サンプルで見る!ロゴマニュアル

2008年12月16日(火)
河田 雅彦

Web上でのブランド訴求

 ご存じの通り、インターネットは最も身近なメディアへと成長しました。テレビ/ラジオや新聞/雑誌など、従来のメディアのように告知機能こそ低いものの、世界中のユーザーがアクセス可能な巨大なデータベースであり、百科事典として利用されています。皆さんもインターネットが従来のメディアと大きく違うことは認識されていると思いますが、いったい何が違うのでしょうか。

 最大の違いは、Web上では個人であっても大企業とほぼ同等に渉(わた)りあえる可能性があるということです。もちろん、資本力の違いでWebサイトの規模は大きく違うでしょう。しかし、1ページの情報量は、大企業も個人もさほど変わりがありません。エンドユーザーの要求に応えることができるかどうかが、Webサイトの価値なのです。

 そしてWebサイトの場合、どんなにしっかりしたサービスを展開していても、ユーザーが訪れてくれなければ、無人島で営業していることと変わりがありません。つまり、大きな看板であってもインターネットの世界においては、ほとんど意味を成さないということなのです。これを踏まえた上で、Webサイトでのブランディングを考えることが非常に重要であることが理解できるでしょう。

 ほかのメディアと違い、告知機能を持たないWebサイトにおいては、ロゴやデザインは集客の手段とは成り得ません。もちろん、社名で検索されるような大きな企業や、特殊なサービスを持っているのであれば別ですが、そんな企業ばかりではありません。では、Webサイトでのブランド訴求とはどうあるべきなのでしょうか。

 それは、ユーザーに対して、企業が何を提供できるのかを明確にし、それを実践することにほかなりません。ユーザーが初めて見たページが、ユーザーのニーズに応える糸口となっていること、そして、検索にかかるすべてのページがその機能を持ち合わせていることが、Web上での企業のブランドを構築するのです。

トーン&マナー

 ユーザーはロゴマークを覚えていないものです。ましてや、企業名で検索しなかったユーザーにとって、そのページがどこの企業のものなのかは、一切関係がありません。そのようなメディアにおいて、ロゴとはどんな位置づけであるべきでしょうか。

 皆さんがWebサイトをご覧になる時を想像してください。多くのWebサイトの左上に小さくロゴがあり、あとはイメージやメニューが並んでいます。まれに、トップページで全面にFlashを使用したものがありますが、よほどその企業(製品)に興味がない限り「SKIP」してしまいませんか。

 Webサイトで必要なことは、ロゴやイメージなどではなく(そちらがメインの場合もあります)、ユーザーの問題を解決することなのです。そして、企業が努力すべきことは、ユーザーにサービスをストレスなく伝え、そのサービスを利用してもらえるような構造にすることなのです。Webサイトですべてが完結する必要はありません。ただ、ユーザーが何らかの答えを手にし、満足できるようなゴールを用意することが求められています。

 また、そのサイトが○○だから利用したのではなく、このサービスを提供してくれるサイトが○○だったというだけのはずです。そのサイトにおいて、ロゴの役割とは全体の色などのトーンを決めるための指針の一つでしかありません。ただし、全体を通して統一されたデザインや色調であることは大変重要なことです。少し極端な言い方ですが、Webサイトにおいては、ロゴはトーンやマナーを統一するため以上には大きな意味を持たないと認識してください。

株式会社キノトロープスーパープロジェクト
大学卒業後、建築・プロダクト模型制作を経て、グラフィックデザイナーに転向。SPツール/パッケージデザイン等を経験後、企業のオフィシャルサイトの企画立案、企業ブランディングなど、デザイン&ディレクションを中心に活動。2008年7月よりキノトロープスーパープロジェクト取締役を務める。http://www.k-superproject.co.jp/

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