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オープンソースの適用可能性を示す |
第5回:OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その3
著者:ニユートーキヨー 湯澤 一比古 2006/4/20
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セルベッサの採用
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その後、2000年の夏から秋にかけ、同じOSBCを利用する外食業社がセルベッサの採用を決めた。アウトバックステーキハウスやWDIのカプリチョーザ、大戸屋の3社で、それぞれ5月、7月、10月にスタートさせている。これは三井物産のASPを利用した導入だったが、現在は同サービスは終了しているようだ。
2001年4月からはダイナック、2002年12月から浜木綿が、それぞれ独自でサーバーを立てて自社運用でセルベッサを利用。ダイナックは独自に大規模な改良を施し、「ニューセルベッサ」の名前でオープンソースとして公開している。2003年12月からはR&D外食ネットがセルベッサを使ったASPを開始。外食企業数社と、いくつかの業務用食品卸が導入している。
当初の狙い通り、セルベッサは5年以上現役で順調に動作しており、少しずつではあるが進歩発展も続けている。また、セルベッサのサポートができるIT企業もかなり増えてきた。長期的な保守費用の低減という目標も、達成できたと考えている。
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サポート面の優位性では
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安価なソフトよりOSS「オープンソースのメリットは分かるが、良くできた低価格のソフトがあれば、なにもOSSを使う必要はないのではないか?」と聞かれることがある。
確かに価格性能という意味では、最近のクライアントOSは良くできているし、多くのオフィスソフトも素晴らしい機能を持っている。商用ソフト以外にも、数多くのソフトが無償でダウンロードできる。
ただし、この優れたソフトを長く使い続けようとすると、ちょっと話は変わってくる。意識するかどうかは別として、ソフトは保守し続けなければならないものだからだ。保守といってもその範囲は広いが、最も重要なのはハードへの対応だ。ハードは進化を続け、そして断続的に、技術的な飛躍が起きることになる。この時にソフトも、その進化に何らかの方法で対応する必要がある。
たとえばCPUの性能が上がり、PCのOSがDOSからWindowsへ進化した頃のことを思い出してほしい。DOS上で稼働する有用で使いやすいソフトが数多く開発されていたが、Windowsが生まれ普及していく中で、多くが生涯を終えてしまった。これらのソフトに頼ってビジネスを展開していたユーザや開発企業は、手痛いダメージを受けたはずだ。
もし、あの時DOSのソースリストが公開されており、コミュニティが立ち上がっていれば、多くのアプリケーションソフトを使い続けられたはずだ。事実、UNIXはソースが公開されていたため、その上で動作するよう作られたアプリケーションは、今だに製品価値を失わず現役で活躍している。その最右翼がOracleだったといえるのではないか。Oracle自身はOSSではないが、オープンソースのメリットを十分に享受しているともいえる。
ソフト製品はマーケットの影響を大きく受ける。そのため、もし開発するソフトの寿命を少しでも長くしたいと考えるなら、広く普及しているOSS環境で開発すべきだ。RADと呼ばれる多くの開発製品の上で構築されたシステムが、見るも無惨に消滅してしまったのを我々は見てきている。
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次回は
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「OSSはビジネスになるのか?」も次回で最後となる。次回は、オープンソースを利用すること自体のメリットについて説明する。
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著者プロフィール
株式会社ニユートーキヨー 湯澤 一比古
財務部情報システム室 室長。53年東京生まれ。 75年にニユートーキヨーに入社。8年弱のウエイター経験を経て、システム担当に就任。ニユートーキヨーが「セルベッサ」をオープンソースとして発表した時に、システム担当者として初めてOSSに触れる。現在、同社のシステム室長。OSCARアライアンス、OSSAJなど、複数のオープンソース推進団体に参加。セルベッサ以外にも「ガラガラドア」や「オルット」などのオープンソースシステムを手がけている。
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