インスペクションとは何か?
インスペクション/レビューの実際
実際にインスペクション/レビューを進めるためには、以下のような手順で行います。
1.インスペクション/レビューの実施計画立案
2.参加メンバ、役割分担の決定
3.準備、メンバへの参加依頼
4.実施
5.フォローアップ
具体的には、図2に示すようなインスペクション/レビューの参加者への実施案内メールに必要な情報を集めることをイメージするとわかりやすいでしょう。なお、図2は説明のためのフォーマットであり、必ずしもこのような堅苦しいフォーマットである必要はありません。
それぞれのステップについて説明しましょう。
まず、「1.インスペクション/レビューの実施計画立案」では、実施のタイミング、対象、実施結果をどう使うかを決めます。例えば、詳細設計が完了した時点で、詳細設計ドキュメントを対象として実施し、結果は対象ドキュメントの品質向上に使うなどです。ほかにも実施結果を工程移行の判定に使う、プロジェクト完了後のプロセス改善のための会議のインプットとする、などのように決めておき、プロジェクトの責任者、メンバに合意を得ておきます。また、どのような形態で実施するかも合意しておいたほうがよいでしょう。事前に対象に目を通してから会議で実施する、対象ドキュメントをメールで配布して結果をメールしてもらい、不明な点のみを会議で明らかにする等です。
「2.参加メンバ、役割分担の決定」では、インスペクション/レビューの実施にあたって誰が参加するか、インスペクタ、レビューア、記録係、進行役等の役割分担を決めます。また、誰の参加が必須かを明らかにしておきます。また、インスペクション/レビューは技術移転や教育の場としても有効です。欠陥の指摘自体はそれほど期待できなくとも、今後、類似のプロジェクトにおいてリーダを任せたいメンバも含める等も考慮してください。
「3.準備、メンバへの参加依頼」では、インスペクション/レビューの対象がそろっているかどうかを確認し、会議の形態で実施する場合には日程調整をします。全員参加が難しい場合もあると思いますが、目的を果たすために必須のメンバが参加できるかどうかに注意してください。必須のメンバが参加できなかった結果、期待する効果が得られず、再インスペクション/レビューが必要になることもあります。
「4.実施」では、インスペクション/レビューの目的を明確にした上で、欠陥指摘に集中します。話題がそれたり、質問だけが繰り返されたりするようであれば、進行役が欠陥指摘に集中できるよう誘導します。
「5.フォローアップ」では、終了した後、指摘された内容が修正されているか、再インスペクション/レビューが必要でないかをチェックします。
実施形態
インスペクション/レビューの実施形態は多種多様です。大別すると、同期型、非同期型の2つに分かれます。
同期型では、参加者が同じ時間帯でコミュニケーションしながら実施します。同期型では参加者が顔を合わせながら実施することが多いですが、必ずしも同じ場所で実施する必要はなく、電話会議、ビデオ会議、会議支援システムを利用する場合もあります。
非同期型は、実施の時間帯をあわせることはせずに設定された締め切りまでにインスペクション/レビューの結果を集めます。非同期型では、会議やメールでインスペクション/レビューを呼びかけ、結果は取りまとめ役が集めます。これらのワークフローを支援するツールもあります。同期、非同期は組み合わせることができ、例えば、準備は非同期型、実施は同期型とすることもできます。