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オープンソースを中核にした新世代のベンチャー企業 |
業務系、サポートビジネス、ライセンス保証など技術要素を超えた新しいビジネスモデルで勝負する事業者
著者:シンクイット 重松 直樹 2005/9/28
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包括的なOSSのサポートサービスSpikeSource(スパイクソース)
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オープンソースは、各レイヤーでさまざまなソフトウェアを組み合わせて使うことが求められる。たとえば、開発ツールは何で、Javaアプリケーションサーバーは何で、OSはLinuxの中でもどのディストリビューションでというように、いろいろな選択肢を取りうる。
これら複雑な構成を検証して、包括的にサポートするビジネスを展開しているのが、スパイクソース(SpikeSource)(注2)だ。スパイクソースは、こうしたオープンソースの組み合わせを検証するサービスを提供している。また、ソフトウェアのアップデート情報なども提供している。
コアスタックと呼ばれるパッケージは、アプリケーション、ライブラリー、ウェブサーバー、ツールなど50種類以上のオープンソースコンポーネントを含んでおり、包括的にアップデートすることが可能だ。
日本では、2005年8月にシーイーシーがスパイクソースと代理店契約を締結し、日本国内およびアジア地区(中国、韓国、台湾などの日系企業)でサービス提供を開始した。
スパイクソースのCEOのキム・ポレーゼ氏は、サン・マイクロシステムズで、Javaの開発プロジェクトを率いていた人物である。
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ソフトウェア知的財産管理サービスBlack Duck Software(ブラックダックソフトウェア)
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企業システムにおいて、オープンソースソフトウェアが利用されるケースはますます増えている。IBMとSCOの訴訟に象徴されるように、オープンソースソフトウェアを利用する際には、ライセンスに気を配る必要がある。
利用したオープンソースソフトウェアがGPL(GeneralPublicLicense)の場合、それに関連したソースコードについては、公開する義務が発生する。ソースコードを公開する義務のないBSDライセンスについても、著作権を明記する必要がある。
企業のコアコンピタンスとなる部分で、知らずにGPLを採用しているオープンソースソフトウェアを利用し、後になってソースコードの公開義務が発生するということになっては困るだろう。実際に、シスコシステムズが買収したリンクシスがルーターにLinuxを採用していたが、ソースコードを公開していないことが問題になったケースがある。後にソースコードを公開し、この問題は解決した。
ブラックダックソフトウェア(Black Duck Software)(注3)が提供している「ProtexIP」は、ソフトウェアのソースコードの中にオープンソースのソースコードが含まれているかどうかをチェックすることができるサービスだ。ブラックダックには、レッドハットやインテル、SAPといった有名企業が出資している。
2005年7月に、日本でもテンアートニが代理店となって、このサービスが開始された。
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オープンソースビジネスで成長が期待される3つの分野
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以上、見てきたように、今後成長が期待されるオープンソースビジネスは、次の3つに分類されるように思う。
- 業務系アプリケーション分野でのデュアルライセンスビジネス
- 包括的なサポートビジネス
- ライセンスなどに対する保証ビジネス
日本でも2005年に入ってから、紹介した3企業の代理店が決まったり、また同様のビジネスモデルを築いてサービスインする企業が相次いでいる。企業システム領域での新しいオープンソースビジネスの胎動が始まっている。
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書籍紹介 「Linuxオープンソース白書2006 新たな産業競争力を生む、オープンソース時代の幕開け」
※本連載はインプレスより発行の書籍「Linuxオープンソース白書2006」(ThinkIT監修)から一部抜粋し、転載したものです。
■本書の構成
第1部のユーザー企業利用動向では、605社の情報システム管理者に聞いた独自調査データ177点を掲載。プレゼン用に、すべてのデータをCD-ROMに収録。
第2部の事業者動向では現在から将来のLinuxオープンソースビジネスを解説。
第3部の社会動向ではオープンソースの普及に向けて、教育や法律、そして世界各国の政府から地方自治体の取り組みまでを紹介。
「Linuxとオープンソースのビジネスの今」をすべて収録した「Linuxオープンソース白書2006」のご購入はコチラから
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