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オープンソース白書2006
基礎知識

オープンソースの基本を理解する
著者:可知 豊   2005/9/30
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利用と使用を区別する

ThinkIT会員特典20%OFF    プログラムは、小説や音楽、映画と同じように著作権が備わっている。著作権は、作品(著作物)の中身などを変える権利、作品を公開したり複製したりする権利の集まりである。著作権は、作者である著作権者が持っている。

   「ソフトウェアライセンス」(Software License、ソフトウェア利用許諾、以下ライセンス)は、プログラムを利用する際に必要になるプログラム開発者(著作権者)による利用許可である。プログラムを複製したり配布したり改良したりするといった利用の際には、著作権者による許可が必要になる。

   ここで気を付けておきたいことは、「利用」と「使用」の違いだ。著作権の考え方では、この2つを区別する。書籍であれば、本を読むのは「使用」に当たり、これには著作権者の許可は不要だ。書店で本書を立ち読みしても、著作権法違反にはならない。許可が必要なのは、本を複製したり翻訳するといった「利用」のときだ。

   著作物の利用の範囲は、文書・映像・音楽といったメディアの種類によって違っているが、プログラムでは複製・配布・改良に許可が必要になる(表1)

  利用 使用
書籍 出版、印刷 本を読む
音楽 録音、放送 音楽を聴く
映画 配給、上映 映画を見る
プログラム 複製、配布、改良 実行

表1:著作物の利用と使用

   多くの商用ソフトウェアのライセンスでは、本来著作権で制限できない条項をユーザーが承諾した場合に、限られた数のプログラムのインストール(複製)を認めている。たとえば、リバースエンジニアリング/逆コンパイルなどは著作権では制限されないが、ライセンスの条項により制限される。


オープンソースとは?

   「オープンソース」(Open Source)とは、自由に利用できるという条件でソースコードを公開することである。

   もともとオープンソースというキャンペーンを始めたOpen Source Initiative(OSI)は、このような混乱を少なくするため、「オープンソースの定義」(Open Source Definition)を発表している。これは、オープンソースとは何かを明確にするため、オープンソースに合致するソフトウェアの利用条件を説明したものだ。

   このオープンソースの定義の中に「ソースコードを公開するだけではオープンソースではない」と記されている。オープンソースは利用者が、次のようにソースコードを自由に複製/再配布/改良できる。

・複 製:ソフトウェアをコピーする
・再配布:ソフトウェアを他の人に渡す
他の人から受け取る
・改 良:ソフトウェアを修正する
一部を取り出す
新機能を追加する

   たとえば、インターネットでソフトウェアを公開することは、再配布になる。実際にダウンロードするのは複製に当たる。複製したり不具合を修正したバージョンを再配布することも可能だ。オープンソースでは、複製/再配布/改良のためにいちいち許可を得る必要はない。それは、事前に許可されているのだ。

   ここで対象になっているのは、ソフトウェアのソースコードだが、それをコンパイルしたバイナリーコードも改良の一種になる。そのために、バイナリーコードも自由に再配布できる。無償で配布してもいいし、有償で販売しても構わない。

   また、この条件には「自由に使用できる」とは書いてないが、ソフトウェアなどの著作物は、そもそも使用の際に許可を得る必要ない。

   「オープンソースの定義」は、このほかに6つの条件を持っている。これらの条件が、ソフトウェアの自由をさらに保証している。

オープンソースの3つの権利
  • ソフトウェアのコピーを作り、それを配布する権利
  • ソフトウェアのソースコードを入手する権利
  • ソフトウェアを改良する権利
オープンソースの条件
  • 作者のソースコードの完全性を維持すること
  • 個人もしくは団体に対する差別をしないこと
  • 使用分野に対する差別をしないこと
  • 再配布時には追加ライセンスを必要としないこと
  • 特定の製品に固有なライセンスを使用しないこと
  • 他のソフトウェアに対する干渉をしないこと

   具体的なオープンソースのソフトウェアライセンスは、いくつかの種類がある。オープンソースの定義は、オープンソースソフトウェアのソフトウェアライセンスについて外枠を提供しているにすぎない。各ライセンスは、オープンソースの定義に矛盾しない範囲で、プログラムやライセンスごとに条件が異なっている。ビジネスにおいて中途半端な理解でオープンソースソフトウェアを利用すると、自社のソフトウェアをオープンソース化しなくてはならないという場合も出てくるので、各ライセンスの条項を確認してほしい。これには、経済産業省が公開した「オープンソースソフトウエアの利用状況調査/導入検討ガイドライン」(注3)が理解の参考になる。

注3: 経済産業省「オープンソースソフトウエアの利用状況調査/導入検討ガイドラインの公表について」
http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0004397/

   なお、オープンソースについてのよくある勘違いとして、「ソースコードを改良したら必ずオープンソースにしなければならない」と考えている人が少なからず存在するようだ。このような条件を持っているのは、オープンソースライセンスの一部である。このような条件は、一般的に「コピーレフト」と呼ばれ、ソースコードを改良したり、独自に開発したプログラムに組み込んだ場合に、改良版プログラムを同じライセンスで公開するとしている。コピーレフトを条件として持っていない場合は、改良版のプログラムのライセンスを変更して、非オープンソースソフトウェアとして販売できる。

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書籍紹介
「Linuxオープンソース白書2006
新たな産業競争力を生む、オープンソース時代の幕開け」

※本連載はインプレスより発行の書籍「Linuxオープンソース白書2006」(ThinkIT監修)から一部抜粋し、転載したものです。
Linuxオープンソース白書 2006
■本書の構成
第1部のユーザー企業利用動向では、605社の情報システム管理者に聞いた独自調査データ177点を掲載。プレゼン用に、すべてのデータをCD-ROMに収録。
第2部の事業者動向では現在から将来のLinuxオープンソースビジネスを解説。
第3部の社会動向ではオープンソースの普及に向けて、教育や法律、そして世界各国の政府から地方自治体の取り組みまでを紹介。
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INDEX
オープンソースの基本を理解する
  はじめに
利用と使用を区別する
  コミュニティによるゆるやかな連携