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第1回:入門者向けにとどまらないSQL Serverの魅力

著者:イー・キャッシュ  伊賀 麗佳、小関 茂徳   2007/7/20
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SQL Serverのデータ活用機能

   データベースシステムにおいては、業務アプリケーションなどで処理され、データベースに蓄積された情報を、可視化された情報として有効に利用することが1つのキーワードになります。

   例えば、コンビニエンスストアなどの小売店で利用されている販売履歴データベースの場合、販売データは「商品名」「単価」「販売時間」「購買層」といったの様々なデータが情報として蓄積されています。この蓄積されている情報から「20代の女性が深夜に購入する商品」を分析したい場合、条件に該当するデータのみを抜き出して販売傾向を可視化しやすいグラフにする必要があります。

   また、その日の「天気」や「温度」などの条件も分析データに付加する必要があり、それらのデータが別のシステムで管理されている場合は、そのデータと販売履歴データベースを連携させる必要があります。

   SQL Serverでは、このようなデータのレポート化および分析機能や異なる環境にあるデータを抽出する機能が製品にサービスコンポーネントとして標準で実装されており、簡単に実現することが可能になっています。
名称 機能
Replication Services レプリケーションとは複数のサーバに同じデータを持たせたり、データを同期させたりする機能。
Notification Services データ処理実行の際に、PCなどのデバイスに情報送信する機能を提供。
Reporting Services レポートの作成や配布の機能を提供。
Integration Services SQL Server以外のデータソースからのデータ読込み、出力などを行うデータ変換機能を提供。
Business Intelligence Development Studio ビジネスインテリジェンスを構成するキューブ、データソース、レポート、およびIntegration Servicesパッケージなどを開発するための統合された環境を提供。

表2:データベースに有効なコンポーネントやツール

   次にこれらの機能について、簡単に概要を説明いたします。


Reporting Services

   Reporting Servicesでは、データベースに蓄積されているデータや別のデータソースから取得したデータを利用し、帳票やレポートを作成する機能が提供されます。さらに、SQL Serverでは、これらのレポート作成を専用のデザインツールを利用して、ドラッグ&ドロップの形式で実現するだけでなく、作成後のレポートを指定したスケジュールで配信することが可能です。


Integration Services

   Integration Servicesでは、他社データベースであるOracle DatabaseやExcel、CSVファイルのデータをSQL Serverのデータソースとして抽出する機能が実装されています。また、データベースのレコードを並べ替えたり、特定のレコードの集計を行ったりする処理フローの定義も可能です。

   SQL Serverでは、これらの機能をユーザビリティの高いGUIベースの管理画面で提供されており、ドラッグ&ドロップの形式でデータフローを定義することが実現できます。

Integration Servicesの概要
図2:Integration Servicesの概要


Analysis Services

   Analysis Serviceでは蓄積したデータを分析するために、特定のデータを様々な角度から参照することができる「キューブ」や、指定されたアルゴリズムによってデータから何らかの関連性や相関関係をみつけだす「データマイニング」機能が提供されます。

   キューブでは、多次元分析の機能が提供されるため、例えば「あるお店」の「ある日」の「ある商品」の販売数がn個といった場合に、「お店」「日」「商品」のすべてを軸としてデータ分析を行うことが可能です。

   当然これらの機能も、難しい設定や分析手法の知識を持っていなくても、SQL ServerであればGUIベースの管理ツールから気軽に利用することができます。


Business Intelligence Development Studio

   Business Intelligence Development Studioを利用することで、キューブやReporting Servicesによるレポートの作成、Integration Services が提供するデータ変換パッケージの作成を行うことが可能です。

   これにより、利用するプロジェクトの種類ごとに必要なオブジェクトを作成するために必要なテンプレートやオブジェクトを操作するデザイナやツールなどの開発環境が提供されます。


まとめ

   第1回では、SQL Server 2005が実装している各種ツールやサービスコンポーネントを簡単に説明しました。文章では「非常に簡易的」や「ドラッグ&ドロップで」といった説明をしてきましたが、正直いって実際に利用してみないとまったく実感は湧かないと思います。

   そこで次回は、実際にSQL Server 2005の環境を構築し、テスト用のデータベースを利用して、今回ご紹介した各種機能の利用方法を説明します。

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イー・キャッシュ株式会社 伊賀 麗佳
著者プロフィール
イー・キャッシュ株式会社  伊賀 麗佳
1980年静岡生まれ。現在、イー・キャッシュ株式会社取締役。大学時代UNIXを使って様々な研究を行っていたが、社会人になり、初めてマイクロソフト製品を本格的に触る。そのなかでもSQL Serverが特に好きで、SQL Serverを利用したシステム構築やコンサルティングが業務の中心になっている。また、トレーニングやイベントでの講師、書籍の執筆なども行っている。


イー・キャッシュ株式会社 小関 茂徳
著者プロフィール
イー・キャッシュ株式会社  小関 茂徳
プロフェッショナルサービス事業部 マネージャー
イー・キャッシュにてRFID事業を中心に既存システムの分析からシステム設計、プロジェクトマネージメントなどのシステムコンサルティング業務を経験。現在までの経験を活かし、2007年度からはRFID関連プロダクトのテクニカルマーケティング業務として、ソリューション開発や販促企画を担当している。


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第1回:入門者向けにとどまらないSQL Serverの魅力
  「簡単で使いやすい」けれど「高度な機能を搭載」
  SQL Serverのデータベース基本機能
SQL Serverのデータ活用機能