OpenSolarisを知ろう
バイナリディストリビューションは重要
さて、バイナリディストリビューションのOpenSolaris 2008.05がリリースされたわけですが、その背景についても少し説明します。ここ数年でユーザ数を増やしているOSSですが、ソースコードのビルド環境を構築するのは単に利用を目的としている人にとっては面倒な作業です。
また、OpenSolaris上で動作するアプリケーションの開発者にとって、安定した動作を保証するには、動作検証のターゲットとなるバイナリは必要不可欠です。つまり、利用者や動作するアプリケーションを増やすためには、必然的にバイナリのディストリビューションは重要なことです。
一方、ブロードバンドが普及したとはいえ、数ギガバイト(DVDサイズ)のバイナリをダウンロードするのに抵抗を示す人も少なくないと思います。したがって、できるだけサイズは小さく、かつ1カ所ではなく複数の場所からダウンロードができることも重要になります。Linuxのディストリビューションモデルは、そういった点がよく考慮されています。
OpenSolaris 2008.05 登場
ではOpenSolaris 2008.05の簡単な特徴について紹介していきましょう。
OpenSolaris 2008.05はCD1枚の容量に納められました。これにより、これまでDVDイメージをWebサイトからダウンロードするのに抵抗があった人でも、比較的容易に入手することが可能になりました。また、このバイナリは再配布が可能なライセンスなので、今後はさまざまなルートからの入手が可能になると期待されます。配布されるバイナリはブート可能なLiveCDのISOイメージです。
OpenSolaris 2008.05の初期インストール状態では、必要最小限のパッケージしか入っていません。開発環境やオフィスツールなどは、別途追加する必要があります。追加ソフトウェアは、新しいソフトウェアパッケージ(Image Packaging System(以下IPS))によって提供されます。このIPSを用いると、ネットワーク上にあるリポジトリから追加可能なパッケージを検索し、指定したソフトウェアパッケージをダウンロードして自動的にインストールを行うことができます。
OpenSolaris 2008.05のルートファイルシステムは、前述のZFSです。ZFSのスナップショットやロールバック機能を利用して、パッチやパッケージを追加する前の状態に戻したりすることが容易になります。また、複数のブート環境を切り替えて使用するなど、アイデア次第で便利に使いこなせそうです。このマルチブート環境を簡単に操作するコマンド「beadm」が提供されます。
OpenSolaris 2008.05のデスクトップ環境はGNOMEです。さらに、初期設定のシェルはbash、シェルのパス環境変数は/usr/gnu/binが優先されるように設定されているので、Linuxの環境に親しみのある人にも比較的違和感を与えないように配慮されています。
なお、今後は約半年に1回の頻度でアップデートされる予定です。