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オープンソースの適用可能性を示す
オープンソースの適用可能性を示す

第5回:OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その3
著者:ニユートーキヨー  湯澤 一比古   2006/4/20
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接続の容易性

   また、Webシステムとすることで、小規模な食品卸などからもセルベッサへ容易に接続できるという点も評価された。

   セルベッサの主な機能は以下のとおりだ(図1)。
セルベッサのシステム構成
図1:セルベッサのシステム構成

発注
外食店舗で営業に必要な、食材などの数量を入力する。
受注
食品卸や物流センターで、店舗に納める食品などの指示を受ける。
出荷
出荷時に容量の変更や新規入力、代替えの商品を入力する。
荷受
品物を受け取った店舗で検品情報を入力する。
棚卸
検品結果に基づき、店舗での棚卸しの基礎データなどを作成する。
会計連動
上記のデータを保存し、会計システムなどに引き渡す。
本部
上記のプロセスを本部で管理できるようにする。

表1:セルベッサの主な機能

   当時ニユートーキヨーでは、一部で電子発注もしていたが、多くの店舗ではFAXや電話に頼っており、仕入れ子会社のエヌテートレーディングコーポレーション(NTC)では、管理に多くの手間がかかっていた。食材の流通をコントロールするのも難しく、たとえば問題のある食品が発見された際に、仕入れを停止するといった対応処置が難しかった。

   受発注業務がシステム化されていれば、すぐに流通を調整して、適切な措置を講ずることができるわけだ。同じ頃、大手仕入先の三友食品(現:三井食品)が、大宮に大型の物流センター「OSBC」を構築していた。同センターを有効利用するためにも、店舗からセンターへ直接発注できる仕組みが求められていた。

   実際のセルベッサの開発は、NTCが、テンアートニに委託した。1998年末にプロトタイプが完成。入念なテスト後、本番システムの開発に取りかかり、1999年7月より本稼働。12月にオープンソースとして公開することとなった。

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株式会社ニユートーキヨー 湯澤 一比古
著者プロフィール
株式会社ニユートーキヨー  湯澤 一比古
財務部情報システム室 室長。53年東京生まれ。
75年にニユートーキヨーに入社。8年弱のウエイター経験を経て、システム担当に就任。ニユートーキヨーが「セルベッサ」をオープンソースとして発表した時に、システム担当者として初めてOSSに触れる。現在、同社のシステム室長。OSCARアライアンス、OSSAJなど、複数のオープンソース推進団体に参加。セルベッサ以外にも「ガラガラドア」や「オルット」などのオープンソースシステムを手がけている。


INDEX
第5回:OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その3
  はじめに
接続の容易性
  セルベッサの採用