柔軟なシステム構築が可能なGentoo Linux

2009年7月23日(木)
青田 直大

TOMOYOユーザランドツールのインストール

 さて、ここからはいよいよGentooにTOMOYO Linuxを導入する方法を紹介していきます。

 まず「1系」「2系」のどちらにも必要なTOMOYO Linuxのユーザランドツールsys-apps/ccs-toolsを導入します。「1系」と「2系」についての詳しい解説は、第1回の記事をご覧ください(http://thinkit.co.jp/article/973/2/)。2009年7月13日現在、sys-apps/ccs-toolsはPortageに入っていますが、

 KEYWORDS="~amd64 ~x86"

 となっています。これはamd64(AMD64およびIntel 64環境)とx86環境ではtesting であり、その他のアーキテクチャでは(Gentooでは)未対応ということを表しています。そのため、ただ"emerge ccs-tools"とするだけではインストールされません。

 ここでは、/etc/make.confに、

 ACCEPT_KEYWORDS="~amd64"(または~x86)

 と書いてtestingのパッケージすべてのインストールを許可するか、

 /etc/portage/package.keywords/(なければ作成してください)以下の適当なファイルに

 sys-apps/ccs-tools ~x86 ~amd64

 といった行を書いて、sys-apps/ccs-toolsのtestingパッケージをインストールすることを許可する必要があります。

TOMOYO Linuxが使えるカーネルのインストール

 まずTOMOYO Linux 2系が使えるカーネルから紹介します。「2系」はLinuxカーネル2.6.30以降に入っています。2009年7月10日現在、Portageで2.6.30以降のカーネルパッケージは次の3つです。

・sys-kernel/gentoo-sources,
・sys-kernel/git-sources,
・sys-kernel/vanilla-sources

 カーネルのコンパイルについてはGentoo Linuxカーネルアップグレードガイド(http://www.gentoo.org/doc/ja/kernel-upgrade.xml)を参照してください。

 次に TOMOYO Linux 1系が使えるカーネルを紹介します。「1系」はPortageには入っていませんが、sunriseという「overlay」にsys-kernel/ccs-sourcesとして入っています。

 「overlay」というのは、Portageには入っていないパッケージを追加したり、Portageのパッケージを修正するためにPortage以外のパッケージツリーを追加したりする仕組みです。

 まず、以下のようにoverlayの管理を行うツールlaymanをインストールします。

 # USE="subversion" emerge -va layman

 次に、

 # layman -f -a sunrise

 としてsunrise overlayを追加し、

 source /usr/local/portage/layman/make.conf

 という行を/etc/make.confに書いてlayman管理下にあるoverlayを使うようにします。これでsys-kernel/ccs-sourcesがインストールできるようになりました。

 図2にTOMOYO Linuxが動くカーネルをまとめています。カーネル選びの参考にしてください。

 最後に付け加えると、TOMOYO Linuxを学習状態にしてGentooで普通に生活しているとemergeによってあっというまにドメインが増殖していきます。そのため、「keep_domain /usr/lib/portage/bin/emerge」(環境によっては/usr/lib64/portage/bin/emerge)というポリシーを追加しておくのがおすすめです。

大阪大学基礎工学部情報科学科所属。2000年ごろからLinuxを使いはじめ、2006年からemacs-w3mへのパッチ投稿を皮切りにオープンソースの世界に積極的にかかわりはじめる。現在ではemacs-w3m、navi2chなど、主にEmacs関連のソフトの開発に携わっている。

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