がいる」と警鐘を鳴らし、パラレルキャリアエバンジェリストとして「エンジニアじゃない副業をすると、エンジニアとしてのキャリアパスが広がる」と勧めた。

EBILABの常盤木龍治氏

最後に漆原氏は「未来を作るからエンジニア」「個が輝くような時代になってきて、わくわくするようになってきた」「厨二病のわれわれは、楽しく生き続けるんじゃないかなと思う」とまとめた。

キャラクター召喚装置やZOZO、
楽天がAzureをどう使っているか

そのほか、Azure利用企業の発表もなされた。

Gateboxの久森達郎氏のセッション「GateboxにおけるAzure AD/AD B2Cを基盤としたID Centricな組織・サービス・プラットフォームの設計」では、キャラクターと一緒に暮らすためのキャラクター召喚装置「Gatebox」について、他社との協業を踏まえたビジネスモデルに合わせ、ID中心の設計思想を軸としてどのようにサービスプラットフォームを設計したかについて紹介した。

「機能やスキーマではなく、様々な開発者や企業が参加するプラットフォームという前提で、どういうアクセスコントロールを行うかを考えていくこと」がポイントとして実際のアプローチを語り、エンドユーザーの認証と、プラットフォーム上でアプリケーションを提供しようとしている開発者がどのアプリにアクセスしているかをコントロールする意味での認証で、それぞれAzure Active Directory(Azure AD)とAzure Active Directory B2C(Azure AD B2C)を使い分けていくポイントを語った。

Gateboxの久森達郎氏

Azure ADとAzure AD B2Cを採用した理由

ZOZOテクノロジーズの川崎庸市氏のセッション「我々はZOZOTOWNのクラウドジャーニーを通じて何を学んだのか?」では、バックエンドのデータベース参照まわりを、オンプレミスのモノリシックなシステムから、Azure Kubernetes Servicesを用いてマイクロサービス化に踏み切った事例とクラウド利用から得た知見を紹介した。

ZOZOテクノロジーズの川崎庸市氏

移行後のアーキテクチャ

楽天の柳本浩一氏と日本マイクロソフトの新井庸介氏のセッション「楽天がモノリス→マイクロサービス&オンプレ→クラウドで経験した光と闇」では、楽天グループ内で利用されてきた画像参照のための共通システムを、AzureやKubernetesによるモダンなアーキテクチャへ移行したことについて、そこでのチャレンジや遭遇したトラブルを紹介した。

楽天の柳本浩一氏(左)と日本マイクロソフトの新井庸介氏(右)

移行前と移行後のアーキテクチャ

* * *

以上のように、特別会場ではMicrosoftによる「ともにつくる」が語られた。GitHubと一緒にオープンソース開発で用いられていた方法を企業内で取り入れた共同開発やインナーソースを推進する。企業も、システムを企業内に集中してそこに接続する形から、クラウドを介して企業の中と外が同じように使える形へ変化し、柔軟な働き方を実現していく。そしてエンジニア以外の人もノーコードやローコードにより「ともにつくる」ことに参加する。そうしたMicrosoftのアプローチが伺えるトラックだったといえよう。

マイクロソフトでは、エンジニアを厚くサポートするさまざまなコンテンツを提供している。いずれも無料で利用できるので、興味のある方はぜひ参照してほしい。

クラウドデベロッパーちゃんねる
クラウドを使って開発するITの開発者・デベロッパーの皆様へ様々な技術情報をお届けするYouTubeチャンネル

Microsoft Learn
Microsoft Azureについて学習できる無料のオンライン トレーニング コンテンツ一覧

開発者コミュニティ ニュースレター
マイクロソフトが配信しているニュースレターで、最新テクノロジ記事、技術ドキュメント、および開発者イベントなど、世界の情報を月イチで配信

フリーランスのライター&編集者。IT系の書籍編集、雑誌編集、Web媒体記者などを経てフリーに。現在、「クラウドWatch」などのWeb媒体や雑誌などに幅広く執筆している。なお、同姓同名の方も多いのでご注意。

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