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Solaris10
徹底比較!! エンタープライズサーバOS

第4回:エンタープライズサーバOSの機能を見る(3)
Solaris編

著者:大神企画  富樫 純一   2005/01/28
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可用性がさらに向上

   Solarisを始めとするUNIXは1990年代以降、高可用性が求められるシステムにおいて数多くの実績を培ってきた。高可用性を実現するための機能はそれぞれ独自に拡張され、OSの優位性を示す特長になっている。

   Solaris 10では、そうした高可用性を実現する機能がさらに強化された。

   たとえば、あらゆるハードウェア/アプリケーション障害を自動的に特定・診断して修復する「予測的自己修復機能」は、ハードウェア・コンポーネントが故障したり、ソフトウェアの構成ミスによって問題が発生したりしても、ハードウェアとアプリケーションの依存関係を検証してリカバリを実行し、サービスを止めることなく提供する。

   また、「DTrace」(ダイナミックトレース機能)は、パフォーマンスへほとんど影響を与えずに、稼動中のシステムのパフォーマンス・チューニングとトラブルシュートが行える。

   さらに、アップデートリリースで実装される予定になっている新しいファイルシステム「Solaris ZFS(Zetta Bytes File System)」は、従来からのUNIX標準ファイルシステムである「UFS(Unix File System)」と異なり、運用管理の容易性や柔軟性、データの完全性などを実現するために新しく設計されたものだ。128ビット・アドレッシングにより、実質的に無限大のファイルシステムを構築できるほか、極めて高い信頼性を実現し、データ不整合を確実に防止するという。

   このほか、エンタープライズサーバOSに相応しい機能も強化されている。ソフトウェア・パーティショニングによってOSの仮想化を実現する「Solarisコンテナ」は、1台のサーバコンピュータに搭載された1つのSolaris上で、8000以上もの複数の仮想OS環境を構築できる。それぞれのOS環境は、セキュリティ、障害などの面で完全に独立している。

   一般的に、オープン系システムではCPUやメモリなどのリソースは約15パーセント程度の利用率だと言われているが、サンではSolarisコンテナを利用することにより、60〜80パーセントに高められるとしている。


「DTrace」
   Solaris 10の新しいダイナミックトレース機能「DTrace」は、カーネルやアプリケーションのボトルネックを検出したり、傾向パターンを分析して性能を最適化したり、異常な動作を検出して適切なアクションを実行したりする。

DTrace
図2:DTrace


「ZFS」
   「ZFS」は、Solaris 10で提供される新しいファイルシステム。SPARCサーバとx86サーバの両方をサポートし、ストレージディスクの相互移動もサポートする。ほぼ無制限のスケーラビリティが提供されるほか、データを保護するセルフヒーリング機能なども備えている。

ZFS
図3:ZFS
商用利用に対しても無償で提供

   こうした先進的な機能が搭載されたSolaris 10だが、新バージョンの最大の目玉と言えるのが、商用・研究開発などの使用目的にかかわらず、4CPU以下のコンピュータにおけるライセンス料を無償にした点だろう。

   サポート・サービスについては、OSアップデートとアップグレード、修正パッチの利用と、90日間の導入サポートを含む「ベーシック・サービス」、週5日×12時間の電話サポート、Webによる教育コースが利用できる「スタンダード・サービス」、週7日×24時間の電話サポートと技術・教育サービスが利用できる「プレミアム・サービス」の3種類の年額制サブスクリプションが用意されている。

   なお、重要なセキュリティ修正モジュールについて、年額制サブスクリプションを購入しないユーザーに対しても無償で提供される。

   さらに、Solaris 10については、ソースコードをオープンソース化する方針だという。ただし、Solarisのどのコンポーネットをオープンソース化するのか、いつオープンソースとして公開するのかはまだ未定だ。

   オープンソース化によってSolarisがLinuxと同等の立場になることについては懐疑的な見方が大勢を占めているが、それでも基幹システムで豊富な実績を持つ商用UNIXの一角がライセンスフリー+オープンソースとなる意義は大きい。

   Linuxと対比されながら発展していくSolarisからは、目を離すことができないだろう。

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著者プロフィール
有限会社大神企画  富樫 純一
代表取締役。週刊COMPUTERWORLD(IDG)編集記者を経て、月刊WINDOWS WORLDの創刊に携わる。1996年に編集長。1998年に月刊PC WORLD創刊。1999年、編集プロダクションを設立して独立。現在、幅広い執筆活動を展開。また、NHK BS「何でも解決!パソコンマガジン」にレギュラー出演するなど、テレビ・講演活動にも活躍。


INDEX
第4回:エンタープライズサーバOSの機能を見る(3)Solaris編
  UNIX市場を主役にしてきたSolaris
  Linuxディストリビューションを食う?新機能「Janus」
可用性がさらに向上