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オープンソースの適用可能性を示す
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第5回:OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その3
著者:ニユートーキヨー  湯澤 一比古   2006/4/20
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はじめに

   前回までで、エリック・レイモンドのオープンソースに関するレポート「魔法のお鍋」をベースにし、OSSを活用したビジネスモデルを9つ紹介した。オープンソースを使ってビジネスができそうなことは理解して頂けただろうか。

   実は「第3の波」を書いたアルビン・トフラーも近年、ソフトの「使っても減らない性質」(=共有可能生産財)に注目し、第3の波の追補分を読売新聞に寄稿している。

   内容をまとめると、「今までの生産財、つまり農地や工場と異なり、第3の波の生産財は共有が可能だ。この特性を活かせば、「経済や産業のルールが再構築される可能性は高い」というのだ。今のソフト産業に起こっている変化を、トフラーは25年も前に予言していたわけだ。

   ただ、いくらオープンソースがビジネスとして利用できても、使うメリットがなければユーザはつかない。では、オープンソースを使う側の利点とはなんだろう。

   前回も書いたが、ニユートーキヨーでは「セルベッサ」というOSSを公開している。

   セルベッサの客観的な事実は、参考文献にあげた「ビジネス・ケースブック3 一橋ビジネスレビューブックス」に、主観的な思い込みは「オープンソースじゃなきゃ駄目」に詳しいが、ここでも少し説明しよう。

   セルベッサは、98年に開発を開始した。Javaサーブレット技術を使って作られており、今でこそ当たり前のように感じるが、当時としてはかなり先進的なシステムだった。

   Webシステムとしたのは、当時のニユートーキヨーのネットワーク環境を変えずに、システムを構築したかったからだ。この時には、既にイントラネット環境はどうやら整備されていたが、クライアントOSがWindows 3.1、ブラウザはNetscape 1.1という、パフォーマンスの低いものだった。ソフトは約150の全店舗に配布されており、入れ替えるのにかなりの費用が予想された。そこで、クライアントにできるだけ負荷を与えないシステムが前提条件となったのだ。

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株式会社ニユートーキヨー 湯澤 一比古
著者プロフィール
株式会社ニユートーキヨー  湯澤 一比古
財務部情報システム室 室長。53年東京生まれ。
75年にニユートーキヨーに入社。8年弱のウエイター経験を経て、システム担当に就任。ニユートーキヨーが「セルベッサ」をオープンソースとして発表した時に、システム担当者として初めてOSSに触れる。現在、同社のシステム室長。OSCARアライアンス、OSSAJなど、複数のオープンソース推進団体に参加。セルベッサ以外にも「ガラガラドア」や「オルット」などのオープンソースシステムを手がけている。


INDEX
第5回:OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その3
はじめに
  接続の容易性
  セルベッサの採用