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オープンソース白書2006
実態調査で見るユーザー企業の利用動向

第5回:オープンソースソフトウェアの導入意向
著者:矢野経済研究所  入谷 光浩   2005/9/30
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オープンソースソフトウェアに期待しつつ技術者不足の悩みを抱く

ThinkIT会員特典20%OFF    今後、社内の情報システムにオープンソースソフトウェアを導入していく意向があるかどうかについて聞いてみると、「積極的に導入していく」が5.0%、「商用ソフトウェアと共存させながら適材適所で導入していく」が30.6%、合計35.6%がオープンソースソフトウェアの導入意向を示している。

今後の社内情報システムにおけるオープンソースソフトウェアの導入意向[全体] N=605
図3:今後の社内情報システムにおけるオープンソースソフトウェアの導入意向[全体] N=605

   その反対の「当面導入する意向はない」も29.6%とほぼ同程度になっている。ただし、「今後の世間の様子・動向を見て導入を判断する」という中立的な立場をとるユーザーが34.5%も存在しており、まだ今後の見通しは不透明な部分が多い。

   導入していきたいオープンソースソフトウェアの種類としては、構築実績も多くユーザーにとっては入門編とも言える「ウェブサーバー」が57.2%で最も多い。その次は「データベース」、「メールサーバー」、「OS」、「ウェブアプリケーションサーバー」が40%前半で並んでいる。特にデータベースは、商用データベースのコスト負担で頭を抱えているシステム管理者が多いので、オープンソースソフトウェアへの期待は大きい。

   ユーザーはオープンソースソフトウェアに、コストの削減を非常に強く期待している。導入コストはもちろんのこと、運用コストの削減にも高い期待がある。特にシステムの維持費用の負担に悩む500億円以上の中堅企業や大手企業では、運用コストの削減に対する意識が強くなっている傾向が見られる。


オープンソースソフトウェアに対する問題点や不安

   オープンソースソフトウェアに抱く問題点や不安として、全体の7割が「管理やスキルのある人材がいない」と感じている。スキルのある人材がいなければ、たとえ導入したとしても管理することができない。Linuxでもこの問題は深刻化しているが、同じくオープンソースソフトウェア全体の問題でもある。その他の問題としては「ベンダーやSIerのサポートに不安がある」「他のアプリケーションとの互換性が悪い」「実績が少なく安定性・信頼性に不安がある」が30%前半でほぼ同じくらいの回答数で並んでいる。

オープンソースソフトウェアに対する問題点や不安[全体](複数回答) N=605
図4:オープンソースソフトウェアに対する問題点や不安[全体](複数回答) N=605
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   Linuxやオープンソースソフトウェアの文化はまだ始まったばかりなので、少し長い目で見ることも必要である。今後、教育の体制や環境を充実させることで、企業での教育はもちろんのこと大学や専門学校などでの教育が進み、この問題は徐々に解消されていくだろう。それまではベンダーやSIerのサポートが重要になる。オープンソースソフトウェアの普及は業界全体で支えていくことが必要である。

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書籍紹介
「Linuxオープンソース白書2006
新たな産業競争力を生む、オープンソース時代の幕開け」

※本連載はインプレスより発行の書籍「Linuxオープンソース白書2006」(ThinkIT監修)から一部抜粋し、転載したものです。
Linuxオープンソース白書 2006
■本書の構成
第1部のユーザー企業利用動向では、605社の情報システム管理者に聞いた独自調査データ177点を掲載。プレゼン用に、すべてのデータをCD-ROMに収録。
第2部の事業者動向では現在から将来のLinuxオープンソースビジネスを解説。
第3部の社会動向ではオープンソースの普及に向けて、教育や法律、そして世界各国の政府から地方自治体の取り組みまでを紹介。
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INDEX
第5回:オープンソースソフトウェアの導入意向
  OS別オープンソースソフトウェアの利用
オープンソースソフトウェアに期待しつつ技術者不足の悩みを抱く