押さえておきたい選定の重要ポイント
コストによる選定ポイント
ソフトウエア選定のポイントについて、導入と運用に要するコストの違いから解説します。図2はオープンソースの特化型を除いた各カテゴリの代表的なソフトウエアについて、サーバー100台、ネットワーク機器30台を監視した場合に要する構築費用、ライセンス費用、5年サポート費用の概算を比較したものです。正確な価格は製品やベンダーにより異なるため、あくまで参考とお考えください。
ライセンス費用、サポート費用、構築費用からの比較
まず、ライセンス費用についてみていきましょう。ライセンス費用は商用製品を利用する場合、全費用のうち大きな割合を占めますが、オープンソースのソフトウエアを利用する場合は、全く必要ありません。どのカテゴリのソフトウエアを利用するかによって、かなり大幅な違いが出ます。オープンソースや商用の安価なものを利用することで大幅に導入コストを削減することが可能です。
商用のソフトウエアにある管理機能を使用することで、システム全体を一元的に監視/管理することが可能ですが、その分ライセンス価格が高価になります。管理機能を必須要件としなければソフトウエアの選択肢もかなり広がるため、管理機能が必要かどうかは十分に検討する方が良いでしょう。
続いて、サポート費用です。サポートの有無はランニングコストに影響します。基本的に商用製品では、サポートは必ず購入する必要がありますが、オープンソースのソフトウエアではサポートの購入は任意です。サポートが不要であれば、オープンソースのソフトウエアを選択肢に入れられますが、商用利用でシステム全体を統合監視するような場合、ほとんどの場合サポートは必須でしょう。
サポート費用は商用のソフトウエアではライセンス価格の15%程度、オープンソースのソフトウエアではサポート企業によりさまざまな価格で提供されています。オープンソースのソフトウエアのサポート価格は商用のソフトウエアと同程度になっていることもあり、それほど大幅なランニングコストの削減は行えない場合もあります。
なお、オープンソースのソフトウエアの場合、当初はサポートなしでシステムの一部で仮導入を行い、本導入の際にサポートを購入するといった段階的な導入も可能です。ただしその場合は、サポートを提供している企業がサポート対象とするソフトウエアのバージョンやバイナリを事前に確認しておくことが重要です。
もう1つが構築費用です。商用製品、オープンソースともに、導入の際には構築費用がかかります。オープンソースの特化型は導入が容易なため、導入コストは低く、そのほかのカテゴリではそれほど差がありません。どのソフトウエアを利用する場合でも、監視システムを構築する際にはシステムの調査や監視項目の洗い出し、しきい値の検討などを行う必要があり、カテゴリによって実施する作業にあまり大きな差はないといえるからです。
商用の製品では、ハードウエアやソフトウエア監視のオプションや設定を利用することで、作業を削減することが可能ですが、利用機能によってライセンスコストが発生します。
一方、オープンソースソフトウエアではライセンスコストは発生しませんが、調査や設定などの作業に時間がかかりやすい傾向があります。これはどちらが良いといえるものではなく、ライセンスにかけられるコストと、構築を行う技術者のスキルや工数で判断を行う必要があります。
なお、大手ベンダーが開発を行っている監視ソフトウエアの場合、ハードウエア購入の際に付属しているエージェントを利用することで、基本機能としてディスクの状態やファン、電源などハードウエアの状態を監視することが可能ですが、大手ベンダー製品以外の商用ソフトウエアやオープンソース製品を利用する場合、SNMPや外部スクリプトを用いてハードウエア情報を監視することになります。この点は構築の際の調査や設定の作り込みのための作業が必要になるため注意が必要です。
最後に、システム監視ソフトウエアを導入するシステムと運用形態の違いによるソフトウエア選定のポイントを解説します。