メインライン化したTOMOYO Linux

2009年7月2日(木)
沼口 大輔

TOMOYOの2つのバージョン

 TOMOYOは2005年にオープンソースとして公開され、2009年6月10日には念願であったメインライン化(Linuxの標準機能への取り込み)を実現しました。現在TOMOYOには以下の2つのバージョンが存在します。

1)「1系」
2005年から公開しているもの。多くのディストリビューションに独自対応しています。
2)「2系」
Linuxカーネル2.6.30の標準機能として採用されたもの。

 1系で実現されている機能と2系の機能については図2に示しておきます。図を見てもらえばわかるように、現在の2系はこれまで拡張を続けてきた1系のごく一部分となっています。TOMOYOプロジェクトでは、今後1系で実現している機能を2系へ反映していく活動に取り組んでいきます。それまでの間は、1系の開発・メンテナンスが継続されます。

2系と1系それぞれの使用方法

 TOMOYOを使うためには、いくつか方法があります。ここではその方法をご紹介していきます。

1. 「2系」

(1)Linuxカーネル2.6.30搭載ディストリビューションを使う
 いくつかのディストリビューションがLinuxカーネル2.6.30以降でTOMOYOの機能を組み込むことを予定しています。

(2)自分でカーネルをコンパイルする
 利用したいディストリビューションがTOMOYOを有効にするまでは、自分でTOMOYOの機能を含むカーネルを作る必要があります。

2. 「1系」

(1)Live CDを使う
 TOMOYOプロジェクトでは、UbuntuとCentOSを使ったLive CDを提供しています。どちらもマシンにインストールすることなくTOMOYOを使うことができるので、「とりあえずどんなものか試してみたい」という方に最適です。

(2)ディストリビューションを使う
 TOMOYOが最初から使えるディストリビューションとしては、TurbolinuxとMandrivaがあります。Turbolinuxでは、Turbolinux 11 ServerとTurbolinux Client 2008で利用できます。Turbolinux Client 2008は、ターボリナックス社のサイトよりLive Editionがダウンロードできます。ターボリナックス社ではTOMOYOの商用サポートも提供しています。

(3)バイナリパッケージを使う
 TOMOYOプロジェクトのサイト(http://sourceforge.jp/projects/tomoyo/)には、ディストリビューションごとのカーネルパッチと、カーネルパッチを適用したバイナリパッケージを公開しています。利用するディストリビューションに合わせてダウンロードしてください。またRed Hat系では、yumを使ったインストールにも対応しています。

株式会社NTTデータ
NTTデータ技術開発本部所属。2005年からセキュアOSを中心にOSSにかかわり始める。一時期大規模Windowsネットワークシステムの開発に従事したあと、現在の担当に異動し2008年7月よりTOMOYO Linuxプロジェクトに参加する。最近は主にプロデュース的なことを中心に活動中。

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