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オープンソースで構築する業務システム特集

第3回:「GARAGARADOA」をオープンソースとした影響
著者:ニユートーキヨー  湯澤 一比古   2006/6/2
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予約システムの開発

   2001年末、富士通長野システムエンジニアリングの吉江氏が予約システムの開発の話を持って来てくれた。なぜならば、富士通長野システムエンジニアリングには以前から予約システムを開発する計画があり、そのシステムの利用希望者を捜していたという。

   ニユートーキヨーでも予約システムの必要性があったので、これは面白い提案だったと感じた。富士通長野システムエンジニアリングが提案してきたシステムがすぐに現場で使えるとは考えてはいなかったが、まずプロトタイプとして使い、その後に現場の意見を取り入れながら若干の修正を加えればよいシステムにできるだろうと思っていたのだ。

   そこで、ニユートーキヨー側から「オープンソース環境で動くシステムとすること」「オープンソースシステムとして公開すること」の2点について提案をしてみることにした。当時はこの条件を受け入れてくれる企業は少なかったと思う。また、開発費については非常に重要な点であったので明確にしておきたかった。

   何度かの打ち合わせの後、富士通長野システムエンジニアリングは、筆者たちの要求をほぼ満たす回答をくれることになった。


JavaからPHPへの移行

   こちらからの依頼に基づいた開発について、最終的な仕様が決定したのは2004年4月頃であった。

   当社はGARAGARADOA以前にもいくつかのJavaサーブレットで稼働する業務システムを構築していたが、扱いが複雑で開発のスピードも思うように上がらなかった。

   ニユートーキヨーのような大規模なシステムを必要としない企業が自社でメンテナンスするには、Javaで構築されたシステムはあまりにもカチッとしていて、かえって扱いずらいと感じられたのだ。そのため、もうすこし安易な開発環境が望まれていたので、PHPを利用して開発をすることに決定した。そして、開発当初のシステム構成は次のようなものであった。

Apache バージョン1.3.24
PHP バージョン4.1.2
PostgreSQL バージョン7.1.3

表1:開発当初のシステム構成

   その後のシステム開発はほぼ順調に進み、2002年7月には検収を終えたので、当時開発を終えようとしていた社内のイントラネットシステムのグレードアップ、AN2ICSII(アニックス)の1機能として稼動させた。

   ここで、ニユートーキヨーのイントラネット環境についても少し説明しておく。最初に当社にイントラネットを導入したのは1995年であり、その環境はAN2ICSと名付けられた。AN2ICSは All Newtokyo Network Intensive Communication Systemの頭文字を取ったものであり、これは当時としてはまだ珍しい事例で話題になった。

   なぜならば、AN2ICSはISDNのダイアルアップ回線を利用したイントラネットからADSLとインターネットVPNの環境に移行した非常に効果的なWebシステムだったからである。Webシステムのメンテナンスはクライアントサーバなどとは違って比較的容易に行うことができるため、当時はなかなかよい選択だと思われた。

   回線費用が従量制から定額制に換わったので、積極的に旧来の社内システムをWebアプリケーションに作り変えることができるようになった。この頃追加されたWebシステムは、ほとんどPHPで開発を行っている。

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株式会社ニユートーキヨー 湯澤 一比古
著者プロフィール
株式会社ニユートーキヨー  湯澤 一比古
財務部情報システム室 室長。53年東京生まれ。
75年にニユートーキヨーに入社。8年弱のウエイター経験を経て、システム担当に就任。ニユートーキヨーが「セルベッサ」をオープンソースとして発表した時に、システム担当者として初めてOSSに触れる。現在、同社のシステム室長。OSCARアライアンス、OSSAJなど、複数のオープンソース推進団体に参加。セルベッサ以外にも「ガラガラドア」や「オルット」などのオープンソースシステムを手がけている。


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第3回:「GARAGARADOA」をオープンソースとした影響
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予約システムの開発
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