ストレージのコスト削減

2009年8月3日(月)
シンクイット編集部

ストレージの階層化

 企業内のプライマリストレージは、比較的高価で性能の高いハードウエアが利用されているが、ストレージに格納されているデータには、アクセスの局所性がある場合が多い。特に企業内のアプリケーションが生成するファイルの多くは、1年以上アクセスされていないような非活性なデータが70%程度を占めることも珍しくない。しかし近年のデータ容量の著しい増加傾向とともに、大容量化するストレージのコストも無視できないものになっている。そのため、大容量化を維持しながら、ストレージの性能を階層化し、コスト削減を図るという企業も増えてきている。

 アプリケーションがストレージに求めるのは、単なる容量だけでなく、ストレージの性能、コストなど多岐に亘る。ストレージの階層化は、こうした要求に応えるべく、異なる特性のさまざまなストレージデバイス(HDDやSSDなど)、異なる種類のRAIDレベルをサポートし、これらを組み合わせてストレージの階層を構成する。

 最も性能が高いTier 1、性能とコストのバランスをとったTier 2、アーカイブなどに使われる低コストのTier 3といった具合だ。アプリケーションのニーズ、I/O特性に合わせ、NANDフラッシュを用いたSSD、10,000rpmあるいは15,000rpmのFC(ファイバチャネル)ドライブ、ビット単価に優れたSATA IIドライブを自由に組み合わせ、ストレージの階層化を図ることが可能だ。

 階層化されたストレージは、それぞれのアプリケーションに最適な特性のストレージサービスを提供できるだけでなく、システム全体としてサービスを最適化し、コストの削減を図ることも可能にする。EMCの行った試算を例にとると、777TBのストレージを構築する場合、146GBのFCドライブ(15,000rpm)528台で構成する場合に比べて、8台のフラッシュSSD(200GB)、104台の400GB FCドライブ(10,000rpm)、32台の1TB SATAドライブを組み合わせた場合のほうが、ストレージコストを17%削減できただけでなく、電力/冷却コストの32%削減、ドライブ台数の384台削減が達成されたうえ、IOPSは38%向上したという。

 また、階層化ストレージを仮想化することで、無停止で仮想ボリュームを移動させることも可能になっており、自動的に最適な階層にデータを移行したり、サービスレベルを最適化したりすることが可能になっている。

著者
シンクイット編集部

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