柔軟なシステム構築が可能なGentoo Linux
TOMOYOユーザランドツールのインストール
さて、ここからはいよいよGentooにTOMOYO Linuxを導入する方法を紹介していきます。
まず「1系」「2系」のどちらにも必要なTOMOYO Linuxのユーザランドツールsys-apps/ccs-toolsを導入します。「1系」と「2系」についての詳しい解説は、第1回の記事をご覧ください(http://thinkit.co.jp/article/973/2/)。2009年7月13日現在、sys-apps/ccs-toolsはPortageに入っていますが、
KEYWORDS="~amd64 ~x86"
となっています。これはamd64(AMD64およびIntel 64環境)とx86環境ではtesting であり、その他のアーキテクチャでは(Gentooでは)未対応ということを表しています。そのため、ただ"emerge ccs-tools"とするだけではインストールされません。
ここでは、/etc/make.confに、
ACCEPT_KEYWORDS="~amd64"(または~x86)
と書いてtestingのパッケージすべてのインストールを許可するか、
/etc/portage/package.keywords/(なければ作成してください)以下の適当なファイルに
sys-apps/ccs-tools ~x86 ~amd64
といった行を書いて、sys-apps/ccs-toolsのtestingパッケージをインストールすることを許可する必要があります。
TOMOYO Linuxが使えるカーネルのインストール
まずTOMOYO Linux 2系が使えるカーネルから紹介します。「2系」はLinuxカーネル2.6.30以降に入っています。2009年7月10日現在、Portageで2.6.30以降のカーネルパッケージは次の3つです。
・sys-kernel/gentoo-sources,
・sys-kernel/git-sources,
・sys-kernel/vanilla-sources
カーネルのコンパイルについてはGentoo Linuxカーネルアップグレードガイド(http://www.gentoo.org/doc/ja/kernel-upgrade.xml)を参照してください。
次に TOMOYO Linux 1系が使えるカーネルを紹介します。「1系」はPortageには入っていませんが、sunriseという「overlay」にsys-kernel/ccs-sourcesとして入っています。
「overlay」というのは、Portageには入っていないパッケージを追加したり、Portageのパッケージを修正するためにPortage以外のパッケージツリーを追加したりする仕組みです。
まず、以下のようにoverlayの管理を行うツールlaymanをインストールします。
# USE="subversion" emerge -va layman
次に、
# layman -f -a sunrise
としてsunrise overlayを追加し、
source /usr/local/portage/layman/make.conf
という行を/etc/make.confに書いてlayman管理下にあるoverlayを使うようにします。これでsys-kernel/ccs-sourcesがインストールできるようになりました。
図2にTOMOYO Linuxが動くカーネルをまとめています。カーネル選びの参考にしてください。
最後に付け加えると、TOMOYO Linuxを学習状態にしてGentooで普通に生活しているとemergeによってあっというまにドメインが増殖していきます。そのため、「keep_domain /usr/lib/portage/bin/emerge」(環境によっては/usr/lib64/portage/bin/emerge)というポリシーを追加しておくのがおすすめです。