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オープンソース白書2006
実態調査で見るユーザー企業の利用動向

第1回:Linuxとオープンソースソフトウェアの認知度
著者:矢野経済研究所  入谷 光浩   2005/9/28
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クライアントPCへのLinux導入は進まず一般従業員の認知不足が要因

ThinkIT会員特典20%OFF    社内のクライアントPCのOSとしてLinuxを利用しているのは、わずか4.3%にとどまっており、企業ではほとんど利用されていない状況にある。利用されていても「ある特定業務での利用」や「システムやソフトの開発・実行環境として使用」という部分的な使い方が主であり、「全社的な標準OSとして使用」は皆無である。まだまだ普及と言うにはほど遠い状況にあると言えよう。

社内クライアントPCのOSとしてのLinux利用有無[全体] N=605
図3:社内クライアントPCのOSとしてのLinux利用有無[全体] N=605

   今後もクライアントPCにLinuxを導入する意向がないユーザーは、8割に達している。理由としては、クライアントPCを実際に使う従業員がLinuxを知らないことが大きく影響している。また、Windows系ソフトウェアとの互換性や対応アプリケーションが少ないという問題が次々と発生するのではないかという不安も抱えているようである。このようにさまざまな課題があり、企業でクライアントPCの標準OSとしてLinuxが利用されるのは、まだまだ先のことになるだろう。


普及期に入ったLinuxサーバー
OSSは商用ソフトウェアとの共存で広がる

   出荷ベースで見たLinuxサーバー市場は、急速に成長している(図4)。

Linuxサーバー台数とサーバーOSディストリビューション市場
図4:Linuxサーバー台数とサーバーOSディストリビューション市場
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   2003年におけるLinuxサーバーの出荷台数は約5万台の実績であるが、2007年には14万2,700台になり、2003年から2007年までのCAGR(年平均成長率)は約30%という高い成長が見込まれる。2007年には全サーバーの出荷台数に占めるLinuxの搭載比率が20%を超える。また、LinuxサーバーOSもさらに高い成長が見込まれ、2003年から2007年までの出荷本数ベースでのCAGRは36%になる。Linuxサーバーの市場規模はユーザーでの普及とともに今後も拡大を続けていくだろう。

   Linuxが効果を出してきたことによって、最近ではオープンソースソフトウェア全体に注目が集まるようになった。Linuxを含めオープンソースソフトウェアだけでシステムを構築することが理想ではあるが、商用ソフトウェアと共存させていくという姿勢のユーザーが多く、今後適材適所で導入が進んでいくだろう。特にデータベースへの関心度が高く、今後の動向が期待される。

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書籍紹介
「Linuxオープンソース白書2006
新たな産業競争力を生む、オープンソース時代の幕開け」

※本連載はインプレスより発行の書籍「Linuxオープンソース白書2006」(ThinkIT監修)から一部抜粋し、転載したものです。
Linuxオープンソース白書 2006
■本書の構成
第1部のユーザー企業利用動向では、605社の情報システム管理者に聞いた独自調査データ177点を掲載。プレゼン用に、すべてのデータをCD-ROMに収録。
第2部の事業者動向では現在から将来のLinuxオープンソースビジネスを解説。
第3部の社会動向ではオープンソースの普及に向けて、教育や法律、そして世界各国の政府から地方自治体の取り組みまでを紹介。
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INDEX
第1回:Linuxとオープンソースソフトウェアの認知度
  認知度高い「Linux」と浸透してきた「オープンソースソフトウェア」
クライアントPCへのLinux導入は進まず一般従業員の認知不足が要因