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オープンソース白書2006
実態調査で見るユーザー企業の利用動向

第3回:ディストリビューション
著者:矢野経済研究所  入谷 光浩   2005/9/29
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Linuxサーバーにコスト削減の期待を寄せる

ThinkIT会員特典20%OFF    今後の導入意向として、「3年以内にLinuxサーバーの導入を予定している」は全体の13.4%、「具体的な予定はないが導入意向がある」は25.3%となった。これらを合わせると、約4割で導入意向があると見ることができる。公共やサービス業、組立製造業など以前からLinuxサーバーの導入を積極的に行っている業種や、民間企業では中堅企業以上での導入意向が強い。

Linuxサーバー導入意向[全体] N=605
図3:Linuxサーバー導入意向[全体] N=605

   ただし、すでにLinuxサーバーを導入している企業だけで見ると導入意向のある企業は6割にもなるが、まだ導入していない企業だけで見ると、その7割が「当面導入する意向はない」と回答している。ここにきて導入する企業、導入しない企業がはっきりとしてきたという感じがある。したがって、今後も導入台数ベースでは着実に伸びていくことが予想されるが、導入企業数の拡大という点から見るとやや鈍化していく傾向にあると言えるだろう。

   Linuxサーバーを導入していきたい理由としては、導入済みユーザーに聞いた理由と同様、「初期導入コストが安いので」が最も多く57.3%となっている。2番目に多い理由では、「運用コストの削減効果を期待して」が、導入済みユーザーでは2番目だった「導入したいサーバーの使用目的に最も適している」を逆転している。Linuxサーバーはシステムコストの削減に対する期待が非常に大きく、これから導入したいというユーザーではより一層期待が強い。運用コストの削減は年商規模が大きくなるにつれて高まっていく傾向も示されている。


Linuxサーバー非導入理由

   Linuxサーバーを導入する意向がないユーザーの6割は、「既存のOSで十分である」と判断しており、あえてLinuxサーバーを導入する様子はない。しかし、「管理できる人員がいない」との理由で導入を見送っているユーザーも6割弱存在する。

Linuxサーバー非導入理由(複数回答) N=234
図4:Linuxサーバー非導入理由(複数回答) N=234
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   Linux管理者の人員不足は導入済みユーザーの中でも深刻な問題として挙げられているが、ここで改めて深刻さを再認識させられる。この問題に対していかに対処していくかが、これからのLinux普及に向けた大きな課題となるだろう。

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書籍紹介
「Linuxオープンソース白書2006
新たな産業競争力を生む、オープンソース時代の幕開け」

※本連載はインプレスより発行の書籍「Linuxオープンソース白書2006」(ThinkIT監修)から一部抜粋し、転載したものです。
Linuxオープンソース白書 2006
■本書の構成
第1部のユーザー企業利用動向では、605社の情報システム管理者に聞いた独自調査データ177点を掲載。プレゼン用に、すべてのデータをCD-ROMに収録。
第2部の事業者動向では現在から将来のLinuxオープンソースビジネスを解説。
第3部の社会動向ではオープンソースの普及に向けて、教育や法律、そして世界各国の政府から地方自治体の取り組みまでを紹介。
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INDEX
第3回:ディストリビューション
  強いRed Hat系ディストリビューション成長が期待される国産勢
Linuxサーバーにコスト削減の期待を寄せる