現場のプロが「これ、推薦します!」

2008年4月12日(土)
河野 岳史

UMLの活用方法を知る

「最後に『UMLの活用方法を知る』という観点から紹介していきましょう。ここで紹介するのは、UMLの記述方法について基本を理解し、実 際にUMLを利用したモデリングを行ったことがある人のための書籍です。自分が作成したUMLのダイアグラムを見て『本当にこれでよいのだろうか?』と疑 問を感じている人が対象の書籍です。

このような疑問を感じている人には、『ダイアグラム別UML徹底活用』と『オブジェクト指向モデリング セルフレビューノート』の2冊をセットで活用することをお勧めします。

『ダイアグラム別UML徹底活用』は、UMLのダイアグラムの種類ごとにチェックすべきポイントが列挙されています。例えば、クラス図であ れば『クラス名とその中身を合わせる』『関連に情報をつける』『多重度を確認する』のように、具体的な確認項目が列挙されています。それぞれのダイアグラ ムに対して、これらの観点でチェックすることで、問題点を修正することができます。

『オブジェクト指向モデリング セルフレビューノート』も同じように活用できます。『1つのシーケンス図が最大A3サイズの用紙1枚で印刷できること』のように、筆者の経験から導かれた具体的なチェック項目が数多く紹介されています。

これらの2冊の書籍は、同じダイアグラムでも観点が異なりますので、セットで活用して自分が作成したUMLのダイアグラムを確認していくと良いでしょう。

そのほか『UMLモデリングのエッセンス』もお勧めです。薄い本ですが中身の濃い書籍です」

オブジェクト指向モデリング セルフレビューノート
著者:荒井 玲子
発行:ディー・アート
価格:2,940円(税込み)
発売日:2005年4月


ダイアグラム別UML徹底活用
著者:井上 樹
発行:翔泳社
価格:2,520円(税込み)
発売日:2005年6月21日


UMLモデリングの本質
著者:児玉 公信
発行:日経BP社
価格:2,520円(税込み)
発売日:2004年4月8日

「モデリング」をさらに学ぶ

「ここまでに紹介した書籍で学んだ方は、UMLの仕様や表記方法はそれほど重要ではなく、『モデリング』という考え方を理解することが重要であることに気づくのではないかと思います。

UMLはあくまでも表現の手段であり『何を表現するか』『どう表現するか』ということが大きなポイントになります。

少し難易度は高いのですが、この『モデリング』をさらに学ぶためには、『UMLモデリングの本質』をお勧めします。今までの書籍に比べると 文章の割合が高く、難しい内容です。しかし、説明されている内容を理解することができれば、『モデリング』という考え方を自分のものとすることができるの ではないかと思います。

以上で、UMLに関する書籍の紹介を終わります。最近は、大きな書店に行くと『UMLコーナー』が設けられ、さまざまな書籍が並んでいます。今回紹介した書籍以外にも良書は多くありますので、ぜひ実際に書店でUMLの書籍を手に取ってください」

河野氏の紹介する理由はどれも「なるほど」というものばかり。UMLの本は数多くあるが、どれが最適なのかわからない...といった方はぜひプロの意見を参考にして本屋に行ってみよう!

さて次回4月18日公開の「土日に買って勉強したい『モデリング』本」第3回では、「めざせ合格!過去問への挑戦!」をお届けする。今回はなんと「UMLモデリング技能認定試験」の試験問題を取り上げ解説するので、期待してほしい。

スパークスシステムズ ジャパン株式会社

スパークスシステムズ ジャパン株式会社の代表取締役。オーストラリア製のUMLモデリングツール「Enterprise Architect」を日本市場に向けて販売するほか、要求管理ツール「RaQuest」、ソフトウェア資産の再利用支援ツール「ARCSeeker」を自社開発し、世界中に販売している。
http://www.sparxsystems.jp/

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