サーバー統合と仮想化によるITコストの削減

2009年7月1日(水)
廣澤 純/渡邉 利和

 新規に投資する予算がなくとも、既存の運用コストの削減分から新規導入を図れるのであれば、新たにサーバーを導入するメリットは大きい。しかも、電気代などは、先々のコスト削減にも大きく影響してくることは忘れてはならない。

 Intelでは、2万台のXeonサーバーを導入しており、これを4年サイクルで入れ替えている。つまり毎年5,000台ずつ新機種に入れ替えているが、これが最もROIの高いサイクルだというのである。2009年3月に発表された「インテルITパフォーマンス・レポート2008」では、データセンターの効率化によって約9,500万ドルの経費が削減できたと発表しているが、これは旧サーバーを最新サーバーに統合したことによる約4,500万ドルの削減を含んでいる。また、データセンターの消費電力は3万4,689kW/日と、前年比5%の効率性向上が図られている。

サーバー仮想化技術の恩恵

 こうした高性能なサーバーを導入することで、サーバーの統合化を図り、台数の削減によるコスト削減を実施するには、サーバーの仮想化技術が必要不可欠となる。

 もともと、メインフレームや大規模なUNIXサーバーで仮想化技術が使われたのは、高価かつ強力なコンピュータリソースを余さず使い切るための技術としてであった。x86サーバーの場合は、そうした対応を行うよりも、足りない性能は、サーバー自体の数を増やすことで対応するのがかつては一般的だった。これはアプリケーションごと、用途ごとに別のサーバーを用意したほうが、運用の安定性向上の面からも、システム管理の単純明快さを確保するうえでもメリットがあったからだ。

 ところが、サーバーの台数が増加することにより、管理対象の増加による、管理負担の増大や設置スペース、電力消費、発熱量の増大などいくつかの問題も発生する。同時に、従来のような用途ごとに別々のサーバーを用意する形では、サーバーの利用効率は低くなりがちだ。平均的なサーバー利用率は10%程度にとどまっているという調査もある(図2)。つまり、サーバーが本来発揮できるはずの処理能力の80~90%程度が使われないまま無駄になってしまうのだ。そこで、こうしたサーバーを仮想化し、数台のサーバーを1台のサーバーハードウエア上に集約すれば、利用効率をほぼ100%に近いところまで引き上げることができる。
 

著者
廣澤 純/渡邉 利和

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